第82話

文字数 2,982文字


源三郎江戸日記82

小姓に開けてみよと言うと、小姓があけてこれはと驚くのでなんじあと聞くと、犬の毛皮に御座いますと言うと、何犬の毛皮じあと、おのれ余をぐろうするつもりかと怒るので、稲葉、
が水戸様といえど上様に楯突くとは厳罰になさいませと言うので、柳沢が犬を殺して得たものかどうかわかりませぬ、生類哀れみの令は無用に生き物を殺すなと言う事なれば、死んだ、
犬なら問題ありませぬ、

生類哀れみの令を破れば改易になるのではないかと思う大名共がことさら厳しい罰を科しているそうに御座います、知らん顔なされれば、水戸様が罰せられないなら、そのような事で、
改易等されない事が国中にわかり、都合が宜しいと思いますと言うと、なる程余は生き物を大事にせよと言うたまでじあ、浅野のように無用に刀を振り回したり、街中で武士が刀で、
脅かしたりするのを辞めさせるのが目的なのじあ、

無用に刑罰を課せとは一言も言うておらん、吉保の言う事はもっともじあな、ご老公の皮肉として受け取ろうというと、柳沢がされば上様も皮肉としてお返しなされと言うと、どうする、
のじあと言うので、かねてより水戸家から幕府に願い出ている5000両の借財を裁可なされ、献上された犬の毛皮1枚をお下げ渡しになれば宜しいと思いますと言うと、なる程それは痛烈、
な皮肉返しじあな、

面白いそうせい、と言うと御座所を下がったのです、傍にいた土屋正信がこれで、大名共もほっとするでしょう、良策でごぞいますな、しかしご老公の策とは思えませぬが、誰の策か、
ご存知ですかなと聞くので、さあわかりませぬが水戸藩には知恵者がいるのでしょうと言うと、こんどご老公に聞いてみますかと言うと土屋正信は席を立ち部屋を出て行ったのです、

用人が光圀の傍に来て若殿が公方様に呼び出されて登城なさり先ほどお戻りになりましたと言うので、上様に叱られたのかと聞くと、いいえ、お願いしていた5000両の貸付を聞きどけ、
になりまして、ご老公の献上品のお礼を言われたそうです、見事な献上品ゆえ若殿に1つを下げ渡すと下されたそうです、若殿が開けて恐れ入られたら、大名共が生類哀れみの令を破、
つたら、

厳罰にしているそうだがそのような事は一言も言うておらん、このような事で厳罰を与えてはならん事が天下に示せるぞ、ご老公に礼を言ってくれと言われたそうに御座いますと言うと、
そうか罰はくだされなんだかというと、お分かりいただいて宜しゅうございましたと言うので、本当は怒っているのよと言うので、なぜでございますと聞くと、犬の皮を一枚下げ渡した、
は皮肉返しと言うわけだ、

多分柳沢が怒りを静める為に、進言したのであろう中々上手いなだめ策じあと笑ったのです、この文を昨日来た村上源三郎に届けよ、若狭屋の根岸の寮にいるとの事だと渡したのです、
源三郎がご老公の文を読むと、策は上手く行った、仕上げに瓦版にて町衆にしらせよ、わしが献上した犬の毛皮に怒らない綱吉公をべた褒めせよ、本心は生きているものをあ惚れめと、
言う事にて、

厳罰を課すのは本位ではないと言うていると書き立てるのじあと書いてあったのです、なる程公方様の真意を伝えよと言う事じあなと言って、早速瓦版の版元玉屋に足を運んだのです、
これは源三郎様と言うので、良いネタを教えてやると言って、事の経緯を話すと驚いて、そんな事書けばお縄になりますよと言うので、水戸様のお言いつけだと文を見せると、わかり、
ましたと、

内容を書いて渡すのでみると天下の副将軍水戸光圀様が公方様に犬の毛皮3枚献上なされた、これを見た公方様はお喜びになり、生類哀れみの令は生き物を大事にしろと言う事にて無用、
に厳罰を課すのは本位ではないとおうせられた、民を心からいつくしまれる、まことに希代まれな名将軍様であると褒めちぎったのです、さすが玉屋だなというと、これならお縄になる、
事はなく、

あっと言う間に売り切れですよと番頭に彫り方へもっていけと渡したのです、夕刻には街角で、さあさあ大事件だ、天下の副将軍水戸光圀様が公方様に犬の毛皮3枚献上なされた、さて、
その後どうなったかだ、詳しくはこの瓦版に書いてあるよ、買った、買ったと言うと、何お犬様の毛皮を献上だとと町衆は驚き争うように瓦版を買い求めたのです、あっと言う間に瓦版、
は売り切れたのです、

この騒ぎを聞きつけた、同心が瓦版の内容をみて驚き、与力から奉行に渡り、驚いた奉行は登城して若年寄に渡すと、大事無い上様はご存知だ知らん顔しておれと言って、柳沢に瓦版を、
渡すと、老中を集めて御座所に行き、綱吉に瓦版を見せたのです、綱吉はご老公が流したのじあなと言って、希代の名将軍だと書いてあるぞと、大笑いして稲葉に渡すと、宜しゅうござ、
いましたな、これで上様の人気は上がりますとお世辞を言ったのです、

綱吉がわしの皮肉返しが聞いたとみえるな、あまり怒らせてはいかんとご老公は思い、褒めちぎれといい含めて流したのであろう、しかし民衆から褒められるのはわるくは無いな、この、
瓦版は皆に見せようと懐にしまい、吉保そちのおかげじあ、何か褒美をとらせようと言うので、十分頂いておりまする、上様を守るのは老中の役目なれば、お気にめされますなと言うと、
みなもご苦労である、これからもよしなに頼むぞと御座所を下がったのです、

水戸藩主徳川綱條が光圀の傍にやって来て、父上脅かさないでくだされ、犬の毛皮を上様から見せられた時は、肝を冷やしましたぞと言うので、これで生類哀れみの令で厳罰になる者は、
なくなり、大名、民はホットするであろう、上様といえどおかしな政は諌言せるばなせぬと言うと、それがしが諌めれば藩は改易になりますと言うので、そうか、古く生き延びている、
わしくらいか諌言できないか、

それはそうじあ、綱條は藩が潰されないようにおとなしくしておれと笑い、これで江戸での用事は済んだ明日は水戸にもどるぞと言うと、力が足りず申し訳ありませぬと言うので、良い、
のじあよ、さて最後に世の乱れを副将軍の名ですこし正すとするかと言うと、どうされるおつもりでと聞くので佐々木助三郎と格之心に旅に出して、諸国の様子を見てもらい目にあまれ、
ば綱吉公に代わって正すのじあと言って、

二人を呼びそなた達はこれより東海道を上り赤穂まで行き、大名、代官の治世をみてくるのじあ、それに民、百姓の暮らしぶりもじあ、目に余る物があれば正すのじあ、これは朱印状じ、
あ、この者の言う事は世の言う事であると書いてある、聞かぬ奴にはこれを見せよと印籠と一緒に渡したのです、尚手勢がいれぱ近隣の大名に加勢を頼め、特に天領地は幕府の目が届き、
にくいから、民が難渋している金知れん、

赤穂はあの事件の後じあ民の暮らし等をみるのじあ、宿場ごとの様子は飛脚便でしらせよ、土地土地の、風景、名産、名物も知らせよ、旅ゆえ酒も女も少々なら許してやろう、路銀は、
その朱印状を見せて大名の用人に言うて借り受けよ、後だ返すようにすると言い、諸国漫遊記でも編纂するとしょうと言うと、承知いたしました、なるべく詳しく見てまいりますと言、
うので、目立たぬよう町人の姿で行くが良いといったのです、

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