第9話

文字数 2,732文字


源三郎江戸日記9

うどん豆腐が名物ですだと言うので、岩魚の塩焼きも美味いよというので、酒二本にそれをと頼んだのです、お峰がうどんに豆腐が入ってるのが名物なんですかねと言うので、来ての、
お楽しみだねと言うと酌をしたので杯を上げて、土地土地の名物を食べるのも旅の楽しみの一つだねと言うと、これからの道中が楽しみですと笑ったのです、うどん豆腐ですと出すの、
で見ると、

七輪の上に小さななべがありその中に豆腐が入っています、なんだ湯豆腐かと言うと、女中が昆布出汁の中に豆腐にみたてた小魚のすり身を四角く固めて、豆腐に見せたものです、中身、
はつみれですよ、この小鉢は酢醤油です、小鉢にいれてこの葱を触りかけて食べますと言うので、食べてみると確かにつみれの味です、中々うまいなと言うと、お峰も一口食べて本当で、
すね、

小田原がかまぼこの名産地ですから、それを工夫したんですかねと言ったのです、湯豆腐も簡素で美味いが、これも同じで中々酒の肴に会うなそれにここの岩魚の塩焼きも塩加減が丁度、
よくて美味いというと、ほんにそうですねと笑うので、ところでお峰は健脚だなと言うと、これでも体は鍛えているんですよと言うので、中々頼もしいなと再び乾杯したのです、鳥追、
い姿のお蝶が傍に来て、

旦那一曲と言うので、何か景気のいいやつをやってくれと言うと、耳元であの奥の三人づれの真ん中が黒田ですというので頷くと、三味線でどどいつを歌いだしたのです、中々の物です、
歌い終ったので、拍手をして、お峰が湯のみに酒を注ぐと、ゴクゴクと飲み干したので2分銀を渡すと、ありがさんと言うと、他の席に離れたのです、奥を見ると楽しげに笑いながら酒、
を飲んでいます、

特にこちらに注目しないので、気づいていないのでしょう、顔もわかったのでひとまず安心だなと言うと、又なにかをしょうとしているでしょうというので、どうしてと聞くと旦那様は、
悪さを考え付くと目じりが下がるのですと笑うので、そんなところまでバレているのかと笑い、厠に行って来ると立ち上がり、奥に行くと黒田男達の横を通り、椅子に立てかけてあった、
刀にわざと触ると、

カダンと下に落ちたのです、知らん顔して厠に行こうとすると、一人の男が、こら待てというので、なんでござるかと振り向くと、人の刀を床に落として何でござるかだとと言うので、
小便が漏れそうにござるしばし待たれよと厠に駆け込み、用を足して手水で手を荒い、男の元にいきこれは失礼つかまった、しかし、人が行き来する場所に刀を置くとは不用意でござ、
ると言うと、

おのれ、不始末をしでかして人のせいにするのかと言うので、そうか因縁をつけて酒代をたかろうと言う腹積もりか、亭主お銚子を二本ばかしこの侍にやってくれと言って、これで、
宜しいかと言うと、おのれ~言わせておけば俺をゆすり呼ばわりするのかと立ち上がり、刀に手をかけると、黒田がよしておけと言うのを、こやつ痛めつけてやると言って、表にで、
ろと言うので、

しかたない、相手するが怪我してもしらんぞと言って、店の外に出たのです、その浪人が刀を抜こうとしたので、踏み込み小股を蹴り上げるとぐわ~と言って引っくり返ったのです、
おのれ~と言うと立ち上がり、刀を抜いて切りかかってきたので、後ろに下がり刀を抜いて峰に持ち替えて受け止め、右足で腹を蹴るとまたもや尻餅をついたので、刀を振り下ろす、
と刀で受け止めたのです、

立ち上がったので、今までは座興だこれからは容赦しないぞと言って踏み込み右肩に切り込むと、男は受け止めようとしましたが刀は跳ね飛ばされ、源三郎の刀が方口にあたりぐわ、
~と言って前のめりにガクンとひざをついたのです、手加減しておいたので骨は折れておらん、そこのお二人もかかってきなさるかと言うと、中々の腕だな今日はよしておこう、山城、
大丈夫かと助け起こして、

黒田が貴殿の名前はと聞くので村上源三郎と言う旅の浪人でござる、いつでも相手になりますぞと言うと、黒田佐内と申す、いずれどこかでと言うと、亭主に金を払いその場を立ち去、
ったのです、亭主がさあさあ騒ぎはおさまりましたというので、野次馬がみんな店せに戻ったのです、こ上がりに戻ると、面体をさらして大丈夫なんですかとお峰が聞くので、どうせ、
すぐに分かるのでいいのさ、

攻撃に勝る防御はなしと言うではないかと笑うと、旦那様の素性を知ってさぞかし驚く事でしょうと酌をしたので、飲み干し、たいした腕ではなかったがと言うと、いきなり小股を蹴、
られれば、動転して剣の力など発揮できなかったのですよと言うので、なるほどそういう事かとお峰に酌をしたのです、お蝶が傍に来て、まったく、だんな、あんなにおちょくるとは、
気の毒になりましたよ、

お峰様旦那様は悪がきですねと言うので、ほんに困ったもんですと言って、お蝶もおあがりなさいと席を勧めるので上がると、酒を注いだのです、お蝶がしかし旦那様の腕は相当な物、
ですねと感心するので、お峰が旦那様は剣の腕より、戦のコツを知っているのです、肌襦袢の上には鎖帷子をつけているので懐に入っても怖くないのですよと言うと、成る程すでに、
この旅は戦なのですねとお蝶が酒を飲み干したのです、

源信も傍に来たので源三郎が見ていたのかまあ上がれといって、上がったので酒を注ぐと飲み干して、なるほどお父上がもうされた通り、尋常な腕ではあふりませんな、これなら我々、
の助っ人など必要ないかもしれませんと言って、酌をするので飲み干して、いや、戦は一対一ではないので助て貰わねば勝てないのだよと言うと、破裂弾も用意してありますので、
大勢の場合役に立つでしょうと言ったのです、

原田たちは旅籠に戻り、山城だからやめておけと言うたんだ、我々の目的は物見遊山ではないと言うと、申し訳ござらぬいきなり小股を蹴り上げられて動転してしまい申したというと、
時田があの奴腕は尋常ではない、太刀筋は一刀流とみたが千葉道場の門下生ではないな、言葉から江戸者のはずだと言うと、原田が我々と同じに江戸から来たとなると気がかりだな、
ここに手紙をしたためた、

江戸屋敷の者に何者か調べてもらおう、山城これをこの宿場の飛脚問屋に持っていってくれ、三島あたりに回答が届くだろうと言うと、承知と山城が手紙を受け取り部屋を出て行った、
のです、時田がよりによってお殿様はたかが3万石の秋月藩に目をつけられたのですかと聞くと、いきなり大きな藩では失敗の確立が高い、3万石程度なら失敗はしないだろう、又失敗、
しても誰も気にしないと言うわけだ、

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