第39話

文字数 2,677文字


源三郎江戸日記39

お峰がハイ、先生にそういうていただけると嬉しゅう御座いますというと、良い女子を娶ったな、後は子供を早く作る事じあ、ところでご隠居は息災かと聞くので、ハイすこぶる元気、
にございます、今度先生に竹刀の作り方の教授を受けたいと申しておりましたというと、ほう道具屋でも開かれるのかと言うので、藩の特産品の一つにする為にございます、先ほど、
使いましたが、

軽くて丈夫ですなと言うと、なる程この辺には沢山孟宗竹があるので材料にはことかかないな、わしも隠居ゆえ暇じあから、御隠居と一緒に竹刀つくりに精を出して頑張ってみるか、
しかし何処で売るのだと聞くので、玄海屋と言う回線問屋が古着の商いで、上方、江戸より古着を満載して高鍋に持ってきて、九州にてうりさばくそうです、上方、江戸の古着は、
質流れ品だそうで、

新品同様なのだそうです、その帰り船で高鍋の物産を上方、江戸で商いをするので、船賃はタダみたいな物だそうですというと、なる程それならば利を稼げよう中々いい策ではないか、
さしずめ、源三郎の策であろうと言つたのです、今回の騒動も収まったようでなによりじあ、家中の乱れは幕府につけ込まれるでなあ、これからはお前たち若いものが藩を引っ張って、
いかねばならん、

家中でもめている場合ではないわ、小次郎には家中の揉め事にはどちらにも加担しないように言いつけてあると言うので、賢明でございます、中には血の気の多いものも降りますと、
言うと、源三郎の役目も大事じあしっかり励んでくれと言ったのです、いけぬ、わしは何もしらぬぞと笑うので、公然の秘密に御座りますれば気になされなくても良いのですと言っ、
たのです、

それでは失礼いたしますが、いつまでも元気でいてくだされと言う、お前達もなと言うので道場を後にして町に出たのです、歩いて玄海屋に行くと、時次郎が隣を買いまして古着を商、
う店に改装しております、明日には七衛門様が屋戻りになります、物産会所の段取りは総て終り、あとは藩士の方に説明しておられるそうで、程なく運用が出来ると遠山様が言うてお、
られました、

会所は仮に本牧町の空いている屋敷に看板をかけられました、改装をやっているそうですと言うので、船が戻ってきたら長崎に行かねばならん、時次郎後の事はたのむぞと言うと、ハイ、
まかしておいて下さい、たまには江戸にも行きますと言ったのです、そろそろ居酒屋も開く時間だな少し休んでいこうと近くの居酒屋にはいり、酒と肴を頼んだのです、お峰が今日は、
あの山クジラがつけ上がる頃ですよと言うので、

そうか、それは楽しみじあなあと言ったのです、酒と肴の味噌付けが来たので杯を傾けて、味噌付けをつまみ、中々よく漬かっているよと言うと、お峰が食べて酒のつまみに会います、
と言ったのです、大根のほかにきゅうりもあるのですねと言うので、ナスビも美味いんだよと言うと、ナスはすかすかですから味噌の塊になりますよと言うので、そうかあれはあさ、
づけかと笑ったのです、

それでは戻ろうと勘定をすませ屋敷に帰ると、祖母が城から使いが来て登城して殿の御座所にくるようにとの事であったというので、羽織袴をつけて城に向かったのです、御座所に行、
くと、殿と源一朗が待っており、源一朗が江戸表より父上の書状が届き、それによると、江戸の時種様擁立の一派と次種様擁立の一派の対立が激化して不穏な動きがあるそうだ、

主席家老と次席家老が隠居した事はまだ江戸には届いていないのだろう、これが届けば時種様擁立の一派は暴挙に出るだろう、父上はとても自分一人では押さえ切れないので、騒動を、
起こす者は上意打ちににすると言う、殿の朱印状を目付に持たせて、至急江戸に登らせて欲しいと言うことだと言うと、政種がそなたに行ってもらいたいのだ、江戸まではどんなに、
急いでも、

20日はかかるであろう、間に会わんかも知れんがと言うので、船を使えば6日でいれますると言うと、まことかと聞くので、玄海屋の千石船に風が前から吹いても進めるように工夫、
してあります、黒潮にのれば1時に2里の速さで日向灘、土佐沖、紀伊半島、駿河湾、房総沖を北に行けます、風がなくても、1日に48里すすみます、風が無いことはありませんので、

1日120理はすすめます、江戸まで約400里ですから最短で4日、かかっても6日で佃沖に着くでしょうというと、何とまことかと聞くので、幸い今は満月です夜でも走れますと言うと、
玄海屋の船は高鍋にいるのかと聞くので、明日か明後日には戻る予定ですと言うと、それに乗って直ぐに江戸に達つのだ、これが上意打ちの朱印状じあと渡したのです、どのような、
細工なのだと聞くので、

紙と筆を取り出して、説明するとなる程このような船は、いままで無かったのかと聞くので、御座いませんが簡単な仕掛けなので直ぐに皆が気づいて真似をするでしょうというと、
その船を使えば、大阪に3日、江戸に6日で物産を届けられるわけだ、腐りやすいものも大阪、江戸で商いできるわけじあなと言うので、ハイ、物産の品数が増えますると言うと、
源三郎そなたは凄い奴よのう、

そなたを筆頭家老にしたいわと言うので、それはご勘弁くださりませと言って、江戸家老の後釜はどうされるおつもりですかと聞くと、そなたの父源之丞でどうだと言うので、父上、
はお受けなさらないでしょう、国元では後釜はいずれの派閥からも登用していません、父上を江戸家老にすれば、両派を締め出す事になり、不満がくすぶり騒動のタネになります、
と言って、

両派から出して家老を二人にするのが良かろうと思いますと言うと、そうすると、勘定奉行の山根と郡奉行の松原かと言うので、国元では頭を飛び越して、家老に二人登用しました、
ので、面白くないはずです、こうすれば両派ともおとなしくなるのではないかと思いますがと言うと、それは良い策じあ、明日でも通達して用意出来次第江戸に登らせよう、その前、
に江戸の仕置きを頼むぞ、仕置きはそちにまかすと言うので、

承知いたしましたと頭を下げると、政種は大儀であった肩の荷がおりたぞと言うと、御座所を出て行ったのです、源一朗がお前が弟で良かったよこれからも知恵を貸してくれ、それで、
は屋敷に帰るぞと言うので、ハイと返事して城を下がり屋敷に戻ったのです、湯に入ると夕餉の支度が出来たというので広間に行き座ると、ハム、いわし、雉のお吸い物、味噌付け、
です、

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