第72話

文字数 3,043文字


源三郎江戸日記72

暫くするとあやめがぴく~と痙攣したので源三郎もたまらず放出したのです、小さくなったので引き抜くと、あやめが和紙で一物を拭いて下帯を締めなおし、自分も股に和紙を挟み、
着物を着て帯を締め櫛でみ繕いをして、済みませぬどうぞお手打ちは勘弁してくださいと言うので、何を言うか手打ちなどするものかというと、酌をしたので飲み干し返杯したの、
です、

お姉さん達には内緒にしてください、分かると折檻されますと言うので、言うもんかわしこそ折檻されるよと笑うと、ハイ、二人だけの秘密ですねと指を絡めたのです、奥方に叱られ、
ませんかと聞くので、大丈夫だよというと、源三郎様はわたしの憧れの男だったのです、夢がかないましたと言うので、そのうちお前を幸せにしてくれる男があらわれるよというと、
ハイ一生懸命稼いで、

年季があけたらこんな小料理屋を開きますと言うので、そうか夢をもつ事はいい事だなと酒を飲み干したのです、それでは丁度いい時間だ帰るとするかと言って、3両を渡すとお金は、
いらないのですと言うので、これはお前を抱いたので渡すのではない、お前が店をひらく為に使うのだ、店を開いたらこの分飲ませてくれというと、ハイ、きっと来てくださいね、
それまでこれは預かっておきますと受け取ったのです、

籠を呼びあやめを頼むと、源三郎も籠で根岸に戻ったのです、裏木戸は開いており中に入り、部屋に行くとお峰がお戻りなさいませ、今茶づけをと膳を持ってきたのでかきこみ、落ち、
着いたというと、大石様はどうでしたかと聞くので、どうするか困っていたよ、安兵衛が決起を迫ったそうだが舅殿がなだめられて、なんとか、納得したそうだが、いつまで続くかと、
言うと、

安兵衛様は奥方が可愛そうとは思われないのですかと言うので、弥平殿が討ち入られるのに、自分が脱命するわけにはいかんだろうというと、そうですね、どなたも止めるのは難しい、
のですねと言って酌をするので飲み干して、それでは寝るかと言って抱き寄せると、今日はあの日でございます、まだやや子は出来ないようでと言うので、いいのだよそのうちに出来、
るさと言うと、

寝巻きに着替えフトンに入ったのです、直ぐに寝てしまったようで、お峰の声でおきると、良いお天気ですよと言って、湯がわいています、昨日は深酒されましたね、体からお酒の、
匂いがしますよと言うので、少し頭が痛いなと言って湯に行ったのです、さては気ずかれたか、女子は敏感と言うからな、しかし知らん顔しているに限るなとつぶやいたのです、

湯から上がると朝餉を食べて部屋に戻り、ごろりと横になると、お峰が入って来たので昼まで寝かせてくれというと、ハイと言て枕を出したので寝転ぶと、着物を上にかけてゆつくり、
お休みなされと部屋を出て行ったのです、昼になりお峰が入ってきて、父上の正骨院がとても繁盛していそがしいらしいので、お手伝いに行ってよろしいでしょうかと言うので、ああ、
いいぞというと、

お母上にはいって来なさいと言われています、つわりは治まったようで食欲もあるようですと言うので、毎日行っても良いぞと言うと、暫く通わせていだきますと言うので、おうめに、
籠を二つ呼んでもらい深川に出掛けたのです、正骨院に顔を出すと大勢の治療客でごた返しています、舅がよく来てくれた、まずはそこに治療の記録簿があるので、名前を聞き順番、
にわしにわたしてくれと言うので、

お峰が先に来ていた人の名前を聞いてまわり順番に重ねて、治療が終ると名前を呼び舅の処に連れて行き、治療の終った者からは、治療代をとり金箱にいれて記録を取ったのです、
舅の処に行き、何か手伝いますかと言うと、おう婿殿かこの男の足にクスリを塗り包帯で縛るのじあ、縛り方はこの男は捻挫なのでこうやってまくのじあと言うので、一旦解いて、
巻きなおすと、

立ってみろと言うと男は立ち上がり、痛いかと聞くと、いいえ痛くないですと言うので、婿殿それで完璧だと言うと、ハイ次はというとお峰が女を連れてきたのです、手の指がしび、
れるのですと言うので、腕を触っていましたが筋が少し曲がって骨に当たっているようじあな、少し痛いが我慢しろというと、ひじの上とと下をぐ~と引っ張るとぐわ~と声を出し、
たのです、

これで大丈夫だ婿殿ひじの表に薬を塗りさらしできつく動かないように縛るのじあとち言うので、きつく縛ると、二三日動かさねばしびれもなくなるだろうと言うと、しびれはなく、
なりました、ありがとう御座いますと言ったのです、続けて10人程治療したので、一休みしょうと言うと、後5人かと言うと、お峰がみんなにお茶をだしたのです、一人で大変です、
ねと言うと、

柔術の弟子でわしの従兄弟が赤穂から今日に着くはずだ、両親はいないので江戸で決起をまつそうだ、その男が手伝ってくれる、それにここの大家の長屋に住んでいる浪人が正骨を、
習いたいそうだ、年は23で身よりはないそうなので、教える事にしてわしがいなくなつた後を引き継いでもらうことにした、明日から通ってくるそうだと言うので、それは良かった、
ですねというと、

いなくなると町衆が困るので丁度良かったと言って、後はわしとお峰で大丈夫だ手助けかたじけないと言うので、お峰にそれでは後は頼む美味い夕餉でも作ってやりなさい、根岸は、
お律が、おる心配するなというと、それではそうします、旦那様もねずみに引かれないようにと笑ったのです、正骨院を出てたまには屋敷に顔をだすかと高鍋藩の上屋敷に向かった、
のです、

屋敷に着き役宅に顔を出して母上にご無沙汰いたしておりますと挨拶すると、婚礼には顔も出さず失礼をしたなと言うので、役目がら仕方ありませぬ母上もご壮健でと言うと、今回、
はお鶴に子が出来たそうじあな、目出度い事じあと言うので、歳なので恥ずかしいと言うていますと言うと、何を言うか兄弟が沢山いるのは家の為に良い事じあ、体をいとい丈夫な、
子を産んでくれと言うてくれと言うので、

しかと申し伝えますと言って、おくればせながらこれは鼈甲の櫛にございます、高鍋で買い求めましたものですと渡すと、これは良いものじあなあ、ありがたく貰ろうておきますぞ、
源一朗の妻女は臨月まじかなので安静にしておりますと言うので、丈夫なお子が生まれるように祈っております、よしなに伝えてくだされと言って、役宅を出て殿の御座所に行くと、
近習が庭へお越しくだされと言うので、

庭に回ると政種がよう来た何か知らせでもあるのかと言うので、大石が江戸に挨拶に来た事を言うと、そうか、いつ赤穂の者共が吉良の屋敷に討ち入るかと噂しておる、おかげで吉良、
は悪人呼ばわりされており、他の高家の旗本も下を向いて城中をあるいていおるわ、ちと、気の毒じあなあと笑ったのです、しかし従一位がご母堂様に宣下されたが、女子の従一位は、
初めてだそうで、

上様は大喜びで機嫌が良いぞと言うので、経緯を話すとなるほど近衛公がそれで快諾したのか、そなたのお陰で柳沢様は8万石を加増されたのと同じだなと言うので、出すぎたまねを致、
し申し訳ござりませぬと言うと、何を言うかそこまですれば幕閣は我が藩には手は出さんだろう、よくやったと言うので、恐れ入りますと言うと、これも何かの縁じあ赤穂の者達を助、
けてやるが良いと政種が言ったのです、

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