第61話

文字数 2,734文字


源三郎江戸日記61

目的は浅野様を刃傷に走らせ、縁続きの近衛公を怒らせて、公方様のご母堂様の従一位の宣下を邪魔させて、柳沢様を追い落とす策でござったが、残念で御座ったなそれがしが、
近衛公に宣下を確約するようにミカドに進言させたのですと言うと、それでは、柳沢様とつるんでいなさるのかと聞くので、稲葉10万石を改易に持ち込めば高鍋藩の近接する天領、
5万石を加増して、

高鍋藩を8万石にすると言う条件で御座る、証拠はないと稲葉様は思っているのだろうが、梶川が喋れば公方様は、お怒りになり即刻切腹の上改易なさるでしょうというと、梶川が、
喋ったのですかと聞くので、止めただけで500石の加増がある分けないでしょう、後500石の加増が約束してあり、言う事を聞かなければ、赤穂の浪人が吉良より先に梶川を襲う、
事になっていると言ったら、

総てを喋り爪印を押しましたぞ、しかし、そのよな事をすれば梶川もただでは済むまいというので、あそこにいたのだから、梶川は稲葉様が浅野様に言ったのを立ち聞きしたと言う、
事にすれば良かろう、公方様は金屏風、過分な料理、200畳からの畳み変えは誰が指南したかと聞かれたでしょう、稲葉様は吉良だと言ったそうですが、この一件で総て稲葉様だ、
と思われますよ、逃れるすべはありますまいと笑うと、

顔が青ざめて、どうすれば稲葉様のお味方になってくださるのですかと聞くので、まあ、梶川の書いた自白書は柳沢様も知りませんから、破り捨てても良いが、高鍋藩を10万石に、
するなら考えても良い、しかし柳沢様が承知なさらぬでしょうというと、稲葉様に相談いたしまする、暫く猶予を下さりませんかと言うので、いつまでで御座るかと聞くと、事が、
事だけに即答は無理で御座る、

早急に検討してご返事申し上げるというので、そうですな、いい返事を待っていますぞと言うと、お勝つ、ボタン、あやめがお呼び頂き有難う御座いますというので、話はこれまで、
で御座ると言うと、懐から25両の包みを出して、これで今日の勘定はお払いくだされ、拙者はお先に失礼いたしますと席を立って出て行ったのです、みんなが、どうしたのですか、
と言うので、

ちと脅かし過ぎたみたいじあな、構わん入ってくれ、女将新之助と三蔵を呼んでくれと言って、源信、お蝶も出て来いというと、お蝶が源信殿が後をつけています、私は繋ぎをや、
りますと言うので、怯えて帰ったので面白くなるぞと言うと、源三郎様脅かしすぎですよと笑って出て行ったのです、あやめが誰ですかと聞くので、わしのコレだよと小指を立て、
ると、

嘘ばっかし、どう見ても忍びでしょうと足を抓ったのです、イテテテと言って、ここにあ奴がおいていった25両あるので、ご祝儀は弾むぞと言うと、三人がはあ~いといって傍、
に座り、代わる代わり酌をしたのです、人の金で呑む酒はたまらんと言うと、女将が何を脅かしたのですか、顔が真っ青になっていましたよと言うので、あ奴の藩10万石を潰す、
と脅かしたのさと言うと、

どうやってと女将が聞くので、嘘八百でだよというと、本気にしたんですかと聞くので、本気にしたから真っ青になったのさ、まったく、また引っ掛けたのねと、お勝つがいうの、
で、わしは引っ掛けの名人だからなあと酒を飲み干したのです、新之助と三蔵が入って来て、おう、赤穂から帰ったか、どうであったと聞くので、もう騒ぎは収まった頃だろう、
城は明け渡すそうだからのうと言うと、

舅殿もとんだ災難だったなと言うので、あの瓦版の内容は本当かと聞くと、まあ、本当だろうというので、今月は北町が月番だろう、奉行は何も言わんのかと聞くと、若年寄りに、
持ち込まれたそうだが、老中からはすておけとのお達しだったそうだ、赤穂浪士には係わるなとの事じあ、今になって片手落ちを認められたとみえる、吉良様はお役ごめんになる、
そうだ、

表向きは老齢ゆえ今回の怪我で役目が出来なくなったとの事だが、刀で切りつけられたのに、刀も抜かず逃げ惑ったのは、武士の風上にもおけぬ振る舞いだと言う事だそうだ、又、
後ろから抱きかかえた梶川殿も、武士の情けを知らぬ奴が加増等とはと怨嗟の声があがり、近々お役ごめんになるとの事じあと言うので、加増された500石はと聞くと、返上を願、
い出るしかないだろうと言ったのです、

泉岳寺での匠之守様の法要もお許しになったそうだ、なにやら、堂上方は赤穂びいきが増えているそうで、親藩の大名も浅野大学様の取りたてをするように言っているそうで、得、
に水戸光圀様が公方様に認めるように進言なされたそうで、公方様が吉良と伊達を改易にすると言い出されたそうだが、それをやれば幕府の権威は地に落ちると柳沢様が言われて、
このまま様子を見る事になったそうだと言うので、

瓦版の力は凄いなあと言うと、これ以上民衆を敵に回したくないのだろう、過去にも刃傷騒ぎで即日切腹になった例は沢山あるのに、今回は吉良様が生き残ったのでややこしくなっ、
たのだな、老中堀田様が今の老中稲葉様の従兄弟にあたる稲葉利休様に家光公法要の席で刺殺それた時も即刻切腹、改易になっているが、こんな騒ぎにはならなかった、原因は分か、
らずじまいだったそうだと言ったのです、

源信が戻って来てあ奴は高木監物と言う男で200石取りの近習頭だそうで、稲葉正通様の懐刀だそうで愛宕下の柳生道場の目録持ちだそうです、青い顔をして屋敷に入りましたが伊賀、
者が屋敷を警戒しており、中に入るのは難しゅうございます、外からでは特段騒ぎはみられませんと言うので、監視はいいだろうお蝶にも引き上げるように言うてくれ、今頃は二人、
で眉間にしわを寄せて密談しているだろうと言って、

源信に5両渡しこれは奴が置いて行った金だ、二人で分けてくれと言うと、扶持も沢山頂いています入りませぬと言うので、そういうなお蝶に着物くらい買うように言うてくれと言うと、
しからばありがたくと受け取るので、あとはゆつくり休んでくれと言うと、ハイと返事してす~と消えたのです、誰から巻き上げたのだと新之助が言うので稲葉の懐刀だよと言うと、
しかしなぜと聞くので、

瓦版に書いてあった、嫌がらせは奴が書いた品書きなのさ、本当の目的は浅野様に刃傷沙汰を起こさせ、切腹、改易に追い込み、縁続きである近衛公を怒らせ、公方様の従一位の宣下、
を邪魔して柳沢の面子を潰す為仕組まれたものだ、黒幕は老中稲葉正通様と言うわけだよ、わしがことごとく邪魔したので、14日の松の廊下で最後の仕掛けをやったのさ、梶川、稲葉、
はグルと言うわけだ、

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