第88話

文字数 2,709文字


源三郎江戸日記88

二人は居酒屋を出て居酒屋での出来事を大石に話すと、そうか、それで尾張藩の家老は慌てたわけだ、吉良と上杉がどうであろうと打ち込まねばならぬ、後は浅野本家の出方じあわしが、
江戸に下っているのは知っているだろう、襲われる可能性がある、一人での行動はつつしめと言ったのです、その頃千坂兵部は大石が京を出て江戸に向かっていると言う知らせを聞いて、

小林平八朗を呼び、ついに来たか、江戸には10月半ばには着くだろう、討ち入るとすれば10末か11月だろうと言うと、明日より寝ずの番を立てます、抜け穴も調べておきましょうと言う、
ので、おうめが南部坂の三好浅野家の瑤泉院様の傍に仕えておる、大石が必ず訪ねるはずだ、訪ねれれば即刻討ち入るだろう、直ぐに知らせる、応援は吉良様がここに到着してからしか、
出せんので、

応援が行くまで死んではならんぞ、付け人や浪人がいくら死んでも、吉良様が助かればこの戦我らの勝ちじあと言うので、最後の一人まで戦いますと平八郎が言ったのです、町奉行の耳、
にもは入り、与力に赤穂浪士に手を出してはならん、特に本所界隈は見回りも含めてやめるのだと言うと、与力が承知しましたみなに言ておきますと返事したのです、大阪の玄海屋の、
番頭からの知らせが七衛門に届き、

七衛門が根岸を訪れ、大石様以下5人が陸路江戸に向かったそうです、今頃は尾張に入るころでしょう、到着は10月半ばで、一旦相模の川崎村に入られるそうです、丸山での会議の結果、
人数は55人と言う事を吉田忠座衛門様が知らせてくれたそうですというので、そうか、まだそんなにいるのか、それでは大石殿は討ち入るしかないわけだ、そのうち討ち入る日も決まる、
だろう、

七衛門は当日の手配頼む、船には松明を積んでおけ、万が一吉良が屋敷を抜け出てれば、かならず船を手にいれようとするだろう、何人かを上陸させて川下に行くか川上に行くかを後を、
つけさせ、川舟もそれにともない移動するのだ、もし船に乗ろうとしたら松明を投げ込み邪魔するのだ、源信に行方を知らせればわしに繋ぎをとるので、大石殿にしらせ打ってを差し向、
けるが手は出してはならぬぞと言うと、

ハイ承知しております、隅田川から日本橋川にはいれさせませんと言ったのです、お峰に残念ながら舅殿は救う事はかなわなというと、仕方ありませぬ今となっては武運いうを祈るしか、
ありませぬ、気になされますなと言って、駒菊の産んだ男の子はと聞くので、乳の出もよくすくすく育っているそうじあ、母上の生んだ源四郎も元気で育っているようで目出度い事じあ、
というと、

父上に旦那様のお子を見せてやれないのが残念ですというので、子は天からの授かり物ゆえ仕方ないであろう、気にする事はないと言うと、他にお子をお作りになってもよろしゅう御座、
いますよと言うので、いいのだよ気は使わずにと笑ったのです、後しばらくじあ舅殿の世話をしてきなさいと言うと、ハイ、それではこれから出掛けますと言って、お峰は根岸の寮を出、
て行ったのです、

こうなったからには後の始末だが、討ち入った者の遺族は誉れとしてもてはやされるだろうが、残った男子は遠島を逃れる為に僧籍に入れねばならぬが、厭だと言う者も出てくるだろう、
多分大島に遠島になると思うが大島は住民も沢山住んでいる、玄海屋の拠点を作り商いと言う事にして、遺児達の面倒をみてくれ、大島は椿の名産地と聞く、椿油を江戸にはこぶ事にす、
れ良いだろう、

江戸にくる船の一部を大島に寄らせるようにするのじあと言うと、承知しました相模屋に言うて鑑札を幕府から取りますと言ったのです、残りは討ち入らなかった者達だが、仕官してい、
るものは仕官先を追い出されるであろう、どこかにその者達の村を作れればいいのだがと言うと、赤穂の塩田を開発してそこに送り込む事にしてはどうですか、資金はタップリあります、
よと言うので、

そうか脇坂様がお預かりになっているので、新しく塩田を開発してそれに従事させるようにすれば、みんなが肩を寄り添って暮らせるわけだ、出来れば一部の地域を脇坂様に加増して、
貰い、旧浅野藩士を郷士として土着してもらえばよいな、行き場のなくなった者を引き受けてくれれば良いわけだ、柳沢様に頼んでみょうと言ったのです、大石達は尾張藩士の真木が、
迎えに着たので、

大石は日野家の紋章の入った陣笠を被り馬に乗り、小物が道具箱を担ぎ、ほかの者は徒歩にて行列について行ったのです、夕方には今日の逗留する宿場に着き、本陣にわらじを脱いだ、
のです、入り口には日野家用人垣見五郎兵衛様一向ご逗留と言う看板が掲げられており、主人が出迎え奥座敷に案内したのです、それぞれ湯に入ると膳が用意され酒と料理が並んで、
います、

これは凄い馳走じあなと言うと、大高がなんせ日野家用人の一行ですからなあと言うと、それでは馳走になろうと杯を傾けたのです、楽しく歓談していると真木が入ってきて大変で御座、
る、本物の垣見五郎兵衛が今表に来ていますと言うので、何明日の予定ではと聞くと、よくわかりませんが、垣見は出立が早まって、今日になったが、なぜ表に看板があるのじあと聞い、
ているそうですがと言うので、

いまさら逃げるわけには参らぬ、しかたない、すでに垣見五郎兵衛は着いていると言うのだ、怒ってわしにあわせろと言うだろう、座敷に案内してくれ、ともかく話してみょうと言うと、
白い紙を用意させて三つ折にたたみ、袋をかぶせ盆に載せて、浅野家の家紋が入った風呂敷をかぶせたのです、主人がすでに垣見五郎兵衛様はお着きになって降りますが、ぢちらの、
垣見様ですかととぼけると、

なにを言うかわしが日野家の用人垣見五郎兵衛じあ、そ奴はまっかな偽者じあ、おのれと衛士が刀に手をかけると、垣見がわしが直接会ってやる案内しろと言うので、お待ちくだされと、
言って大石の元に来たので、ここに通してくれと言うとハイと返事して玄関に行き、お会いになるそうですと言って部屋に案内したのです、大石が座っていると垣見が入って来て前に、
座り、

それがしは日野家用人垣見五郎兵衛で御座る、お手前はと聞くので日野家用人垣見五郎兵衛で御座ると言うと、垣見五郎兵衛が二人いる訳が無い、なぜ人の名前を騙るのじあと言うので、
これは迷惑な、いきなり押入ってきて偽者呼ばわりは迷惑に御座ると言うと、にやりと笑い、本物の日野家の用人垣見五郎兵衛なら、日野家の道中手形があるはずじあ、それを拝見いた、
そうかと言うので、

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