第70話

文字数 2,714文字


源三郎江戸日記70

舅殿とも木刀か真剣で立ち会えば私の負けで怪我をします、そんな立会いは絶対しませんよ、武士の意地より命が大事で御座います、武士の風上に置けぬとなじられましても妻を泣か、
せる訳には行きませぬというと、大石がなる程そうで御座いますなあ、武士は何かといえば面子にこだわりますからねと言うと、孫太夫がそれが武士と言うものです、武士から面子を、
とれば何が残りますかと酒を飲み干すので、

源三郎が舅殿怒ってはいけませぬ、無用に怒れば大望など、果たせぬものですと酌をすると、それがしには太夫と婿殿はよく分かりませぬというので、お勝つがそれならよくお嬢様を、
源三郎様に嫁がされましたねというと、それはててごの源之丞殿との約束でござったので御座ると言うので、それでは舅殿は反対でしたのかと聞くと、反対ではないが婿に負けたので、
は面子がたたんだろうと苦笑いをするので、

なるほどそれで父上は小さい頃一本を取ってからは立ち会っては下さらんのか、面子が穢れると思われたのかというと、孫太夫がそうでござったか源之丞殿も面子が大事なんじあな、
それでこそ武士じあと笑ったのです、お勝つが一指しというと、ボタンと駒菊も立ち上がり、あやめの三味線で踊ったのです、踊りが終りみんなが拍手してそれぞれに見事な踊りだ、
と酌をすると飲み干し返杯したのです、

大石が馳走になり申した、みなが待っておりますのでと席を立ち上がり忠座衛門と店を出たので、籠にのせて源信頼むぞというと、承知と声が聞こえ、部孫太夫もわしも帰ると言って、
歩いて行ったのです、部屋に戻り七衛門にご苦労だったなと酌をすると、どうされるお積りですかねというので、約束なされたそうだが、これからは逃げの一手しかあるまいというと、

来年の一周忌はどうされるのですかと聞くので、江戸には顔は出されんだろうというと、それでは安兵衛様達が暴発されますよと言うので、それをどうするかだな、お勝つ安兵衛を、
女子漬けに出んもんだろうかというと、仕官なさる前は女遊びもすごかったですが、婿になられてからは奥方様一途になられたようですと言うので、弥平殿の娘子ならば武士の妻の、
鏡みたいなものだ、

心で思うても、絶対に悲しい顔などしないだろうな、他の女子を好きになりその女子が泣いて頼めばどうかなというと、それでは弥平様が可愛そうですよと言うので、弥平殿は老齢、
ゆえ死んでもいいのだろうが、奥方は可愛そうだ、忠義の夫なら再婚も出来ぬであろう、せめて子供でも宿しておけば、男でも女子でも救いはあるがというと、駒菊がそれでは私が、
安兵衛様の子を宿し、

男の子なら大きくなる頃は罪は許されるでしょうから、高禄で仕官させて奥方様を引き取ればいいですねと言うので、お前はどうするのだと聞くので、出来た子供は源三郎様に預けて、
嫁に行きますよと言うので、安兵衛とは知り合いかと聞くと、ええ、のんべえ安と言われていた時は随分介抱しましたよと言うので、情は交わしたのかと聞くと、二度ばかりありまし、
たが、

直ぐに婿に行かれたので諦めたのですと言うので、それでは奴には子種がないのかなというと、へべれけに酔って情を交わしてもやや子は出来ませんよと言うので、そうか一つ仕掛け、
てみるかと言うと、駒菊が嬉しいお願いしますと言うので、後半年あれば子は出来るかもしれんなと言ったのです、今日あたりは憤懣やるかたないので何処かで飲んでいるだろう玄庵、
先生に、

情を交わしたくなる薬を調合してもらい、酒にいれて飲ませればわからんだろう、クスリが利いてくる頃にわしが用事があると抜けて駒菊と二人きりにすれば、我慢できずにやけぼっ、
くりに火がつくわけだと言うと、お勝つが奥方が嘆くのではと言うので7年一緒にいて出来なかったのだ、外に子供がいるとすれば喜ぶよ、好きな男の血が入っているんだからなと言う、
と、

駒菊頑張りなさいとお勝つが言うと、一旦諦めた人です寄りが戻れば嬉しい、奥方には迷惑はかけませんと酒を飲み干したのです、女将に新之助を呼んでくれと言い、七衛門、新之助、
と飲んでいてくれ、お勝つ、駒菊、ボタン、あやめは貸切にしろ、クスリを手にいれたら安兵衛を探してつれてくる、七衛門と新之助は適当な時間にお勝つとボタンを連れて出て行っ、
てくれ、

わしはクスリを入れたらあやめと出て行って、駒菊だけを残しておく、後は適当に酒をすすめていればクスリが利いてくるわけじあ、この部屋には誰もちかづけないようにすると言う、
とみんなが承知したので店を出て玄庵のところに行き、惚れクスリはないか聞くと、何に使うのでと聞くので、策を話すとなるほど、それならこのクスリが良く利きますよ、飲んで、
暫くすると、

息子が騒ぎ出して自制が利かなくなります、白いうなじか足をみればか~となって抱きしめますよと笑うので、良いと言ってクスリを貰い、安兵衛の行き着けの飲み屋に行き、いた、
いたと言って、傍に座るとなんだ源三郎か久しぶりだなと言うので、今日大石殿が江戸に入られたそうではないか、いつ討ち入るのだと小さい声で言うと、あれは腰抜けだ討ち入る、
気持などないのかも知れんと言うので、

なんだその為に来たのではないのかと聞くと挨拶回りだとと言うので、ここでは人が聞いている俺に付き合え、新之助もいる奴は同心だが吉良の耳寄りな情報を持っているかも知れん、
というと、そうか、町方なら改修した松坂町の内部の事情や家人の人数も分かるかも知れんなというと、よし、行こうというので籠に載り深川に向かったのです、料理屋に着くと、
新之助と七衛門に、

お勝つ、駒菊、ボタン、あやめが飲んでいたのです、安兵衛がとまどった顔をするので、昔なじみだまあ飲めと酌をすると、飲み干し、新之助吉良の屋敷は知っておるかと聞くので、
ああ、改修はほぼ終ったそうだ、吉良の寝所はほぼ真ん中で、その両隣はそれぞれ5人が寝泊り出来る、武者溜まりだそうだ、少し放れたところに武者たまりがあり、総勢は50人位、
は寝泊りが出来るひろさと大工の棟梁が言つていたな、

なんでもお前達を警戒して上杉から20~30名を送り込み、浪人を集めているそうだ、来月に引っ越したときには万全の備えになると言う事だなというと、そうか、少人数では無理だ、
なと言うと、新之助が見回りの途中なのだ良い情報があれば教えるぞと言うと立ち上がり、七衛門も私もというと、お勝つがボタン次のお座敷に行くわよ、駒菊、あやめ後は宜しく、
というと部屋を出て行ったのです、

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