第48話

文字数 2,875文字


源三郎江戸日記48

印旛沼ではなく相模原の原野を開墾すれば沢山の新田が作れます、何とかしてそちらに向けさせるように策を考えましょう、矢部当たりに宿場をつくれば人の往来も多くなりますと言、
うと、若狭屋がそれなら秩父から相模の子安に抜ける道がありますので、それを広げて秩父から江戸への絹織物を運ぶ道にすれば相模原の原野が中間になりますので宿場を作れば発展、
しますよと言って、

私が組合を作って投資させて、その金で開拓できるか考えてみましょうと言うので、問題は灌漑用水路をどうつくるかです、これがもっとも金がかかります、粘土質なら簡単ですが、
そうでないと地中にしみこみ用水路の役目は果たしませんと言うと、なにか良い方法があるはずですと言うので、西洋で泥を固めてレンガと言う物をつくり、それで四角い用水路を、
作っているのだそうです、

レンガが作れれば丈夫で長持ちする用水路がつくれるはずですと源三郎が言うと、新之助が本来なら老中達が考えなければいけない事ですよと笑うので、殿様の頭ではとおてい無理、
だな、そうだ西洋の事に熱心なのは水戸のご老公だと聞いた、色んな西洋の書物をおもちだと言う事なので、何とか見せてもらうようにしょう、山クジラのハムを献上すれば会って、
下さるかも知れんと言うと、

ご老公が水戸郊外の西山荘と言うところにこもっておいでだと聞くと若狭屋が言うので、船で常陸に行き会ってくるとしょう、江戸湾から外海に行き黒潮に乗れば簡単かもしれない、
試してみますと言ったのです、三蔵が内々の話だそうですが、来年の勅使年賀の接待役に伊予吉田藩伊達様と赤穂藩長野様が決まったとの事で、今月中に仰せ付けられるとの事です、

長野様は17年前にすでにやられているとの事ですが公方様じきじきのご指名だそうです、何でも藩上げて山鹿流の武芸をやられているのが、お気に召さないそうで、柳沢様が一度や、
っているので他の大名にと進言したらしいのですが、高家筆頭の吉良様が赤穂は5万石だが、塩の専売で実収は7万石あり裕福であるので、勅使接待をやらせて財力をそいだ方が良い、
と進言なされて決まったそうですと言うので、

公方様は武芸を好む大名は好まれぬのでそうなったのだろう、浅野様も気の毒な事だな費用だけでも1500両は下るまい、だが、質素倹約の家風なれば蓄えもあるだろうが、江戸留守、
居役の舅殿も気苦労な事だな明日でもご機嫌伺いに顔を出してみょうと言うと、若狭屋が金寸の件なら言うでくだされ、いかようにも便宜ははかりますと言うので、問題は藩主長矩、
様だ、

賂等を特に嫌われているそうだ、幕閣に賂など贈って手心を加えてもらう等持っての他と常々言われているので、老中や若年寄りあたりも良くは思っていないだろう、難癖をつけら、
れて役目にさわりが出なければ良いがと言うと、若狭屋が国家老の大石様は堅物ではないですよ、この方が差配なされば万事上手くいく事でしょう、長矩様は大石様の言う事は良く、
聞かれるそうです、

今度の参勤交代では大事な役目があるので一緒に江戸に登られると思いますよと言ったのです、そうですか、舅の孫太夫殿が大石殿は国元では昼行灯とよばれており、政務は次席、
家老にまかせ城に登っても何もせず、いるか、いないかわからないそうですが、山鹿流はきわめておられ、家臣を上手に使うお方良で、長矩様は絶対の信頼をおいておられますと、
言っておりました、

どのようなお方か一度あって見たいものですと源三郎が言うと、三蔵が伊達様は自分から名乗りでられたそうですと言うので、莫大な費用がかかるのになぜだと聞くと、伊予吉田藩、
は伊予宇和島伊達藩の分家で3万石の大名なれど幕府では格式は準国主と言う事だそうで、本家から色々と指図をうけるそうです、それを嫌い幕府に格式を国主にしてもらうように、
働きかけているそうです、

どなたかはわかりませんが、今回の勅使年賀の接待役を願い出て勅使が喜ぶような接待をやれば、公方様の覚えも目出度くなり国主に格式を引き上げてもらえると言われたそうなん、
です、公方様はご母堂様の従一位任官を朝廷に上申しておられるそうで、とても大事な年賀の式典だそうですと言うのて、なる程それでは伊達殿は近年にない豪華な接待をするかも、
しれんな、

そうなると普通の接待をやる浅野家は比較されて恥をかくことにもなりかねないわけだと言うと、若狭屋が吉良殿がつりあいがとれないとして、とれるように指南なされるのではと、
言うので、確かに式事に嘘を教えて浅野様が失敗すれば吉良様の指南に問題ありとされるが、式事以外の事なれば吉良様の落ち度とはならないでしょう、浅野家は一枚岩で取り潰し、
につながる内紛もない、

しかし年賀の勅使接待で吉良様と浅野様に軋轢を生ませて、裏から煽り浅野様に刃傷沙汰をおこさせれば、両家は取り潰しとなり、老中にすれば一石2丁と、言う事になると言うと、
新之助がそれでは糸を引くのは柳沢様と言う事かと聞くので、それはわからん、柳沢様は高鍋藩取り潰しに失敗したので、他の老中は喜んでいるだろう、出し抜く為に他の老中が、
画策するかも知れんと言うと、

そうなると土屋様、稲葉様、秋元様のいずれかと言う事になるが、しかしどうやるのだと言うので、吉良様がどちらでも良いと指南された事を裏からこうした方良いと内密に指示す、
るのだよ、吉良様がどちらでも良いと言われたのだから、老中の言う事を聞いてもいいわけだ、蓋をあけたら伊達様が用意したものは絢爛豪華のもので、浅野様が用意したものは、
普通の物だったら、

浅野様は恥をかき吉良様がわざと自分に恥をかかせたと思うだろう、吉良様はどっちでも良い事なので文句言われても取り合わないはずだ、無視された浅野様は鬱積がたまりどこか、
で暴発するやも知れん、いわれのない文句を度々言われて、吉良様も浅野様をうとんじる事となり、軋轢は深まり暴言の一つくらい言うかもしれない、それが引き金になる恐れが、
ある、もつともわしの取りこし苦労かもしれんがと言って、

まあ家臣家族を含めて1500人はくだるまい、その者達の事を考えれば出来ぬ堪忍も堪えられるだろう、大石殿が江戸に登られ長矩様のお傍にいればそのような事は起こらんだろうと、
言うと、若狭屋が何かがあっては後の祭りです、奥田様にはよくよく言い含められたほうが宜しいですねと言ったのです、しかし、三蔵よくそこまでわかったなと言うと、用人の家来、
は陪臣なので、

給金も安い貧乏藩士です、お茶屋に連れて行き女の世話をすれば何でも教えてくれますよ、源三郎様の下さりました、金寸がものを言うと言う訳ですというので、なる程地獄の沙汰も、
金次第と言うわけかと笑うと、今回も沢山頂ましたので、その老中が誰かを探てみますと言うので、決して無理はするな命あってのものだねだからな、女房のお房を泣かせてはいかん、
ぞと言ったのです、

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