第64話

文字数 2,734文字


源三郎江戸日記64

稲葉様の後ろ盾の天満屋はどうなんだと聞くと、蔵には10万両はあるのではないかと相模屋が言うていましたと言うので、いずれも豪商だな、今回の小判改鋳で幕府には50万両から、
の蓄えができるはずじあ、秀忠公、家光公が家康公の蓄えられた物を日光東照宮などにお使いになり、ほとんどなくなりかけていたので、綱吉公はホットされている事だろうと言う、
と、

これも柳沢様の手柄になっているのですね、柳沢様は一連の手柄で8万石をお貰いになりました、源三郎様にも半分の4万石くらい分けるべきだと思うのですがというので、そんな物、
貰えば総て言う事を聞かなければならなくなるだろう、ごめんだなと酒を飲み干すと、貰わなくても色々柳沢様から押し付けられますよと女将が笑ったのです、七衛門に儲かった、
金で、蝦夷地の開発をしたらどうだ、

蝦夷地は殆んど幕府領だ、函館あたりは漁村くらいのものだろう、新しく拠点を作り、カンの子、筋子、たらこ、昆布、蟹、等を東回りで、江戸運べば塩も濃くしないで良いので上方、
回りよりは全然美味いはずだと言うと、ハイやってみましょう、江戸は人が増え続けており、これからは沢山の食べ物、材木、が必要になります、それに蝦夷は冬は厳しいですが5月、
から10月まではとても過ごしやすいそうです、

内陸地は大きな草原が広がっているそうで、夏でも気温はあがらないので米は取れませんが、寒さに強い野菜は育つと思います、又燃える水や燃える石もあるそうです、色々試して、
みましょうと言うので、どんな所か一度蝦夷地にも行ってみようと言ったのです、ボタンとあやめが部屋に入てきて、おいでなされませと挨拶するので、呼んでおらんがと言うと、
押しかけ座敷です、

花代はいりませんよと傍に来て酌をするので、さては前回ボタンはあぶれたので怒っているのかと聞くと、いいえ、お勝つ姉さんが私にも分けてくだいましたよと言うので、お勝つ、
も中々いい所があるではないかと言うと、あやめがボタン姉さんにへそを曲げられるとかないませんからねと笑うので、花代は七衛門が払ろうてくれるよと言うと、ハイ、ちゃん、
と払いますよと言うと、

ボタンがやったあと喜ぶので、あやめが私もと言うので、七衛門が勿論だよと言うと、よかったと喜んだのです、ところでボタンお前は七衛門と夫婦になり玄海屋の奥を仕切ってくれ、
ないか、七衛門どうだと言うと、そんな事急に言われてもと酒を飲むと、ボタンが芸者が商家の女房が務まるわけないですよ、玄海屋さんはお菊さんと言う奥を束ねている人が、
いるではないですか、

七衛門旦那の奥方にはピッタリですよと言うので、おう、お菊かあれはよく気が利く女子じあな、この前昼餉を馳走になっときにうなぎを出してくれたが、泥臭くなくてあのつけて、
あったタレが絶品だったな、誰かの知り合いかと聞くと、最初の千石船の船頭をやっている寅吉の妹で、葛飾柴又の生まれです、両親を早くに亡くしていまして、親戚に預けられて、
いたので、

働いてもらう事にしたのですと言うので、七衛門そのお菊はどうだと聞くと、お菊が何と言いますかと言うので、あの女子なら美形で大店の女房にはピッタリだな、女将使いを出して、
ここに呼んでくれと言うと、ハイと返事して下に降りていったのです、お菊が承知すれば七衛門に異存はないのだなと聞くと、ハイ、気だても良く、中々の働き者ですから女房になり、
奥を仕切ってくれるとありがたいですと言うので、

歳はいくつだと聞くとたしか、今年で23だと思いますと言うので、お前はと聞くと32になりますと言うので、9つ下か良いでは無いかお律もワシとは10は離れているぞと言うと、寅吉、
には異存はないだろうなと聞くと、前に貰ろうてくれないかと聞かれましたが、玄海屋を立ち上げるのに忙しくてそのままになっておりましたと言ったのです、お菊が入って来て挨拶、
して、

何か御用ですかと聞くので、玄海屋の奥を取り仕切っているそうだなと言うと、いたらない事が多くてすみませぬと言うので、実は七衛門の女房になって欲しいのだがと言うと、旦那、
様のですかと驚くので、どうだ厭か、厭なら無理して返事しなくて良いぞ、断ったからと言って店を追い出す事はせぬ、いままで通り奉公すればよい、誰か好いた者がいるのかと聞く、
と、

旦那様は私で宜しいのですかと聞くので、七衛門がお前が承知してくれればこんな嬉しい事はないと言うと、ハイ、宜しくお願いします、一生懸命旦那様にお使えしますと頭を下げた、
ので、よし決まった、それでは七衛門が戻って来てから本祝言を挙げることにして、今日は仮祝言としょう、女将杯を用意してくれと言って、ボタンとあやめが酌をして二人が杯を干、
したのです、

これで夫婦だ末永く、仲むつまじくなと言うと、ハイ、と二人が返事したのです、お菊が源三郎様はいつも、急に事を運ばれますので驚きます、まさか婚礼の話とは思いませんでした、
びつくりしましたよと言うので、お菊の気が変わらないうちに夫婦にしておかないと、他の男にもっていかれるだろうと笑うと、お菊がその男とは源三郎様なのでしょうと言うので、
気がついていたのかと言うと、

ハイ、いつも首筋あたりに感じていましたよと笑うと、七衛門がそれなら源三郎様のそばめにしなされと言うので、七衛門お菊の戯言にきまっているだろう、お前は冗談が通じないか、
らなあと酒を飲み干すと、お菊そうなのかと七衛門が聞くと、そうですよ、源三郎様は奥方様一筋なので他の女子に目は行きませんよ、お前様が一番ご存知でしょうと笑うので、これ、
は一本取られましたと苦笑いしたのです、

お前様宜しくお願いします、これから船子達の弁当を用意しなくてはなりません、これで失礼して宜しいでしょうかと聞くので、七衛門がそうかいいぞ宜しく頼むと言うと、源三郎様、
本日はありがとう御座いました、一生懸命に勤めます、ごゅつくり旦那様と飲んでくださりませと言うと、席を立ち部屋を出て行ったのです、中々の働き者じあな、これで玄海屋も、
万万歳じあと言うと、

みんながおめでとう御座いますと言ったのです、七衛門これで励みもできたなと言うと、ハイ、これも源三郎様のお陰ですと酌をしたので飲み干し、これからも頼むぞと返杯したのです、
あやめがそれでは次は源三郎様のそばめですねと酌をすると、ボタンがあやめ抜け駆けは許しませんよとにらみつけると、選ぶのは源三郎様ですとあやめが言うので、それでは二人とも、
そばめにするかと言うと、まあ、嬉しいと二人が喜んだのです、

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