第100話

文字数 2,725文字


源三郎江戸日記100

柘植時之助に御座いますと頭をさげるので、脇差を抜きエ~イと切りつけると右にかわし、二の太刀を脇差の鞘で受け止めて、何をなされますと言うので、脇差を鞘に納めて中々出来、
るな、許せ腕を見たまでじあ、殿の護衛であれば、腕が立たねば役に立たんと言うと、ハハ~と頭を下げるので、時之輔は治憲様に忠誠を誓い暗殺者の盾になれるかと聞くと、もとよ、
りその役目に御座いますというので、

よく申した、近習の仲で千坂寄りの者は役目からはずし、他の役目につけよ、無役にしてはひがみを買うでなと言うと、承知しました、そちが千坂の手の者なら、今日よりはわしの手、
の者になるのじあと言うと、ご家老の言いつけのままに従います、国家老を打てといわれれば、打ちますると言うのでよくぞ申した、これよりは頼むぞと治憲が言ったのです、源三郎、
が中々の腕にて時之助が傍にいれば安心に御座いますというと、

時之助、源三郎は堀内道場の目録持ちじあ、よくぞ二の太刀までかわした、見事じあぞと言うと、恐れ入りますと言ったのです、殿それでは明日の美女が集まるまで楽しみになされま、
せ、それがしは勘定奉行と話してきまする、明日また来ますゆえネズミにひかれぬようにしなされと言うと、席を立ち勘定奉行の御用部屋に行くと、これはご家老と頭を下げるので、

いちいち頭は下げんでもよい、先ほどは責任を取らされて切腹になるのではと思ったろう、心配するな殿は過去の事は不問に付すと言われていると言うと、勿体無いお言葉です殿には、
忠誠を誓いますると言うので、その借財をなんとかせねばならんが、まずは紀州公と天満屋だと言うと、さようですが策がありませぬと言うので、紀州公から返済の催促が来るであろ、
うが手は打ってある、

将軍家から2万両を紀州公にお貸しくださることになっておる、勿論無利子じあ、これで紀州公は台所の手当てが出来るので、上杉からの返済は待ってくださるはずじあ、そのお礼に、
紀州はみかんの名産なれど江戸にもってくるには完熟はくさるのでその前のものしか運んでこれず、酸味が残るのじあが、2日でもってこれればほぼ完熟が食できる、わしの知り合い、
の玄海屋の船は、

大阪からわずか2日で江戸に航行できる、その船につんで江戸で売れば飛ぶように売れるし、多少高くとも大名家は買うであろう、さすれば紀州様は冥加金が沢山入り、財政再建の、
一巻となるであろうと言うと、なる程、紀州様は喜ばれますなあと言うので、借財を棒引きにしてくださるかも知れんと言って、次に天満屋だがこれも利息くらい払えと言てくる、
だろうが、

4万両は天満屋の半分以下の利息で貸してくれる所を知っておる、そこから借りて全額返済する、それも玄海屋だと言うと、そうですか、それであれば米沢藩は助かります、それから、
わしの1000石だが、手当てするには及ばん、屋敷も必要ない、表高だけにするが良いというと、それではと言うので、わしの実家は若狭屋なのじあ、金はいくらでもあると言って、

わしはそばめの子なのじあ、母上は若狭屋の娘で、妻は今回吉良家に討ち入った赤穂藩江戸留守居役、奥田孫太夫殿の娘と言うわけじあと言うと、そうでござりますか、若狭屋から、
8000両借りておりますと言うので、暫くは利子も払わんでも良いと言うと、それは助かりますと言ったのです、ただし、これは天満屋が何かを言うてきてからじあそれまでは知らん、
顔をしておけ、ところで米沢藩の米はどこの札差が仕切っているのじあと聞くと、

天満屋に御座いますというので、なるほどな、そうなると当然賂もあるはずじあ、ありていに白状するが良い、おまえは月々いくら天満屋から貰っているのじあと聞くと、済みませぬ、
10両にござりますと言うので、千坂がもろうておけと言ったのかと聞くと、ハイと返事するので、それは何に使こうているのじあと聞くと、藩士の慰労の為や微禄の者の救済に御座り、
ますると言うので、

そうかそれはそのまま続けよと言うと、よろしいのですかと聞くので、上杉家は微禄の者が多く毎日の糧にも事かくのであろう、藩の為になっているのじあそのままで良い、総てを、
正すのが政ではないわ、そなたもその中から酒と女にすこしは使うてもよいぞ、毎日銭勘定では息がつまるであろう、天満屋を干したときには他に手に入れる方法を教えてやろうと、
言うと、

何と大胆なと驚くので、武士は質素倹約などとはだれが言い出したのじあ、武士とて美味い物を食らい女も抱きたいであろうと言うと、それはそうでござるがと言うので、殿は英明、
なお方ゆえ藩財政はきっと立ち直る、そなたも安心しろと言うと、何か希望が出てきました一生懸命ご奉公いたしますと言ったのです、時にはみなも慰労してやれと言うと御用部屋、
を出たのです、

さて次は隠居なされた綱紀様と奥方様じあな、さぞかしお怒りであろうと奥に歩いていったのです、勘定奉行の御用部屋に千坂兵部が入って来たのでこれはご家老と言うと、今まで、
主席家老がいたようだがと言うので、総てを話すと、なんと総ての手を打つているのか、柳沢様とも親しいと言う事じあな、天満屋は稲葉様の後押しじあ、何か恨みがあるのか、赤穂、
と係わりがあるのかも知れんと言うと、

今回吉良家に打ちいった赤穂藩江戸留守居役の娘子が奥方だそうですと言うと、何奥田孫太夫の娘とな、そうか、あの抜け穴を見つけたのは奴だったのか、稲葉様の仕掛けをことごと、
く潰したのも奴なのだ、さいごは城中の事ゆえ手がだせなんだろう、賂も認めたのかと聞くと、藩の為になるのでそのまま続けよとの事に御座りますと言うと、中々あじな事をやる、
ではないか、

奴なら藩財政は立て直せるであろう、そのような知恵者にそれがし如きが勝てるわけないなと笑って、それでは国元に返り隠居願いを出すとしょう、話を聞いて安心したぞ、殿の強気、
は奴がいるからじあな、ところでその主席家老はと聞くと、なんでもご隠居に会うとか言われて奥にいきなされましたがと言うので、何綱紀様に会うだと、えらい怒っておられるぞ、
何をする気じあと言ったのです、

綱紀の御前に座り、今般米沢藩の主席家老に就任しました村上源三郎に御座いますと言うと、なにゆえ治憲は挨拶にこぬのじあと言うので、それが、米沢藩の借財が9万両もある事に、
腹を立てられて、主席家老以下幹部は全員切腹せよと言われて、これは総て綱紀様が借りられたものだろう、そのような方を父上とは呼ばぬとへそを曲げられたので、なんとか、
なだめたので御座います、

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