第62話

文字数 2,763文字


源三郎江戸日記63

高木が慌てて上屋敷に帰り、正通の御座所に行くと、どうしたのだ顔色が悪いぞと正通が言うので、奴は松の廊下の匠之守が逆上した理由をしっています、梶川を脅して自白させた書付、
をもっていますと言うので、梶川が自白なんかするわけないと言うと、その自白書には殿が匠之守へ吉良の企みを懺悔したと書いてあるそうですと言うと、匠之守が刃傷に及んだ時わし、
は公方様の控えの間にいたのじあ、

公方様はよくご存知だ、そのわしが松の廊下に行けるはずがない、奴はそなたを引っ掛けたのだよ、そなたの顔色が変わったのをみて、梶川が匠之守に懺悔した事を確信し、それはわし、
の指示だとわかったのだろう、もしその自白書があり柳沢の手にわたり公方様に知らせたとしても、恥をかくのは柳沢じあ、しかし奴が梶川をいたぶれば総てを喋るだろう、梶川を始末、
するしかあるまい、

腕の立つ者を二人選び、その者に警護の侍を襲わせて引き付け、そなたが隙をみて梶川を始末しろ、浪人の格好をして覆面をするのだ、梶川は赤穂浪士にも憎まれているので赤穂浪士が、
襲ったのだと思うだろう、10人もいて主人が殺されれば、武門の恥としてお家は断絶となるので、公儀には病死として届けるはずだ、旗本、大名には町方は手はだせんからのう、赤穂浪士、
と言う確証もないので詮議はしないだろう、

始末したあと奴にはわしに助成するなら、柳沢の川越と甲府の15万石を潰したのちに高鍋藩は7万石加増して10万石にすると言えば良い、どうせ柳沢も空手形に違いない、怯えているよう、
に見せかける為に、この書付をもち日本橋の両替商天満屋に行き1000両を受け取り、奴に改易になり浪人となった旧赤穂藩士の救済に使ってくれと渡してやれ、そうすれば優位に立ったと、
しておとなしくなるだろう、

その内上杉共々高鍋藩も潰してやる、時期を待つのだと言って、梶川は近々今回加増された知行地に検分に行くと言うておった、そこを狙え、浪人に襲われた事を百姓に目撃させるのだと、
指示すると、承知しました、草の者に梶川を見晴らせますと言うと、御座所を出て行ったのです、暫くして梶川は知行地巡察の途中で何者かに惨殺され、お家断絶をおそれた梶川家では、
公儀に病死として届け出て嫡男の相続が許されたのです、

源三郎が居酒屋で飲んでいると新之助が入って来て、梶川が浪人者に襲われて殺された、断絶を恐れて公儀には病死として届けられて、嫡男の相続が認められたそうだ梶川は左袈裟切りで、
切り殺されたいたそうで、凄腕の持ち主だと目黒代官所の同心が教えてくれた、赤穂浪士の仕業ではないかと言うので、それは新陰流の太刀筋だな、高木監物の仕業だ梶川は口封じされた、
のだよ、

梶川さえいなくなれば総ては闇の中だと言うと、新之助が梶川が懺悔の犯人なら次自業自得と言うわけか、それにしても稲葉様は汚いと源三郎は酒を飲み干したのです、次にわしを狙えば、
面白いのだがと言うと、新之助がお前の腕は知っているのだろう、藪をつついてヘビがでるといけないから狙うもんかと笑ったのです、料理屋の女将から高木監物様がおみえになってい、
ます、

源三郎様を呼んでくれとの事ですと言うので、ほら来た何と返事するつもりだと居酒屋を出て料理屋に行き部屋に入ると、返事を持ってきましたというので、聞かせてもらいましょうと、
言うと、稲葉様に助力をすれば柳沢の川越、甲府を取り潰したあかつきには高鍋藩を10万石に加増すると言われています、柳沢さえ潰せば誰も稲葉様に異を唱える者はいませんと言った、
のです、

なる程どちらにするか選べという事ですな、梶川の口は封じたので怖い者はない訳だと言うと、我々は関知しておらぬ、赤穂の浪人がやったのだろうと言ったのです、じっくり考えまし、
ようと言うと、稲葉様は改易になった旧浅野家臣を気の毒に思われて、ここに千両持参してまいり申した、その者達の救済に当てて下されとの事で御座ると言うので、それはご危篤な事、
で御座いますなと言うと、

なにとぞいい返事をくださりませと言うので、これで助成を強要なさるつもりでと聞くと、いや、この金は救済金でござればその件とは関係ござらぬというので、それなら遠慮なく、
預かり、救済に使わせていただくと受け取ったのです、まあ、稲葉様に助成しないのに、柳沢様だけに助成はしませぬというと、わかり申した、それではこれで失礼すると帰って行っ、
たのです、

女将が本当に持ってきましたねと驚くので、怯えているふりをして油断させる為だよと言うと、それでは裏に大きな陰謀を仕組もうとしているのですかと聞くので、何だかわからんが、
そんな処でしょう、柳沢様共々油断のならない魑魅魍魎な人達ですねと言って、七衛門を呼んでくだされと頼んだのです、七衛門が来たので事情を話して、今度の便でこれを京山城に、
いる大石殿に渡してくれ、

今添え状をしたためると言って、筆と紙を借り、江戸の様子を書き、落ち着いた頃なので、是非江戸に下りなされませ、追伸で稲葉様の反省料にござります、自由にお使いくださりま、
せと書きしたためたのです、承知しました必ずお届けしますと言って、稲葉様はどういうつもりなんですかと聞くので、余計な事に手をだすなと言う事だよ、さて何を仕掛けてくるの、
か楽しみだよと笑ったのです、

ところで玄海屋はいかほど儲かっているのでと聞くと、船も2隻増やして4隻にして荷役と人を運んでおり、大名家の早飛躍船便の約定をしており、いざと言うときに素早く届けるように、
必ず1隻は江戸にいるようにしてあります、その商いも含めて今5万両の蓄えがありますと言うので、それは凄いではないかと言うと、高鍋藩も利は1万両は超えております、微禄の藩士、
の方も喜んでおるそうですと言って、

総て源三郎様の物ですご自由にお使いくださりませと言うので、儲かったものはみんなで使こうてもいいのだぞと言うと、給金は十分に渡してありますと言うので、そうか、そろそろ、
お前も嫁を迎えろ、めがねにかなう女子はいないのかと聞くと、商いに夢中になり忘れていました、心して探しますと言ったのです、久しぶりじあお前も飲めと言って膳を用意させて、
杯を重ねたのです、

そうでした相模屋が船を4隻増やしたそうです、2000両の方位磁石計の代金を払いました、これで都合8000両の利がでた事になります、ほうそうすると相模屋も相当利が出ているなと、
言うと、おそらく蔵には20万両は入っていると思いますと言うので、それは凄いその内幕府のご金蔵より多くなるなと言うと、柳沢様は幕閣を動かすのが容易なはずですと言うので、

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