第107話

文字数 2,813文字


源三郎江戸日記107

脇坂様に加増と言う形で旧浅野家家臣救済を認められたので御座る、しかし世間はそうは見ませぬ、討ち入った者は忠義の志士とし、討ち入らなかった者は不忠とさげすまれる事でし、
ょうが、みんな生きていかなければなりません、寄り添いあえば世間の冷たい風からも身をまもれます、赤穂に残った者にはそれぞれ10石にて郷士に取り立ててもらえます、他に散ら、
ばっている者達も、

行き場がなくなり困る人も出てくるでしょう、ここの浅野の旧家臣が沢山いると知れば集まってきます、そこで塩田開発と新田開発をして救済する必要があります、開発資金は天野屋、
殿から5千両、それがしの肝いりである玄海屋から1万両を用立てます、大野殿が行事となり開発をお願いしたい、塩作りの指南は天野屋殿から職人を派遣してもらいます、また年貢、
冥加金はそれぞれ2分にしてもらいましたので、

1分を玄海屋に納め、後は皆で分配してくだされ、上手く行くようになれば、石高も一人50石以上の見入りになりますと言うと、何から何までありがとう御座います、みんなで生きて、
いけるように頑張ります、又討ち入られた遺児のかたでご希望があれば受け入れるようにしますと言ったのです、女将が江戸より来なされたとか、遠いところお疲れ様にございます、

今は牡蠣がしゅんです、生牡蠣、焼き牡蠣、牡蠣の揚げ物に魚介類の刺し身、にタイのかぶと焼に御座いますと言って、利兵衛がさあ奥方様、妹子様も箸をつけて下さりませと言う、
ので箸をつけて美味い、美味いと喜んだのです、源三郎が大野殿も損な役割でござったなと言うと、しかたありませぬと酒を飲み干すので、お律がなぜで御座いますかと聞くので、

もう話しても良かろう、実は大石殿は討ち入りが、失敗する事も計算にいれられていたのじあ、その時は切腹して果てるつもりであったが、第二弾が用意してあったのじあ、それは、
大野殿を大将として再び徒党を組み吉良家に討ち入ると言う計画じあ、そのために大野殿に因果を含め、赤穂に留まるように依頼されたのじあ、第一陣を選ぶときに大野殿他50人に、

殉死には加わらないように諭されたのじあよ、第一陣60人を選んだのだが、殉死をやめて、大学様での再興を願い出ると言うと、次々とひとが集まり起請文の数は100人に登ったが、
赤穂に残った50人は加わらなかったのじあよ、大学様の再興がかなわぬと知った者45人は脱命して55人が残り、最後には47人となり打ち入り成功したので第二陣の大野殿達は目的、
を失う事になってしまった、

そこで救済をそれがしに、頼まれたのじあよと話すと、大野黒兵衛がそうですか大石様は話されていたのですか、しかし、わたしが留めた為にこの50人は討ち入りには加われずに、
卑怯者にしてしまったと言うので、役目なればいたしかたないで御座ろう、生きていくのも又忠義にござりますと言うと、天野屋がお渡しします5000両はその為の軍資金で御座り、
ました、

大石様が藩札交換のおりお話しされて頼まれたものですというので、そうですか、天野屋殿にも頼まれていたのかと言うと、ハイ、大石様は思慮深い方でしたなと言うと、大野が、
討ち入るのも迷われた事でしょう、第一陣の脱命者が多く出て、討ち入りができなくなれば、第二陣がやる必要はない、さすれば、誰も不幸にはならんと言われていましたと言う、
ので、

今となってはいたし方ござらぬ、皆様方も忠義の志士に御座ると言うと、真実を知っておられる方がいて嬉しゅうござる、みなも喜びましょうと言ったのです、色々と今後の事を話、
それでは馳走になりました、明日は迎えにきますので博多から高鍋に回りますと言うと、立ち上がり旅籠に戻ったのです、これで用事は済んだ明日は船に乗り博多に向かおうと言っ、
て茶漬けを頼みかきこんだのです、

翌日は船が赤穂の沖についたと船子が向かえに来たので小船で千石船に乗り移り、瀬戸内海を一路下関に向かったのです、瀬戸内の多くの小島をみてお律は喜んでいます、船頭が、
明日の昼過ぎには博多に着きます、瀬戸内は穏やかですから船はほとんど揺れませんと話したのです、さて寝るかと横になり毛布を被ると暫くして船頭がすみませんと起すので甲板、
にでると、

帆をおろしており、どうしたと聞くと見張りが先に何かがあると言うので停船したのですが、良く分かりませんと言うので、海賊退治の火矢は積んでいるなと言うと、ハイあります、
と言うのでもってこらせてこの導火線を半分にすれば空にあるうちに爆発してあたりを照らすはずだと言うと、なる程と言うので、弓矢を一杯に絞ったら導火線に火をつけてくれ、
とお峰に頼み、

前方の空に向かって弓を引き絞り、つけろと言うとお峰が火をつけたので放つと弓は空に向かって飛んで行きどか~んと爆発して当たりは昼間のように明るくなり、前方に小船が、
浮いているのが見えたのです、船子が小船に3人乗っていますと言うので、よし帆を三分の一張れゆっくり近づくのだと言って進んで行き、傍に来ると帆をたたみイカリをいれて、
呼びかけると、

3人が手漕ぎで船に近づいたので、縄梯子をたらすと乗り移ったのです、震えているので、布で海水を拭かせ、古着に着替えさせて、かまどに火をたき当たらせて、お律に熱い茶、
を飲ませてやれと言うと、飲んで震えが止まったので、どうしたのだと聞くと、船が座礁して振り落とされ、小船も落ちたらしく浮いていたので泳いで乗り移ったと言うので、
夜航行していたのかと聞くと、

急ぎの荷があり下関を出ると時は晴れていて、今日は満月なので走れると言う事で港を出たが途中で夜になり段々雲が出て来て、方角が分からなくなり帆をたたんでイカリを降ろし、
て夜が明けるのを待つ事にしたが、潮の流れが速く流されたみたいで突然バリバリと音がして岩礁にのりあげ甲板にいた5人が海になげだされたが、後の二人はわからないと言っ、
たのです、

何人乗っていたのだと聞くと、20人程ですというので、船は沈みそうだったかと聞くと、わからないが長くはもたんかもしれやせんと言うので、甲板に行き船頭に聞くと多分西か、
ら流れて来たのでしょう、暗くては座礁している船を見つけるのは難しいですし、見つけても近づく事は危なくてできませんと言うので、小船を降ろして助けられるかもしれん、

船をゆつくり進めてくれと言うと、帆を半分張れというとゆつくりとすすんで行ったのです、さつきは何間先まで見えたか船子に聞くと、およそ500間ですと言うので、わかった、
火矢は何本あるのだと聞くと、50本は積んでありますと言うので、それでは500間ごとに火矢を打つので、全員で監視するのだと言うと、いくぞと言うと弓を絞り放つとどかんと、
音がして明るくなり、

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み