第35話

文字数 2,864文字


源三郎江戸日記35

それでは本当にこれで帰りますといって1両だすと、いりませんよと言うので、これで女中達に飾り物でも買ってあげて、女将に上げると誰かに悋気を買うからなあと言うと、いいん、
ですかと言うので、袖口に押し込んだのです、店を出てもう出てこないだろうなと屋敷に帰ると、裏木戸は開いています、中に入り裏木戸を閉めて、部屋に行くと、行灯はついてい、
ます、

お峰がお帰りなさりませと言うので、すつかり遅くなって済まんと言うと、茶漬けの用意がしてありますと言うので座り、茶漬けをかきこみ、ああ、うまかったといって、寝間に着替、
えると、膳を片付けてきますと部屋を出て行ったので、寝酒を飲んでいると戻って来て、酌をするので飲み干して杯をやり酒を注ぐと飲み干し、それでは休みましょうと言うので布団、
に入ると何かを言おうとするので、

唇に手を当て腰紐をとき、激しく燃えあがったのです、行為が終り、何だか疲れているみたいですねと言うので、うん、明日話すよと言うと、ハイと返事をして胸に顔をうずめるの、
で抱きしめたのです、翌日声がするので目を覚ますと、頭がガン、ガン、するのでこれは参ったというと、みなさんは先に朝餉は済まされましたよと言うので、それはまずいと言う、
と、

夕べは随分遅かったみたいですから、寝かせておきなさいとお婆様が言って下さったのですよと言うので、お峰はと聞くと、私も頂きましたよと言うので、それではもう少し寝かせて、
くれ布団を被ると、いいですよと言って部屋を出て行ったのです、何とか頭の痛さが取れたので歯を磨き顔を洗って広間に行くと、祖母が随分のんでいたようだけど大丈夫ですかと言、
うので、

やってしまいましたと言うと、話はつきましたかと言うので、兄者は何か言っていましたかと聞くと、物産会所の話はききました、この婆も人肌脱ぎますよと言うので、宜しくお願い、
しますと言うと、仕事とは言えあまり深酒はしてはいけませんよ、お峰殿が心配していましたよと言うので、ハイ肝に命じますと言うと、良い簪を貰いました、お峰殿とおそろいだ、
そうでとても気にいりましたよと言うので、

それはよかったというと、着物の生地まで買うてくれたそうで、そんなに気を使わなくていいのにと言うので、殿がお爺様とお婆様に何か買うてやれと言われたのですというと、そう、
ですか、それは勿体無い事です、体の続く限りご奉公しますよと笑ったのです、お峰が昼餉になりましたが昨日取った雉の吸い物ですよと言うので、一口食べてこれは美味いというと、
いけない飯からだと言うと、

祖母は知らん顔しています、飯を食ってこの飯も上手く炊けていて美味いというと、それはお滝が炊いたのですとお峰が言ったのです、昼餉を終り部屋に戻り、祖父はと聞くと釣りに、
行くと出掛けられました、そうか、何を釣りにと言うと、海だと言うておられましたがと言うので、それではチヌかも知れないと言うと、変な名前ですねと言うので黒鯛の事だよ、

その柘植の櫛はよく似合うよと言うと、旦那様の武勇伝を小間物屋の亭主から聞きましたというので、余計な事をと言うと、地酒とカツオの塩辛を貰いましたよ、夕餉にだしますよと、
言うので、それは楽しみだというと、昨日の芸者はどうでしたと聞くので、田舎にしては踊りは上手かったよと言うと、若い人ですかと聞くので、歳は聞いていないけど、一人は18、
位でもう一人は25位じやないかと言うと、

綺麗な人ですかと聞くので、まあまあだけどお峰にはかなわないよと言うと、まあ口がお上手ですねと言うので、何もしていないよと言うと、そんな事は聞いていませんよと笑うの、
で本当だよと言うと、わかっております、帰って来てあんなに元気だったですものと言うので、帰る時に予期せぬ奴らが現れて説得するのに手間取ったんだよと言うと、また待ち伏、
せですかと聞くので、

切りかかって来たわけではないが、話しがあると言うので付き合ったわけだ、納得したみたいだが、どうだかは分からんなと言うと、こまった人達ですねと言うので、まあ、これで、
おとなしくなるだろうと言うと、それはご苦労様でしたと言ったのです、祖母は櫛と着物が利いたみたいだねと言うと、ええ、とても喜んでおられましたよ、源一朗様は源三郎は、
遠山に沢山策を授けているのですよと、

遅い言い訳をしておられましたと言うので、そうか、良い兄者だと言うと、お爺様がそんな事は直ぐに終り、今頃は芸者をあげて、ドンちゃん騒ぎでもしているんだろうと笑って、
おられましたと言うので、総て読まれているのかと言うと、お峰がクス、クス笑ったのです、明日は海でも行くかと言うと、弁当をもって行きましょうと喜んだのです、

それでは吉蔵の所に様子を見にいくが、お峰もどうだと芸者はおらんがと聞くと、まあ、悋気はしておりませんよと笑い、夕餉までは暇ですからお供しますと袴姿になり、行きまし、
ょうと言うので、馬にのりゆるりと出掛けたのです、家に近づくと大勢の村の衆が川のほとりで普請をしており、吉蔵が源三郎様できましたよ、ここは粘土質だから水は下にしみ込、
ません、

丁度池に水をいれるところです、谷川と同じに岩の回りは少し深く、後は浅くして小石が沢山いれてありそれに生えた藻が水を浄化してくれます、回りに木が生えていますので岩魚、
のえさになる虫も沢山おり、卵を産み付けに池に入るところを岩魚が食べると言う分けです、大雨の時は入り口を塞ぎますので池が濁ったり、水があふれる事はありません、村の衆、
が岩魚を沢山捕まえてくれました、

100匹ほどいますと話し、それではと言った池への水り取り入れ口を空けると水が勢いよく流れて池に溜まって行ったのです、ここで取れた岩魚は城下で売りさばきその金寸はみんな、
で分ける事にしますと言って、みなの衆ご苦労様茶でも飲んでくれと言って湯のみに酒を入れると、みんなが喜んでいたのです、名主が近づいてきて、これは源三郎様お元気そうで、
と言うので、

庄衛門も元気でなによりじあと言う、この岩魚の養殖と薬草園の頭取は吉蔵がやります、これが上手くいけば村の暮らし向きもよくなりますと言うので、そなた達の暮らし向きが良、
くなれば藩も潤う訳じあと言って、これは内儀のお峰じあと言うと、奥方様をお貰いなったと吉蔵から聞きました、名主の庄衛門で御座いますというので、宜しく頼みますぞと言っ、
たのです、

吉蔵が庭の薬草園に案内し約50種類の薬草を植えました半年もあれば取り入れられます、ここで取り入れる他山に入ったついでに摘んできてもらいます、これも藩へ納入し買い上げ、
の金寸は公平に分けます、山クジラ、椎茸、大根、は納めた者から買い上げて藩へ納入します、今日はその約定の為頭取の遠山様に、お会いすることになっておりますというので、
竹細工、シュロ細工なんかもいいではないかと言うと、

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