第83話

文字数 2,910文字


源三郎江戸日記83

5月になり不和と大高は山科について大石の家に行きましたが京都の島原にいると言う事です、大高が太夫は島原に入り浸りと言う事ですが、本当に仇を打ちなさる積りでかと聞くと、
その様な事を女子の私にわかるはずが無いと言うので、しからば直接太夫に聞きにいきますと大石宅を出て島原に向かったのです、大石の遊びは有名ですぐに居所がわかり面会を求、
めると座敷に案内され、

部屋に入ると大石は太夫の膝枕で寝ていたのです、ご家老と呼びかけると起き上がり、わしは家老ではないただの素浪人じあと言うので、ならば太夫いつ江戸に下られるのですかと、
聞くと、大学様の処分がきまるまでは行くつもりは無いと言うと、いつ決まるとお思いですかと聞くと、それは幕閣に聞かなければわからん、まあ、酒でも飲めと言うので、大高が、
酒を飲みにわざわざ京都に来たのでは御座らんと言うと、

そうかそれならと杯を出すと太夫が酒をついだのです、江戸の者達はもう辛抱できませぬ、引当金もなくなり路頭に迷うものも出ています、このままでは脱命者が増えて討ち入りは、
出来なくなりますと言うと、そのときはわしが泉岳寺の殿の墓前で腹を切りお詫びする積りじあと言うと、もう待てませぬ、動かれぬのなら、これより江戸帰り、江戸の26人で打ち、
込みますると言うと、

相手は50人からいるのじあぞ成功するはずはなかろうと言うと、このまま何もせずしまいに殿の墓前で腹を切るよりましで御座ると言うので、わかった、致し方ない、連判の100人に、
京丸山に集まるように連絡する、そこで最後の血盟の儀を行い、意思を確認し、そこに集まった者だけで決起する事にする、その後江戸に下り決行しょうと言うので、大学様の処分、
が出なくても打ち入られるのですなと聞くと、

勿論その積りである江戸の同志にも伝えられたしというと、太夫わしの道具箱はと聞くと、ここにあますと渡すので蓋を開けて25両包みを8個渡し、これを江戸の窮乏する者に分けて、
討ち入りまで病気になるなと伝えてくれといい、吉田忠座衛門をよんでくれと言って、吉田が来ると赤穂、京、大阪の近辺にいる者達に京丸山にくるように連絡するのにはどの位、
かかりますかと聞くと、

散らばっているゆえに3月はかかりましょう、集まれるのは7月になりますと言うので7月末の大安吉日に血盟の儀を行う、参集されたしと連絡をしてくだされ、血盟が終り次第に、
江戸へ下り、吉良の様子を探り一挙に打ち込みますると言うと、わかり申した連絡をいたしますと部屋を出て行ったのです、これで良いかと言うと、ハイ太夫は討ち入らないので、
は無いかと思いましたがと言うと、

どうして討ち入りにこだわるのだ、殿への儀立てはわし一人で良いのじあよ、殿は刃傷に及ばれ赤穂藩家臣と家族1200人を路頭に迷わされたのじあ、殿の遺恨による刃傷はわかるが、
君主の道にあらず、したがって義理立てするには及ばぬのだよ、戦国の世ならとつくにみんな他家へ仕官しておるわ、戦の前に大将がいなくなったようなものだ、遺恨あらば家臣を、
率いて幕府と一戦交えるか、

殿を大将にして吉良の屋敷に打ち込んで戦をするべきであろうと言うと、それでは忠義の一分が立ちませぬと言うので、忠義とはおのれの家族を守る為に尽くすものじあ、赤穂藩が、
あれば殿の為に切り死にしても、子供が取りたてられるであろう、それで忠義を尽くすのじあ、赤穂藩が無いのに吉良の首を上げて誰が家族を取り立ててくれるのじあ、おかしいで、
はないかと言うので、

金の為に忠義を尽くすと言われるのかと大高が言うと、そのとおりじあ、金もなく飯も食えぬでは戦いなど出来るものか、武士は食わねど高楊枝とは負け犬の言う事だ、米びつの、
底が見えた時の辛さは浪浪の身になって一年もすれば身にしみるようになる、そうであろう和衛門というと、おおせの通りにござりまする、それがしは4年の間浪浪の身で御座い、
まして身にしみておりますと言うので、

ならばなぜありもしない藩に帰参して討ち入りに参加するのじあと聞くと、それがしにも親類縁者はいます、浪浪のおりに義姉が手助けしてくれました、その義姉への恩返ししです、
と言うので、打ち入った後は幕府から切腹を申し付けられ、家族の男は16才をもって連座の罪に問われ遠島になるのだぞと言うと、承知しております、しかし当代様が変われば赦免、
され、

いずれの大名も忠義の武士の縁者として高禄で仕官出来るでしょう、又女子も良い所へ嫁にいけます、総て金の為に御座いますと言うので、和衛門天晴れじあ、それこそ何かを守る、
と言う事じあな、それなら討ち入りは絶対成功させねばならんと言うと、大高が申し訳御座りませぬ、そこまでは思いつきもしませんでした、それがしにも親類縁者はいます、その、
者達を守る為に死ぬのは武士の本懐ですと涙を流すので、

大高泣くな角出の酒じあと言うと太夫が二人に注ぎ飲み干して、これよりは太夫の言いつけを守り、もし打ちいる人数が少なくなったら殿の墓前で腹を切りますというので、一人に、
なっても吉良の首は上げてみせるわと大石が笑ったので、どうやってと聞くと、隠れて名前を隠し何処までも付けねらうのだよ、10年も辛抱すれば一度や二度は機会は訪れるであろ、
う、

その間、卑怯者とののしられようがいいのだ、つてを便り金を手に入れ武器を買い、助っ人を金で買い、軍団を調練して、吉良が死ねばその、息子と上杉綱紀を討ち取れば良いのだ、
それでも立派な敵討ちとなる、敵討ちに助っ人は認められているであろうと言うと、してその宛ては御座るのですかと聞くので、村上源三郎殿は必ず助太刀くださるというと、なぜ、
そこまでと聞くと、

かの御仁は天下の大策士で御座る、又金儲けの天才じあ、恐らく自由になる金は5万両は下るまい、武士であるが金儲けが汚いとは思われぬお方じあ、そこもと達に渡した金は赤穂藩、
取り潰しの黒幕稲葉正通から巻き上げた1000両の一部だ、村上殿が稲葉を脅して出させたのじあと言うので、何と言うと驚くので、奥田孫太夫の娘婿じあよ、老中の高鍋藩潰しに、
妻女お峰が助っ人した恩返しだそうだ、

妻女と二人であの柳沢様を叩き潰したそうだ、柳沢様はすっかり気にいられたようで、影に日向に助力されている、われわれが幕府から狙われないのもそのお陰なのだよ、我々が、
死んだ後は家族共々守って下されようと言うと、ふたりが、そんな繋がりがあったのですか、和衛門が我々はまさに匹夫の雄ですなと酒を飲み干したのです、これで総てを打ち明、
けたぞ、

さあ今日は大いに飲むのじあと言うと、太夫の邪魔になります、二人で町の居酒屋で気勢を上げますと部屋を出て行ったのです、吉田忠座衛門が入ってきて、あんなに煽って良いの、
ですかと聞くと、いいのじあよ、そのうち大勢の脱命者がでれば、堀部弥平、奥田孫太夫、吉田忠座衛門にそれがしで打ち込めばいいではないかと言うので、爺さんばかりですなと、
笑うので、

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