第38話

文字数 2,854文字


源三郎江戸日記38

但し柳沢様に遠慮があるので家老などの藩重役ではなく勘定方の私が推挙する者との約定にしたいと言う事なので、よく知っている木村を相模屋に引き合わせたいのですがと言うと、
それは構わんが、裏がなければ殿もお喜びになるだろう、しかし、いい御人を助けたなと言うと、祖父が敵方の懐に入れば何かと情報が入って来て、すぐに、手が打てるではないか、
と言うと、

まさにその通りです、源三郎その話し進めてくれ、わしから殿に話しておくというので、殿から家老に言われますと角が立ちますので、江戸にもどったら相模屋より木村にさるかたの、
口利なので金寸を低利で用立したい、江戸にて約定をかわしたいので江戸に上るようにと書かせます、さる方とは玄海屋七衛門と言う事にします、物産会所にかかわりますので、
都合がよろしいと思います、

木村が上申したら殿が裁可くださればいいのですと言うと、そうか、お前が前面にでると悋気をかうと言う事じあな、しかし、本当の事は殿には申し上げるぞと言うと、構いませぬ、
が胸の内に仕舞ってくだされるようにお頼みしてくだされと言うと、あい、わかった、物産会所が上手くいくまでの繋ぎになれば安心じやなと言うと、祖父がわしも協力する事にし、
たぞと言うと、

何をはなされるのでと聞くと、高鍋の孟宗竹を使った特産じあ、まずは竹刀を武田殿になろうて指南しょうと思うておる、婆さんは竹のこおり等の竹細工の指南じあと言うと、祖母が、
おまかせなされませ、いろいろ作りましょうと言うので、それはよろしゅう御座いますなと源一朗が言ったのです、翌日は武田一刀斉の道場に行き先生にお目にかかりたいというと、
道場に案内さけ、

小次郎が戻られたときいておりました、やっと顔を出されましな今父上が参りますと言うと、一刀斉があらわれと上座に座り、剣は修行しておるかと聞くので、堀内道場の出稽古で、
少しはと言う、これは妻の峰に御座いますと言うと、おう、奥田孫太夫の娘子じあな、小太刀の名手と聞く門弟に稽古をつけてくださらんかというので、峰に御座います一手お相手、
つかまつりますと言うので、

お峰殿は女子といえ小太刀の名手だと、われと思わんものは前に出いと言うと、酒井蔵衛門と申す言ってご指南をと立ち上がったので、小太刀の木刀を受け取り前に進み出て、中段、
に構えると、酒井は上段に構え間合いをジリジリ詰めて踏み込み上段から振り下ろすと、お峰は左に飛び右手をピシリと打つと木刀を落し、まいったと手を上げたのです、どうやら、
お前達の手にはおえんと見える、

こんどは3人同時にかかりもうすがと言うので、構いませぬというと、3人がお峰を取り囲んだのです、いざと声をかけ真正面に打ち込むかと思えば、くるりと向きを変えてえ~い、
と打ち込み右手を打ち、きびすを返して左に打ちかかるとみせて、右に飛び男の右手を打ち、そのまま左に飛び右肩にふり降ろし肩先でピタリと止めたのです、一刀斉がそれまで、
じあと言うので、

お峰が一礼して木刀を仕舞い座ると、見事な腕で御座ると小次郎が言うと、みんなは動きがみえなかっであろう、まずは後ろにいたものは、後ろから打つのはと躊躇したので向き、
を代え右手を打たれたのだ、当然次は正面だと身構えたので左に飛んで一撃、あとはひるむ正面の肩口に一撃と言うわけじあ、まさに実践剣法じあよ、さすが孫太夫殿の仕込みだ、
なと言うので、

恐れ入りますと言うと、そなたのててごとは一度も立ち会ってはおらんが、さすがに堀内道場四天王のててごの仕込みじあなと言うと、先生の太刀筋は主人源三郎と立ち会って知っ、
ているそうです、おそらくわしの負けであろうと言っておりました、主人の剣術はとらえどころがないと申しておりますと言うと、それは源三郎が身につけたものじあ、わしは、
基本を教えたにすぎんと言って、

源三郎久しぶりに小次郎と立ちおうてくれ、小次郎も少しは腕が上がっているだろうと言うので、しからばと言って木刀を渡すので竹刀でお願いしたいと言う、門弟が竹刀を渡すと、
小次郎も竹刀を受け取り、一礼して源三郎が上段に構えると、小次郎はとまどった顔をして中段に構えたのです、じりじりとまあいを詰めて小次郎が竹刀を上に持ち上げて振りおろ、
そうとすると、

源三郎が懐に飛び込んだので竹刀は空を切ったのです、源三郎の肩に小次郎の手が乗ったので下から手と手の間に竹刀を入れ、後ろに飛び跳ねると小次郎は打ち込めず左手を離して、
よろけたので、踏み込み右手をヒシ~打つと竹刀を落したので、小次郎がまいったというと、一礼してもとの場所に座ると、小次郎が何と言う手で御座るかと聞くとので、めくら、
ましに御座ると言うと、

一刀斉が懐に入り手をはずさせて、よろける所を打たれたのだ、まさか上段から振り下ろした時懐に入るとは思わなかったであろう、竹刀に変えたのはあの場合どんな名人でも肩先、
で止めるは出来ないので、負けた時にげかせぬようにとの工夫じあ、お前の太刀筋が一瞬早ければ源三郎の肩に当たっておる、木刀なら肩の骨が折れるであろうと言うと、さすが、
先生で御座る、

毎日修行しておられる小次郎殿と立ち会うと言う事は、手加減などしてくださらんだろうと思い、もし肩に当たれば肩の骨が砕けて二度と刀はもてなくなりもうす、その為に竹刀、
にしもろうたので御座る、竹刀は木刀より軽いので太刀筋が遅くなり懐に入れたのでござる、真剣なら真っ二つで御座った、振りが鋭くなられましたなあと言うと、何の竹刀で、
あろうと負けは負けて御座る、

しかし全然悔しくは御座らん、一瞬何をなされるのかと戸惑いもうした、さすがは源三郎殿で御座る、剣は腕だけではなく頭もいるのてすなあと笑ったのです、一刀斉が良いもの、
を見せてもろうた、それではお二人は奥え、小次郎後は頼むぞと言うと、ハイ、終わりましたお伺いします、まずはごゆるりとと言うので、ごめんと立ち上がり奥について行った、
のです、

奥座敷に座ると、小次郎の妻登瀬に御座いますというので、村上源三郎に妻の峰に御座ると言うと、奥方は凛々しい若武者に御座いますなあと言うので、お峰が江戸よりの旅でした、
のでこの方が身軽なのですというと、そうでしか、ごゆくりしてくださりませ、粗茶で御座いますと出して部屋を出て行ったのです、茶を飲むと、源三郎うまく逃れたなと笑うので、
何の事ですかと聞くと、

小次郎の面体を汚さぬ為の策であろう、小次郎がお前に勝てるはずが無かろう、ああすれば門弟は小次郎が油断したと思うであろう、遠慮せずによいものを、お前を除けばあ奴も藩、
隋一の使い手じあ、指南役はそれで良いのじあと言うので、ご賢察おそれいりますと言うと、奥方こ奴はいつもこうなのだ、必ず相手を立てようとする、剣客には向いておらんが、
それが軋轢を生まぬ一番の方法じあよと言うと、

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