第28話

文字数 2,657文字


源三郎江戸日記28

山の日暮は早いのでそろそろ戻ろうというと、獲物をもって山を降り、先ほどの場所で薬草を担いで吉蔵の実家に戻り、祖父が吉蔵にこれを庭の畑に植えよと言うと、これは薬草ですね、
と言うので、そうじあ庭で植えれば摘み取っても又生えて来るじあろう、根も少しづつ切れば枯れる事はなかろう、藩に会所を作るのでそこで買い上げてもらえるようにする、少しは、
糧になるだろう、

それからあの小川のほとりに池を作り水を引き込み、又川に流れるようにして、池に岩を沢山おいて岩魚を捕まえてきて放流すればやがて子供を生み、岩魚が増えるだろう、それを城下、
に売りに行けばこれも糧になり暮らしも楽になるだろうと言うと、なる程村の衆にも教えてやり、一緒にやりますと言うので、こんど朝鮮人参の株分けをしてやる、これは高値になる、
よと言うと、

ありがとう御座います、これは源三郎様のお考えですかと聞くので、祖父がそうじあと言うと、さすが源三郎様ですね、小さい頃はこの村によくおいでになり、鳥のわなや竹とんぼ等、
を作って遊びましたなと言うので、そうであったな懐かしい思い出だと言うと、吉蔵が藩士の子供は百姓とは遊ばないのですが、源三郎様は村の子供にまじりよく遊んでおられたんで、
すよ、

いたずらして、いつも大叔母様に叱られていましたなあと笑うので、家から逃げてここに隠れた事もあつたなと言うと、必ず大旦那様が迎えにこられましたなあと言うので、いつもお、
爺様に助けられていたのですねと笑うので、母上に叱られると、お信その位で勘弁してあげなさいと言うて下されたのだよと言うと、婆さんにお信は甘やかさないように言いつけられ、
ていたので仕方なかったのだ、

お陰で源一郎はおとなしく育ちすぎて、面白くないわいと言ったのです、源一朗様は素直で良い跡取りではないですかとお峰が言うと、あいつと酒を飲んでいても、真面目な話ししか、
しないので窮屈なのだよと言って、その点源三郎は突拍子のない話をするから飽きがこないのだよと笑ったのです、とめ、が畑でとれた大根、高菜、里芋、鶏の卵です、大叔母様にお、
渡し下さいと言うので、

これは何よりです有難うとお峰が言ったのです、源三郎が財布から小判3両を出して、これは殿が下されたものだ、いつも世話になっているのでと渡すと、そんな大金頂けません、滝に、
給金まで頂いているので結構ですと吉蔵が言うと、祖父が源三郎は殿からたんまり頂いたのだ、遠慮せず取っておけ、とめに着物でも買ってやれというと、そうですかそれではありが、
たく頂きますと受け取ったのです、

吉蔵が江戸にお戻りになる前にもう一度お立ちよりくだり、江戸の話しを聞かせてくだされと言うので、そうしょうと馬に乗り屋敷に向かったのです、屋敷に戻りお峰がお滝の実家か、
ら沢山の野菜をもろうてきました、雉は二羽とれましたよと言うと、これは大した獲物ですね、今日は雉鍋にしましょうと喜んだのです、それでは町に出て来ようとお峰をつれて屋敷、
を出たのです、

今日はお峰と祖母に飾り物でも買つてあげるよと言うと、まあ嬉しいですというので、町の小間物屋に入り好きな物を選べと言って、後呉服屋に行き祖父、祖母の着物の柄を選んで、
屋敷に届けさせるように言うてくれ、わしは町をブラブラして屋敷にかえるぞ、女子の買い物に付き合うとくたびれるでな、ゆつくり選んでもいいぞと言うと、ハイ、旦那様もゆつ、
くり見物なされませと言うので別れたのです、

小間物屋の主人が源三郎様の奥方様ですかと聞くので、旦那様を知っているのと聞くので、ええ、以前江戸から帰られたときに助けていただいたのですよと言うので、何からと聞くと、
城下の親分で熊蔵と言うのがいまして、その手下が飾り物を買い、翌日すぐに壊れたぞと因縁をつけて持ち込んだので御座います、見ると何かで切った跡がありましたので、因縁を、
つけて、

金をせびるつもりだと思い、金物で無理やり切り取った跡がありますと言うと、おれが壊した言うのかと匕首を取り出したのです、お役人を呼びますぞと言うと、私を殴りつけた、
のです、あわてて店の外に逃げましたら、追いかけてきて襟首を掴み匕首を首につけたのです、そこに通りかかった源三郎様がその男の手をねじり上げ引き倒したのです、男が、
立ち上がり、

浪人の癖に余計な手出しをするなと切りかかったら、刀の峰で手と足をしたたか打たれて、親分のところに引き立てて、お前の子分はおどして金をせびるのかと言うと、子分共が、
取りかこんだのですが、ていも無く転がされ、熊蔵に刀を上段から降りぬき、私は真っ二つになったと思ったのですが、下帯がスパッと切れて熊蔵は泡を吹いて倒れたのです、

それはみごとなもんで、源三郎様が後ろからカツを入れると熊蔵は息を吹き返して呆然としているので、もう三寸手を伸ばせば真っ二つだったなと笑っておられました、そこに騒ぎ
を聞きつけた役人が駆けつけて、熊蔵にこの方は浪人の格好をして折られるが、江戸留守居役村上源之丞様の御次男の源三郎様だぞ、無礼撃ちにあっても文句はいえないのだと言う、
と、

この熊蔵は随分悪い事をしているようだが、町奉行の板垣殿は賂でも貰って目こぼししているのかと言われましたら、その役人がいくら江戸留守居役の御次男といえど言葉がすぎま、
すよと言うと、ならばびしびし取り締まられよ、おい、熊蔵十手を持って来いと取り上げて、板垣殿にもっとまつとうな奴に十手を預けるように言うのだと、その役人に渡された、
のですと言うので、

後で問題になつたのではと聞くと、いいえ、熊蔵はこの城下から所払いとなり、口入屋をやっている茂三親分に十手をお預けになったのです、この親分は面倒見のいい親分さんで、
祭りのしょばも公平に縄張りしていなさりますと言ったので、なぜ奉行はお顔を潰されたのになにも言わなかったのですかと聞くと、聞いた話しによりますと源三郎様は部屋住み、
なれど、

一刀流の免許皆伝で指南役の武田一刀斉先生が、一番目をかけられており、江戸でも有名な堀内道場の師範代を勤められているので、誰もかなわない腕だそうです、支配の白石家老、
様が手を出すな、そのような悪い奴は城下を追放しろと言われたそうです、奉行も賂の事がばれると切腹ものなのでいんがを含め所払いにしたのではと言う事ですというので、旦那、
様らしいですね、

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