第56話

文字数 2,689文字


源三郎江戸日記56

大事なのは今後どうやって暮らしていくかじあよ、喧嘩両成敗なら誰も何もしないだろうが、今回は吉良が生きているので収まりがつかんのだよ、事が成就してもしなくても悲劇は生、
まれるのだよと言うと、どうしてで御座いますかと聞くと、成就してもその者は全員死罪になるであろう、後の世には忠臣としてあがめられ、子孫は高禄で召抱えられるであろう、

一方参加しなかった者は不忠者として世に隠れて生きていかなければならん、成就しなければ参加した者は暴徒として極刑になり、参加しなかった者は気にせず生きていけるわけだと、
言うと、それでは何もしない方が良いと言う事ですかと聞くので、大石殿もそう思っておられるよ、起こってしまった事は元にもどせない、匠之守様には申し訳ないが、死んだ人より、
生きている人のほうが大事だ、

大学様に跡目相続を願いでられるのは、討ち入りの日を延ばし、脱命者が増えて討ち入りなんか出来なくなれば、みんなが平和に暮らせるという考えだろう、しかし、それは口に出し、
て言える事ではない、才覚のある者は他家に仕官して楽な暮らしをすれば良いではないか、自分の家族を守る事が第一じあと言うと、旦那様はその場合どうされるのですかと聞くので、

お峰を守る為に何もせず、他家に仕官するよと言うと、それは嬉しいですが、ちと、卑怯ですねと言うので、好きな者を守る為に卑怯もくそもあるかと酒を飲み干し、舅殿もなんとか、
守りたいが、あの気性ゆえ難しいなあと言うと、私たちに孫が出来れば命が惜しゆうなるのではと言うので、そうか、孫は目にいれても痛くないと言うからな、その手で行くとしょう、
と言うと、

お峰がハイといって杯を重ねたのです、しかし、大石様の前では舅殿が黄泉の国に行くのは、覚悟していると言ったではないかと言うと、それは父上に恥をかかせぬように申したまで、
で御座ります、子供なら親の命は大事にござりますと言ったので、そうであろ、みんなも同じなのじあよと笑ったのです、七衛門が顔を出して荷の積み込みは終りました、出航します、
か、それとも今日は大阪で一泊しますかと聞くので、

孫太夫殿を乗せて江戸に向かってくれ、わし達は京都見物して大阪に戻り江戸へ行く船に乗って戻るとするというと、わかりました、手前は江戸にもどります、江戸の様子は船便にて、
お知らせしますと言うので、孫太夫殿を頼むと言ったのです、舅が戻って来たのでどうで御座りましたと聞くと、大騒ぎになり申した、みな急ぎ国元に帰るそうで御座ると言うので、
舅殿は直ぐに船で江戸にもどりなされ、

国元の様子を江戸の方々にお知らせして、今後の事を思案なされませ、わたし達は京都により様子をみてきます、そろそろ禁裏にも変事はとどいているはずで御座ると言うと、承知し、
たと言うと、小船にのり船に向かったのです、それでは川船で京都のまで行くとしょうと言って、船に乗り込み京都へ向かったのです、京都の伏見に宿をとりわらじを脱いだのです、

女将が部屋に案内してお茶を出すと、何か騒がしいようじあがと言うと、ハイ、江戸で騒ぎがあり赤穂の殿様が吉良様に刃傷をされたそうです、丁度勅使の方々の年賀のお礼の公方様、
との面談の日だったそうで、即日赤穂藩は取り潰しになったそうで、赤穂では城明け渡しをせずに戦をするとかで、赤穂城下から町人が逃げ出しているそうですというので、ほうもう、
話は伝わっているのかと聞くと、

勅使一向はまだお戻りにはなっていないそうですが、禁裏でも大騒ぎだそうですと言ったのです、まだ時間が早いですので町でも見物なさってくださいと言って部屋から出て行ったの、
です、女将が知っているようでは町では大変な噂になっているだろう、折角京都に来たのだ祇園でも出てみるかと、籠を頼み祇園に向かたのです、程なく祇園に着き居酒屋のノレンを、
潜ると、

おいでやす何にしますと聞くので、酒に何か美味い肴はないかと聞くと、京都は豆腐がおいしいどすと言うので、湯豆腐と香の物を頼んだのです、昼すぎなので店は職人や町人で一杯、
です、江戸時代は仕事は朝早くから昼ごろまでだったのです、町人は暗くなると、灯り代が勿体無いので夕飯を食べて一服したら寝るという生活様式だったのです、隣の男が旦那達は、
どこから来なさったのでと聞くので、

赤穂からだと言うと、そうですか、それで赤穂ではやはり戦支度ですかと言うので、いや、戦支度などしていなかったがと言うと、まだお家が改易になった事を知にらないんですよ、
今頃は知らせが届き、うえや、したやの大騒ぎでござんしょうと言うので、何処から来たのだと聞くと、江戸から上方に仕入れに来てかえる途中で、京都で江戸城での刃傷騒ぎを聞、
いたわけです、

明日は大阪に戻り、赤穂まで足を伸ばして様子をみてきやす、江戸への土産話しでさあと言うので、そうかそれはご苦労な事じあなと言うと、お武家さん達はと聞くので京都見物し、
て江戸に戻るつもりだと言うと、あつしは江戸深川で小間物屋をやっている安吉ともうしやす、京屋と言う看板が出ておりやす、上方、京都の飾り物を商っていますので、是非、
江戸に帰ったら立ち寄ってくだせえ、

赤穂の様子もお話しやすよと言うので、そうか深川ならなじみ深い、立ち寄るとしょうと言うと、それではあっしはと言うと金を払い店を出て行ったのです、お峰がわざわざ赤穂ま、
でみに行くなんてと言うので、江戸ッ子は騒ぎが好きなのでよ、あのような者に吉良は悪玉、浅野は善玉と吹き込めば、あっと言う間に江戸の町に広がるよ、開城の話しを聞いて、
江戸に戻ったら、

赤穂侍は腰抜けだと触れてまわるだろう、そこに吉良は悪玉、浅野は善玉の話しが加われば、どうして仇をとらないんだと民衆が騒ぎ、今回の片手落ちを非難するようになる、幕府、
は困って、大学様の処分を決められないわけだ、大石殿にとっては都合のいい事だなと言うと、それからどうなるのですかと聞くので、大石殿はふるいにかけ、ふるいにかけ、盟約、
者がいなくなるのを待つが、

逆に結束がかたまり一枚岩になる可能性もある、そうなれば討ち入るしかなくなるかも知れん、まあ、1年以上かかるだろう、民衆が敵討ちに目がいけば、幕府の他の失策に目が向か、
ないので、都合がいいかも知れんな、柳沢様が討ちいりに協力して成功させ、片手落ちを煽った稲葉様へ逆襲するかも知れん、先のことだどう転ぶかはわからんよと酒を飲み干したの、
です、

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