第17話

文字数 2,909文字


源三郎江戸日記17

ノレンをくぐって遊び人風の男が入ってきて見渡すと、源三郎達の座っている小上がりにすわり、旦那と一緒と言事にしてくださいと手を合わせるので、なんだか知らんがいいだろう、
と言うと横の開いた席から湯のみを取り酒を注いだのです、役人と岡っ引きが入ってきて傍により、この男は貴殿の連れかと聞くので、そうだがと言うと、あいわかったというと、
違う席でも同じ事を聞き、

いないようだなと言うと店を出て行ったのです、その男がお陰で助かりましたと言うので、役人に追いかけられるとは何をしたのだと聞くと、ヘイ、女郎屋でお足を聞くと2分だと言う、
ので1両小判を出すと、部屋に案内され女郎が入ってきて、あんたは小判を出しただろう、今役人がくるよと言うので、どうしてだと聞くと、遊び人が小判を持つていたら番屋に知ら、
せろとの奉行所のお達しなんだよ、

そいつはムササビの一味の可能性があるというので、なぜだと聞くと先日草津でムササビ一味が8千両を盗んだ、大阪に逃げたおそれがあり、小判を使うだろうと言うので、あわてて、
出て旦那の席に紛れ込んだというわけでさと言うので、お前はその小判は何処で手に入れたのだと聞くと、博打ですよ今日はついてやして5両程儲かったので、女郎買いにいったわけ、
です、

お陰で1両損しましたよ、でも後4両ありますので、ここの払いはあっしがしますと言うので、小判を出せば番屋に知らせが行くのだろうと言うと、いけね、旦那小判を2分銀にかえられ、
ませんかと聞くので、財布の中を見て2分銀は9枚あるなと言うと、それで結構ですと3両出すので、それでは6分損するぞと言うと、両替料ですからいいんですよと言ったのです、ならば、
ここの払いはわしが出そうと言ったのです、

今すぐ出て行くと怪しまれますので、もう暫くここにおいて下さいと言うので、構わんがと言い、ムササビは大阪に入っているのかと聞くと、なんでも東と西の大門が壊されていたそう、
で西から逃げたとなれば京、大阪だろうと言ってましたと言うので、つまり分からんと言う事だなと言うと、もしいても誰も密告なんぞはしませんよ、なんと言っても義賊ですからね、

相模屋もいい気味です、随分あくどい商いをしているそうです、抜荷、高利貸し、かどわかしまでやっているそうですと言うので、かどわかしとはと聞くと、若い女子をかどわかし長崎、
に連れて行き毛唐に高値でうるそうです、娘はシナで毛唐相手の女郎になり、日の本には二度と戻れないそうです、大阪の女郎屋からも若い女子が何人もいなくなっているそうですぜ、
と話したのです、

お峰がなんと無体な商いをしているんですか、いつたい誰なのと聞くと、勿論廻船問屋の相模屋ですよ、役人も鼻薬を、貰っているので見逃しているん、ですよと言って、いけねえまだ、
名乗っていなかったですね、あっしは新吉と言いやす、江戸は本所の生まれで、修行の旅をしておりやす、と言うので、わしは村上源三郎で、これは内儀のお峰だと言うと、若侍の格好、
がよく似合いますね、

奥方様ですかと酌をしたのです、大阪湾に泊まっている、相模屋の千石船には多くのかどわかされた、女子がいるのかと言うと、もつとも博打場で聞いた話しですから、本当かどうか、
はわかりませんよと言ったのです、それでは確かめてくるか、船は用意できるかと聞くと、旦那冗談はよしてくだせえ、相模屋は腕の立つ浪人を、沢山用心棒に雇っているそうですと、
言うので、

わしとお峰はその浪人達より数段腕が立つんだよ、さっきは助けたのでこんどはわしの手助けをしろと言うと、旦那は役人ですかと聞くので、隠れ目付けと言う訳だと言うと、本当に、
腕は立つんですね、ようがす、船を調達してきやすと言うので、5両を借り賃だ渡すと、1両もあればおんのじですと1両受け取って居酒屋を出ていったのです、もし船に監禁させられ、
ていたとして、

全員開放したら相模屋はどうしますかねと聞くので、船に抜荷があるだろう、それを奪ばえば身の破滅だから、やつきになって奪った奴を探し回るはずだ、投げ文と証拠品を町奉行所、
の前に置けばつるんでいるかどうかわかるよ、ムササビに違いないと思い、金蔵から有金を千石船に移すはずだ、源蔵が見逃すはずはない、船ごとかっぱらって何処かに隠せば面白い、
と言うと、

柳沢様をまたギャフンと言わせられますね、源蔵殿は大喜びしますよと言うので、源信と言うと、お蝶と一緒に傍に来て、総て承知ですと言ったのです、新吉が戻って来て用意でき、
やしたと言うので、源信とお蝶を仲間だと紹介して船着場に行くと船頭が、さあ乗って下せえ、明かりはつけなくても、相模屋の船はわかりやすと言うので、頼むぞと言って船に、
乗り込んだのです、

源信にムササビは大阪に来ているのかと聞くと、船場の船宿美濃屋に逗留して、手下が金蔵を見張っています、相模屋の用心棒は浪人10人に人足15人ですと言うので、問題は船に何人、
いるかだなと言うと、おそらく船頭いか船子が10人前後に浪人は2、3でしょうと源信が言ったのです、あそこに泊まっているのが相模屋の千石船です、見張りはへさきと後ろにそれ、
ぞれ1人づついますと源信が言い、

私が泳いで後ろに近づき吹き矢で倒します、船に乗り込み縄はしごを下ろしますので、船を着けて上って来てくださいと言うので、わかったと言うと源信が海中に入り船に泳いで行っ、
たのです、源信が下から吹き矢をはなつと胸に当たり、すぐによろよろとしゃがみこんだのです、お蝶が眠り薬が縫ってありますと言って、後ろから近づいてと言うと、船頭が船を、
こぎはじめ程なく後ろにつくと、

縄梯子を使って後部甲板に登ったのです、源信が這うようにしてへさきの男に近づき再び吹き矢を吹くと、この男もろろよろとしゃがみこんだのです、源信が下を見てきますと階段、
を降りていき、程なく戻って来て、中に浪人二人と船子5人が酒を飲んでいます、傍に格子の部屋があり女が10人以上入れられていますというので、それではお峰行くぞと階段を、
降りていき、

油断している場合かと言うと、誰だと7人が立ち上がったのですが、お峰が抜く手もみせす踏み込んで切りかかり、二人の浪人がぎや~と言って後ろにひつくりかえったのです、船子、
が匕首を抜いたので4人で襲い掛かると、あっと言う魔に転がったのです、全員を縛り上げ、怪我は浅手だ死ぬ事はないと言うと、浪人がムササビかと言うので、はげたかだよ、酒な、
ど飲んで油断するからこうなると笑ったのです、

鍵を開けて女達を出すと13名います、甲板に連れて行き縄梯子でまず6人を卸し、桟橋に着いたら物陰に隠れていろと言って、船頭に頼むぞと言うと桟橋に船をこいで行ったのです、
船倉に戻り抜荷を探すと、機の箱が沢山あるので開けると、禁制品がぎしり詰まっています、金の飾台を取り出し、金箱に入っていた小判包み200両を取り出し、相模屋に宜しくな、
次は金蔵だと言って甲板にでたのです、

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