第29話

文字数 2,712文字


源三郎江戸日記28

熊蔵の手下もあの頭と風体を見て浪人だと思ったのでしょうと言うと、今日久しぶりにお目かかりましたが、ちょっとも変りませんね、でも奥方をお貰いになったのですね、お祝い、
です、お代は頂けません、好きな物をもっていって下さいと言うので、それはいけません、旦那様に叱られますと言って、つげのくし二本を貰い、2分銀を渡すと、それではと奥に、
行き、

これはこの辺で取れたカツオの塩辛に椎葉で作っている地酒です、櫛と一緒にお屋敷に届けておきますと言うので、それはありがとう、宜しくお頼みますというと、呉服屋はこの先、
の杉田屋さんの生地がいいですよと言うので、そうですか行ってみましょうと店を出たのです、源三郎は町をぶらぶらしていると前から遠山が歩いてきて、おう源三郎と言うので、
殿のお召しかと聞くと、

そうなんだ昼に来いという事で城に上がったら、新しいお役目を授かったのだ、早速明日からこちらに来る事になったのだと言うので、それは又急だなと言うと、屋敷も城下に賜っ、
たので、妻女をはじめ家人は後から引っ越すてはずだ、今日は遅くなったので拝領した屋敷に泊まる事になったと言うので、それでは俺の屋敷に来いというと、いや、夕方より新し、
い役目で人に会う事になっている、

その前に源三郎と話しをするように殿に言い付かっているので、そなたの家に行こうとしたのだと言うと、それではと言うと、家で役目の事ははなしづらいので、そこの小料理屋に、
と言うので入ると、左衛門様どおしたのですかと女将が言うと、所用があって城下に来たので、部屋を借りるぞと言うと、奥に案内したので座ると、この方は江戸留守居役の村上様、
のご次男で源三郎様だと紹介すると、

よしのといいます、左衛門様にはごひいきにしていただいています、今お酒に料理をお持ちしますと言うと、いわしはあるかと遠山が聞くと、めずらしい、お召し上がりますかと言、
うので、源三郎殿の好物だと言うと、わかりました、とびきり太ったいわしがありますと言うので、それはありがたい頼むと源三郎が言うと、すぐにお持ちしますと部屋を出て行っ、
たのです、

今の女将はお前と出来ているだろうと聞くと、どうしてだと聞くので、串間に赴任しており、よっぽど親しくないと左衛門様とはよばんよと笑うと、さすが隠し目付けだ感が鋭いと、
言って、妻は知らんがなと言うので、言わん方がいいに決まっているというと、相談と言うのは実は目付けをおおせ使ったのだが、それは良いのだが、もう一つこんど物産方と言う、
のをお作りになるのだそうだ、

それの頭取もおおせ使ったのだ、まずは会所を作り、百姓より色んな原料を仕入れ、会所で加工して城下の玄海屋と言う廻船問屋に引き受けてもらい、上方、江戸で売りさばくと言う、
ことだ、実務は会所の頭取と百姓の頭取、玄海屋がやるのでわしはその仕事が上手く回るようにする調停役と言うことだ、わしに出来るだろうかと言うので、律儀なおぬしだから出来、
ると思われたのだよと言うと、

これが上手くいけば実収は倍になるだろうと言われておった、この策はおぬしだそうだな、よく源三郎に相談することだと言われたのだと言うので、お前は迷惑なのかと聞くと、いい、
や藩が中心の商いで、牧畜との両車輪になれば凄い事だと思っている、是非成功させたいが、なんせ、おれは商才がないと言うので、それなら良い方法を教えよう、まずソロバンを習、
うのだ、

簡単だぞすぐに覚えられると言うと、それで何をするのだと聞くので、藩にも勘定方はいるがソロバンがはじけるのは、100石以下の身分の低いものだ、勘定奉行はソロバンははじけな、
いであろう、戦では一隊の頭は先頭切って敵に突撃するので腕がないと頭は務まらない、勘定方の頭がもつとも大事なソロバンがはじけないとはおかしいではないか、お前が物産方の、
頭取なら、

商いに必要なソロバンははじけなくならないと言うことだ、自分がはじく事はないが、それだけの腕をもつていれば、下についたものは感心してよく言う事を聞くようになる、自分が、
楽をすれば下の物も楽をしょうとまねをする、会所で働く人は100石以下藩士の妻女、娘に隠居した藩士の祖父、祖母とする、儲けた中から手間賃を公平に分配する事にすれば、小録、
の藩士は内職をせずとも良くなるだろう、

隠居した祖母の中かに加工の上手い人を教授方にして指導させるのだ、港に荷を運ぶ力仕事は隠居した男に任せれば良い、大の力の要る仕事は藩士を使っても良いぞ、手間賃と原料の、
値は売れる値から百姓3、手間賃3、藩に2、売る商人2の割で品物事に分ける、これでソロバンをひはじいてみれば良いと言うと、商人が船で運ぶ船子や船頭に給金を払って2ではと言、
うので、

上方、江戸からは古着を満載して九州全土で売ればいいのだ、古着と言つても質流れ品だ、新品にちかいのも沢山ある、上方、江戸は捨てるくらいあるんだよ、それが大きな儲けと、
商人はなるのさ、又、藩と商人は、百姓、手間賃と違って1個所だから利ざやが少なくてもさばける量が多ければ儲かるのさと言うと、なる程、源三郎の話しを聞いていると安心して、
くるなと言うので、

玄海屋は俺の知り合いだと言うと、そうか、それなら同席してくれ主人は今上方に行っているそうで、番頭と話す事になっているというので、ここに呼んで来いと言うと、女将が酒と、
いわしを持ってきたので、遅かったではないかと左衛門がいうと、お話声が聞こえましたので邪魔してはと思い遠慮していましたというので、悪い相談をしているのではない遠慮する、
なというと、

ハイ、すみませんと言って、酌をするのでそれでは左衛門の成功を祈ってとハイを傾けると、飲み干し、今後とも指導を願いたいというので、文などよこせば返書をしたためるよと言、
うと、まあお役目変えですかと言うので、50石加増していただいて、150石となり、源三郎と同じ石高だ、それに目付けと、新しく出来る物産方の頭取をおうせ使ったと言うと、それ、
ではここに住まわれるのですねと言うので、

そうだ少しは顔が出せるだろうと言うと、嬉しいですと酌をしたので、源三郎がこの通りにこんど玄海屋と言う店が開いたはずだが、そこの番頭を呼んできてくれんかと言うと、ハイ、
女中に迎えにいかせますと言うと部屋を出て行ったのです、暫くして男を女将が連れて来て中に入り座ると、源三郎様こんどこの高鍋の店を任されました時次郎ですというので、こちら、
は遠山だというと、

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