第67話

文字数 2,743文字


源三郎江戸日記67

忠座衛門がどうやって諌められるのでと聞くと、わしの指示に従えぬのなら即刻討ち入るが良い、小人数で吉良の首を取れるはずはない、浅野藩とはなんら係わりないと幕府には届ける、
さすればただの野党か暴徒として、処断されて世の笑いものとなるであろう、その後でゆっくり時期を見て打ち込み吉良の首を上げる、さすれば我々は真の忠義の者となるといえば軽挙、
は慎むであろうと言うと、

七衛門がなる程諌めるのではなく、煽るわけですなと言うと、源三郎殿だったらそうされるでしょうと笑ったのです、大石がりくに寺坂を呼べと言うと、寺坂が入って来て何か御用で、
御座いますかと聞くと、弥吉と一緒にこの300両を持ちまず赤穂へ行き、残られている旧赤穂藩士の現状をみて生活に困窮されているなら、少しづつ分けてくれ、残れば後は大阪京都、
も回ってくれ、

これがその者達の居所じあと金と一緒に渡し、他に10両を路銀じあ、酒でも飲んでゆっくり回るのじあと言うと、承知つかまつりましたと言うので、これは我が家の郎党の寺坂吉衛門、
にござる今後は繋ぎの役目をしてもらいますと言うので、玄海屋七衛門にございますと言うと、寺坂吉衛門でございますなにとぞ宜しく言うと部屋を出て行ったのです、暫く歓談して、
それでは大阪でお待ちしていますと、

山科を出て京にもどり川船で船場に七衛門は戻ったのです、番頭に博多、高鍋の物産の売れ行きを聞くと、もってくれば翌日には完売となります、特に山クジラのハムは好評で料理屋、
からの注文はさばききれません、大阪の板前が工夫したそうですが、塩抜きがいまいち美味くいかず中に何が混ぜてあるのか分からないそうですと言うので、そうか、西洋の知識が、
なければ名人の板前でも分かるまいと言ったのです、

それから竹刀ですが、これが又評判が良いそうで、町道場では木刀から竹刀に代えて稽古される道場が増えています、奈良、伊賀、近江あたりからも引き合わせが来ておりますと言う、
ので、それは兆帖じあなと言うと、こちらから運びます古着も九州各地でよく売れるそうです、高鍋の時次郎が出店を、増やしたいと言うているそうです、と言うので、時次郎には、
どんどんやりなさいと言うておくれと言ったのです、

相模屋との、荷受の競合はと聞くと、相模屋が便宜をはかってくれて、こちらに荷を回してくれます、こちらも相模屋へ物産を分けています、相模屋は名古屋、駿河で商いをしている、
そうです、競合しないように話し合って、やっていますと言うので、これも、総て源三郎様の、お陰じあなと言うと、はい、お陰で給金も沢山いただけてみな張り切っていますと言っ、
て、

旦那様は奥方をお貰いになったそうで、おめでとう御座いますと言うので、お前も早く嫁を貰え、奉公人から選んでも、良いぞと言ったのです、今日は船場の料理屋に大阪の旦那衆を、
お招きしています、旦那様顔を出してください、みんなが喜びますと言うとので、わかった、皆さんにご挨拶しましょうと言うと、湯が沸いています、と言うので湯に入り汗を流した、
のです、

湯から上がってくると番頭の二吉がまずわと酒を注ぐので飲み干し、湯上りの酒はたまらんと言うと、それでは後で呼びに来ます、お園頼むぞとに吉は部屋を出て行ったのです、お園、
いくつになったと聞くと20になりました、この店が出来てもう二年になります、番頭さんに声をかけてもらい奥向きの仕事をしています、ほかに比べて高い給金を頂いています、お蔭、
で両親とつつがなく暮らせます、

これも源三郎様と旦那様のお陰ですと言うので、千石船船で高鍋に行く時に源三郎様に出会うた事からわしの運が開けたのじあ、船頭から取り立ててこの玄海屋の主人にしてくださり、
名前も頂いたのだよ、なんか、春風のようにさわやかな人じあ、まあ、あのお方に惚れない女子はおらんだろうと酒を飲みほすと、お園が男もでしょうと酌をするので、そうだった、
男もだなと笑ったのです、

奥向きは船頭や船子の面倒みるのが大変であろうと言うと、気は荒いですが良い人達ばかりですよ、お休みも頂けているので船子は喜んでいます、たまに親子ずれで縁日にいける船子、
は玄海屋だけだと言うているそうですと言うので、まあ、船子は船が仕事場だから中々子供の手を引いてやる事も出きんだろうが、たまには手を引くか、肩車くらいしてやらんとなと、
言うと、

旦那様も速くお子が出来ると良いですねというので、女の子を作り源三郎様みたいなお武家のそばめにして、男を産んでくれれば楽しみじあなと言うと、お子様を武家の養女となさ、
り本妻になされればと言うので、それでは堅苦しく育つだろう、そばめの子なら自由に育てられるではないか、さすれば、源三郎様みたいな下々の者の気持が分かるのだよと言うと、

なる程それで源三郎様はお優しいのですねと言うので、お前も源三郎様に惚れているのかと聞くと、いくら惚れても高値の花ですよと笑ったのです、二吉が呼びに着たので店を出て、
料理屋に行くと、取引先の旦那衆が待ち構えていたので、いつもごひいきにして頂き有難う御座いますと頭を下げると、みんなが、いや、玄海屋さんのお陰で儲けさせてもろうて、
おますがなと言うので、

席に座るとフスマが空き芸子が大勢入ってきて、おおきにと挨拶して、旦那衆の傍について酌をしたので、七衛門が皆様方の健康と商いの繁盛を記念しましてと杯を上げて乾杯した、
のです、横についた芸者が常盤と言いますと酌をするので、中々の色気じあなと言うと、色気でとって食おうとは思っていませんよと言うので、中々の美形そろいだがと言うと、ハイ、
今日は大店の旦那衆なので、

置屋が選りすぐりの芸子を出したそうですというので、その選りすぐりの一人が常盤と言う訳だなと言うと、ハイと言うので、杯を渡して酌をすると飲み干し返杯したのです、それで、
はわてが一指しと立ち上がると、5人が前に出て三味や太鼓の音にあわせて踊り始めたのです、番頭の二吉があの常盤は堂島では一番の芸子だそうですと言うので、なる程中々の踊り、
だなと感心したのです、

踊りが終るとみんなが大きな拍手をしたのです、常盤が戻って来たので中々の踊りではないかと酌をすると、おおきにと飲み干して返杯したのです、それではと立ち上がりお銚子を、
もってついておいでと言うと、旦那衆の前に座り一人づつ酌をすると、これはお気づかいすまんませんと言って喜んだのです、一通り回り終わり席に戻ると、さすが玄海屋の旦那さん、
だすな、主人みずから酌をしてお回りになるとはと感心したのです、

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