第93話

文字数 2,683文字


源三郎江戸日記93

両国橋は役人の番所があり馬がいるので、それを借りて桜田門の上杉屋敷に走り、千坂兵部様に知らせよと言うと、達吉がハイと返事して木陰に身を隠したのです、小林平八郎は門に、
近づくと堀部弥平が槍を突き出したので叩き落とし肩を打つとひっくり返ったのです、小野寺十内が切りかかってきたので切りあいとなり、お互いに体にあたるも鎖帷子を着ている、
のできれません、

隙を見て達吉は門から出て両国橋を出て番所に駆け込むと、役人が何だと言うので、赤穂浪士が吉良邸に討ち入ったと言って、上杉屋敷に知らせるので馬を貸してくれと言うと、わか、
ったと言って馬に鞍をつけて渡したので達吉は乗りムチを入れて桜田門に向かったのです、半時で上杉屋敷に着き千坂兵部に赤穂浪士の討ち入りを知らせると、なぜ吉良様は来られぬ、
のじあと聞くと、

抜け穴は塞がれ脱出は困難で、墨小屋に隠れていなさりますと言うと、何抜け穴は発覚しているのか、して何時に討ち入ったのじあと聞くと、4つに御座いますというので、もう1時半、
になる、今から支度して行っても夜は完全に開けてしまうなと思い、達吉にご苦労であった台所に行き何か食って休んでいろと言ったのです、馬のひずめの音で屋敷は騒然となり家臣、
が起きてきて、

用人から赤穂浪士が討ち入った事を聞き戦支度に入ったのです、綱紀の耳にも入り槍を持ち馬ひけ~と怒鳴り、廊下を出口に向かって来たので、千坂兵部が殿今からでは間に会いませ、
ぬと言うと、兵部そこをどけと言うので、討ち取られた後に駆けつければ武門の恥として上杉家は改易となります、応援はなりませぬと留めると、何を言うか父上を見捨てろと申すか、
と言うので、

討ち入ってから2時もう討ち果たされていますと言うので、そこをどけと槍を突き出すと、穂先を手で掴みどうしても行きたれればそれがしを突き刺して、屍を超えていきなされと両手、
を広げたのです、綱紀は槍を襖に突き立てて泣き崩れたのです、みなの者静まれ、決してこの屋敷を出てはならん、自分の部屋に戻れといって、殿を奥にというと、近習が腕を抱えて、
つれて行ったのです、

おうめからの繋ぎはなかった、さては見破られて討ち果たされたのか、しかし、なぜ抜け穴が発覚したのだ毎日点検していると言うておったが、昨日の深夜塞ぎおったのか、誰の仕業、
じあ、平八郎は生きてはおるまい、許せと手を合わせたのです、これが昼行灯のする事かまさに影じあなとうなり、酒を持ってこらせ手に吹きかけて包帯を巻かせ、酒をゴク、ゴクと、
飲んだのです、

吉良屋敷では大方吉良の付け人と浪人は討ち取られ、多くの人間が寝所に集まって来たのです、大石主税が抜け穴と墨小屋は探したが誰もおらん、この近辺に隠れているはずじあと、
言って庭に出ると、堀部安兵衛があの物置はと聞くと、近づき戸を開けましたが誰もいません、奥田孫太夫が床に雪の塊があるのを見つけ、誰かいたのだと言うと、大石主税がそう、
か、

我々が抜け穴を探索していた時はここにいたのか、ならば今は抜け穴に隠れているのではと言うと、それではもう一度抜け穴に入りましょうと寝所に行き抜け穴に入りましたが誰も、
いません、引き返して墨小屋の上蓋をはずそうとしましたが炭俵が載っており動きません、主税がここにはいないかと言って引き返すぞと寝所まで引き返し、吉良は墨小屋にいる、
中に入り穴の上に炭俵を置いたのじあと言うと、

孫太夫がさすがに主税殿で御座る、ここに5人を残し墨小屋を囲みましょう、抜け穴から出ようとしたら頼むぞと主税が言うと、岡野金右衛門達五人がおう~と言ったのです、主税、
達は墨小屋を囲むと、不和和衛門が戸を開けると二人の男が出てきたので槍で突き刺すとよけてやりを切り捨てたのです、不和和衛門は刀を抜き乱戦状態に入りましたが、二人とも、
鎖帷子をきているので、

切れないのです、奥田孫太夫が一人の男の懐に飛び込み足を掛けて倒し、左手で小太刀を抜き首筋につきたててしとめたのです、もう一人は3人で押さえ込み主税が首筋に小太刀を、
突き立てるとぐわ~と言って絶命したのです、片岡源五衛門が小屋に入ろうとするとさらに二人が出て来て小林平八郎じあと言うと、もう一人が清水一学じあ相手になろうと言って、
刀を抜いたので、

さらに乱戦になり堀部安兵衛が一学に切りかかると、噂に聞く安兵衛どのかと言うと小太刀を抜き二刀流に構えたのです、打ち合うも決まらず三人が後ろから切りかかりましたが、
払われた隙に安兵衛が懐に入れ小太刀を横腹に突き刺すとぐわ~と言って前に倒れたのです、平八朗は不和和衛門と切りあうも決まらず、これも後ろから二人が切りかかりそれを、
ふり払おうとした時に、

奥田孫太夫が平八郎の刀を峰で目一杯打ち据えると、真ん中から折れたので大高源吾が、上がった右手の脇に刀をつきたてるとう~としかめ面をして、お見事で御座ると言うと前に、
バタンと倒れて、雪に血が流れたのです、片岡源五衛門が中に入り炭俵を突き刺すとぐわ~と言って一人が倒れたので、襟首を持ち外に引きずり出すと、まぎれもなく眉間と肩口、
のキズがあり、

片岡源吾衛門にござる吉良様お久しゅう御座ると言うと、なぜわしがお前達に狙われるのじあ、わしは何もしておらん、あれは匠の守の乱心であり幕府の裁可なるぞと言うと、呼子、
を主税が吹き、邸内にいた赤穂浪士が墨小屋に集まって来たのです、大石もこの笛を聞いて、どうやら吉良は見つかったようじあなと言うと、吉田忠座衛門がとうとうやりました、
なあと言って笛の方に歩いて行ったのです、

大石が吉良少将殿で御座るな、それがしは元赤穂藩主席家老、大石内蔵助に御座る、殿の無念を晴らす為推参つかまつりました、この上は潔いご最後をと脇差を渡すと受け取り、この、
上は致し方ないか、わしは切腹などした事はないと言うので、大石が腹に突き立てなくとも首を差し出せば良いので御座ると言うので、そうかと言って鞘を払うので大石が紙を渡すと、
刃に巻いたので、

庭先では失礼に当たります、ご座敷にてご最後をと言うと、匠の守は庭先で切腹したと聞く、わしもここで結構じあと言うので、小々お待ちをと言うと、畳をはずさせて庭に敷き、
傍にあった寒椿の枝を切り畳の端に一輪ずつ突き刺して、吉良を真ん中に座らせると、ほう、中々風流じあのうと言うので、時世の句はありますかと大石が聞くと、突然の事ゆえ、
用意しておらん、

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