第42話

文字数 2,746文字


源三郎江戸日記42

殿は後任の江戸家老には父上をと申されましたが、父上はお受けなさらないでしょをうとお話しましたら、国元の勘定奉行、郡奉行の二人を江戸家老として登用してやらせるという事で、
した要らぬ事を申し上げましたでしょうかと聞くと、それで良い、わしが受けるはずがないだろうと言ったのです、それではこれより江戸家老にお話して来ますといって、江戸家老の、
役宅に行き面会を申し出ると、

奥に通され、おう源三郎か殿の用事じあなと言うので、ハイ殿の仕置きをお伝えにまいりましたというと、それでは上座にと言うので、ここで結構にござりますといって、国元の事情、
を話して、隠居願いを書くように頼むと、懐よりそれは用意してあると渡すので受け取り、これでご家老の言われるとおり、次種さまが家督は相続されることになり、筋目はただされ、
ますと言うと、

それを聞いて安心した、こころおきなく隠居できるぞというので、もう一つ大きな仕事が残っています、この話しをしても、従わないものが出てくるでしょう、やもうえなく上意打ち、
をする事になるやも知れませぬというと、やもうえぬ事じあなと言うので、それでは最後の仕事として全員の藩士に大広間に集まるようにしてくだされと言うと、用人を呼び至急藩士、
を大広間に集めるように命令したのです、

三島では柳沢様の手の者を叩き潰したそうじあなと言うので、あれで柳沢様は高鍋藩の改易を断念したそうに御座います、今後は手はださない考えと承りましたが、いつ、気が変る、
やも知れません、十分な用心が寛容です、家中の争いなどは厳に慎まなければなりませんと言うと、その通りじあまったく困ったもんじあな、いくら柳沢様が約定なされても、守ら、
れる訳がないと申したのだが、

過激な者共は聞く耳をもたなんだと言ったのです、1時して用人が総て集まりましたというので、それでは参ろうかと言うので、後を付いて大広間に入ると、江戸家老が国元より殿の、
急使が到着した、目付けの村上源三郎であると紹介するので、役目により席と言葉を改める、殿の意向により世継ぎは次種様とする、時種さまは3000石で分家を起こさせるという事、
に御座ると書状を見せて、

尚これに不服を言い立てるものは上意打ちにせよとの言葉でござると、上意打ちの朱印状を掲げると、江戸家老、江戸留守居役以下がはは~つと平伏したのですが、5人が不服そうな顔、
をして頭は下げなかったのです、それではこれで話は終わりでござる、そうそうに政務に戻られよというと、ぞろぞろと大広間を出ていったのです、そこもと達5人は不承知なのかと聞、
くと、

お納戸役頭の多田彦衛門がそれがしたちは不承知にござる、国元に立ち返り同志を集め時種様を擁立し、殿には隠居していただくと言うので、どうしても不承知なら上意打ちいたすと言、
うと立ち上がったので、家老がこれややめんかと言ってもの共出会えと言うと5人のタスキがけ藩士がフスマを空けたのです、多田らはやるのかと言って一斉に刀を抜いたので、源三郎、
がそれがしに任せろ、

手を出してはならんと言って刀を抜き、峰打ちにはいたさんので承知されよというと、回りを取り囲んだので、踏み込み右に切り上げ、左に切り下げると、ぐわ~と言って2人が刀を落、
転がったのです、お主達の腕ではわしは切れん、まだやるのかと言うと多田が切りかかったので横に切り払うと、ぐわ~と言って転がったので、踏み込み右左に切り結ぶと、後の二人、
も腕から血を流し転がったのです、

だから言わん事ではない、急所ははずしてある命は別状ない、酒とさらしを持ってこい、酒を傷口に吹きかけ縛り、腕の根元を縛り止血をするのだと言うと、藩士がキズの手当てをした、
ので、そこに座らせ、殿の言いつけに背くとは許しがたいが、忠義から出た行動と解釈する、5人の家禄は3年間50石とし、3年後には元にもどす、なお3ケ月間の謹慎を申し付ける、
これ以上不穏な動きをして家族を悲しませてはならんと言って、

それぞれの屋敷に送り届けて、家族にその事を伝えよと言うと、藩士が立たせて大広間を出て行ったのです、江戸家老が見事な腕てだな殿が選ばれた理由がわかった、傍にいた父上に、
源之丞に家老を引き継いでもらうのが一番安心なのじあがと言うと、それはなりませぬ、みどもは留守居役が丁度適任で御座いますというと、諸般の事情では仕方ないのう、これで、
わしは国元によ戻り、

老後ははつくりできるぞと言うので、長年にわたりお勤めお疲れ様に御座りましたと二人は頭を下げたのです、大広間を出て父上の役宅に帰り、母上にめどおりすると、お峰殿から聞き、
ました、150石を賜り分家を許されたそうじあな、それは目出度い事です、源一朗にも子が出来ます、重ねて目出たいことですと言うので、傍にいた源一朗の嫁に、お菊殿おめでとう、
御座いますと言うと、

源三郎殿もよかったなあと言ったのです、仕置きも無事すんだ役目ご苦労であった、今日は根岸に帰りお鶴に顔を見せてやれというので、ハイ、改めてご挨拶に伺いますと言うと役宅、
を出て、籠でお峰とともに寮にもどったのです、お鶴とお律が迎えに出て無事のお戻りお疲れ様でしたというので、挨拶して部屋に入ったのです、早速台所を借りますといって、持つ、
てきた、

マグロを取り出して、三枚にさばくと、腐ってはいません、これなら刺し身は無理でも、煮物には大丈夫だなと言って、お梅にブリ大根ではなく、カツオ大根にしてくれと言うと、聞い、
た事はありせんがと言うので、ブリもマグロも魚だからいいのさと言って、後の半身をぶつ切りにして焼くように言ったのです、部屋にもどり高鍋のマグロで御座います、刺し身は無理、
ですが、

煮物、焼き物には大丈夫ですと言うと、そんな事より国元の祖父、祖母様は元気でしたかと聞くので、元気にございます、今回私目は150石を頂き分家を許されました、役目が隠し目付、
なれば、屋敷の外に住む事になります、いままで通りここに住まわせてくだされと言うと、それは構いませぬ、若狭屋が聞いたらさぞかし喜ぶことでしょう、明日でも知らせてあげな、
されと言ったのです、

お律が兄上様もついに部屋住みではなくなったのですね、今日はお祝いにお頭付のタイを求めてまいりましょうと席をたったのです、それでは夕餉の時に色々国元の話しを聞かせておく、
れと言うので、部屋に戻り湯に入ってくるというと、お峰が新しい下帯と着物を用意して、私は居所を手伝いますと部屋を出て行ったのです、源三郎は湯につかりゆつくり汗を流し部屋、
に戻ったのです、

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