第19話 セドリックとサイラス 王室からの暗殺命令(サイラス側)
文字数 1,060文字
「セドリック。何、勝手に人の執務室の人払いをしてるんだ」
好きではないデスクワークを仕方なくしていると、いきなり執務室から人の気配が消えた。
見なくても分かる。こんなことする奴は、セドリックしかいない。
扉が開いて入ってきたのは予想通りセドリックだった。
こういう時は、イヤな予感しかしない。
「サイラス。急ぎの伝令だ耳を貸せ」
セドリックが、書類だらけの俺の机に座り体をねじって椅子に座っている俺の耳を引っ張った。
痛てっ!
無茶するな、バカ野郎。
「引っ張るな。セドリック」
文句を言うと、耳からこんな言葉が入ってきた。
「リナがマリユス・ニコラに襲われる」
……は?
「今日の外交でリナが種をまいた。ニコラを処刑に持っていく為らしいが。他の使節団は協力者ということで、無罪放免になるらしい」
ああ。仕事の一環か。まぁ、護衛が付いているし……軍部に居ればそういう仕事もまわって来るよな。
「それの何が問題だ?」
よくわからん。セドリックがリナの心配をするのは分かるけど、相手を嵌 めるための、計画的なものだろ?
「ここからが、ジークとアランの伝令だ。もし、リナがそのことで死んだり、何か重篤な症状が残ったら、使節団全員暗殺しろと命令が出た。リナの命令書がある以上、処刑は出来ないからな」
はぁ?
俺は思わず素の顔でセドリックを見てしまった。
なんだ? それは。仕掛けた本人が、死んでどうする。
「そんな危ない事をなぜリナがする事になっているんだ」
セドリックは無言だ。
そして俺の耳を離し、下を向く。
「リナが……向こうの国で、自分も一緒に戦うはずだったから、仕方が無いんだと」
背中を丸めてぼそぼそと言っている。
全くセドリックらしくない。
「計画の一部を、こっちで遂行 するだけだ」
「うちには関係無いだろう?」
やめさせろ、という意味で言ったのだが。
「分かってるよ。俺だってさせたくないさ、だけど分かるだろう?」
珍しい、セドリックが泣きそうな声で叫びそうになってる。
「まぁ、リナだからな。止めたら隠れてやりそうだ」
それよりは、ってところか……。
「りょーかい」
まぁ、伝令といっても、結局は命令だからな。
誰が出した命令かは、知らんが。
誰も、リナを止めれなかったんだろうなぁ。
セドリックは、俺の返事を聞いたらさっさと部屋を出て行ってしまった。
雑然とした人の気配が戻る。
なんでイヤな予感と言うのは、当たるんだろうな、ったく……。
目の前に広がったぐちゃぐちゃになった書類は、明日にでもセドリックに押しつけようと心に決めた。
好きではないデスクワークを仕方なくしていると、いきなり執務室から人の気配が消えた。
見なくても分かる。こんなことする奴は、セドリックしかいない。
扉が開いて入ってきたのは予想通りセドリックだった。
こういう時は、イヤな予感しかしない。
「サイラス。急ぎの伝令だ耳を貸せ」
セドリックが、書類だらけの俺の机に座り体をねじって椅子に座っている俺の耳を引っ張った。
痛てっ!
無茶するな、バカ野郎。
「引っ張るな。セドリック」
文句を言うと、耳からこんな言葉が入ってきた。
「リナがマリユス・ニコラに襲われる」
……は?
「今日の外交でリナが種をまいた。ニコラを処刑に持っていく為らしいが。他の使節団は協力者ということで、無罪放免になるらしい」
ああ。仕事の一環か。まぁ、護衛が付いているし……軍部に居ればそういう仕事もまわって来るよな。
「それの何が問題だ?」
よくわからん。セドリックがリナの心配をするのは分かるけど、相手を
「ここからが、ジークとアランの伝令だ。もし、リナがそのことで死んだり、何か重篤な症状が残ったら、使節団全員暗殺しろと命令が出た。リナの命令書がある以上、処刑は出来ないからな」
はぁ?
俺は思わず素の顔でセドリックを見てしまった。
なんだ? それは。仕掛けた本人が、死んでどうする。
「そんな危ない事をなぜリナがする事になっているんだ」
セドリックは無言だ。
そして俺の耳を離し、下を向く。
「リナが……向こうの国で、自分も一緒に戦うはずだったから、仕方が無いんだと」
背中を丸めてぼそぼそと言っている。
全くセドリックらしくない。
「計画の一部を、こっちで
「うちには関係無いだろう?」
やめさせろ、という意味で言ったのだが。
「分かってるよ。俺だってさせたくないさ、だけど分かるだろう?」
珍しい、セドリックが泣きそうな声で叫びそうになってる。
「まぁ、リナだからな。止めたら隠れてやりそうだ」
それよりは、ってところか……。
「りょーかい」
まぁ、伝令といっても、結局は命令だからな。
誰が出した命令かは、知らんが。
誰も、リナを止めれなかったんだろうなぁ。
セドリックは、俺の返事を聞いたらさっさと部屋を出て行ってしまった。
雑然とした人の気配が戻る。
なんでイヤな予感と言うのは、当たるんだろうな、ったく……。
目の前に広がったぐちゃぐちゃになった書類は、明日にでもセドリックに押しつけようと心に決めた。