第42話 クリフォード様の夜会
文字数 1,461文字
豪奢な作りのダンスホール。淑女たちのドレスの波。
さざめくような舞踏の曲とおしゃべり……あ~、語彙が足りない。
とりあえず夜会へ、名目上婚活に来ています。アル兄様と……。
アル兄様も私も、婚約者居ないしね。男性は結構20代半ばとかでも、婚約者居なかったりするけど。
女性は20才過ぎるとまずいらしい。何か、昔の日本の25過ぎると……って感じを思い出すと嫌だけど。まぁ、まだ5年もあるしね。
こんな感じで、適当に下位貴族を中心にクラスメイトとかのお付き合いで出てたのだけど、今日のは、ちょっと違う。
クリフォード・アボットが主催している伯爵家の夜会。侯爵家の嫡男がわざわざ伯爵として主催しているのには……まぁ、下位貴族を呼ぶためなのだろうけど。
私は飲食スペースで、一緒に呼ばれたクラスメイトたちとおしゃべりしていた。話題はもっぱら男性 のこと。
だって、この場に居る男性陣は、下位貴族の令嬢じゃ、ちよっと手が出ない身分の方々。
下手にお相手にでもなろうものなら、遊ばれて捨てられるのがオチだ。
そんなこんなで、クラスメイトで固まってた私たちのところに、主催者のクリフォード・アボットがやってきた。
「皆様、今宵は楽しまれてますか?」
穏やかな笑みを浮かべている。クラスメイトたちは頬を染めたり、隠れたりで、私は前へ押し出されてしまった。マジか、私も隠れたい。
「ありがとうございます。ですが、あまりの豪華さに少し気後れしているところです」
少し恥じらった感じで、笑って答える。
今日はもうアル兄様と2人で主催者クリフォードに挨拶に行っているので、しゃべることが無い。
兄よ、どこ行った。あ~、なんか向こうで女性陣に捕まってる。
「君は先程挨拶に来て頂いたアルフレッド・ポートフェン殿の妹君 の」
「リナでございます」
初対面があの事件だから、お互い無かったことにしている。変にあの事件に関わってると思われない為の、いわば処世術だ。
「お兄さんが居ないと心細いですか?」
あ、兄探してるの分かったか…って、分かるよね、露骨に探したもの。
「……はい」
口元に手をやって下向いた……のに、顔をのぞき込んでくる。
「怖くないですよ」
口元にやってた手をやんわりと握って自分の方に引き寄せた。
後ろで小さくキャ~って悲鳴? 歓声? が上がった気がした。
喜んでないで助けてくれ、友達だろ? なんて……。
「ほら、お兄さんがこちらに来てる」
と言って、クリフォードはスッと背をまっすぐし、後ろを振り向く。
アル兄様が立っていた。
「妹が何か粗相を致しましたでしょうか。アボット伯」
「クリフォードでかまわないよ。リナ嬢が、心細がって君を探してたので、こうしたら来るかな、と思って」
クリフォードは、まだ握ったままの私の手を自分の口元にやった。
「お戯れが過ぎましょう。うちのリナはまだ子どもです」
クリフォードから私の手を取り返してくれた。表面は2人とも穏やかに笑ってるのにね。
「そのようだな。だがね、子どもだ子どもだと思っているうちに、いつの間にか高嶺の花になっているものだよ」
ちょっと何言ってんのか分かりません。
「せっかくのダンスタイムだ。まだラストダンスにも間があるし、リナ嬢をお借りしてもよろしいですか?」
「本人に許可を取ってください」
私に返答を任せた時点で受けるの確定ですね。令嬢からの返事はYES一択ですから。
さざめくような舞踏の曲とおしゃべり……あ~、語彙が足りない。
とりあえず夜会へ、名目上婚活に来ています。アル兄様と……。
アル兄様も私も、婚約者居ないしね。男性は結構20代半ばとかでも、婚約者居なかったりするけど。
女性は20才過ぎるとまずいらしい。何か、昔の日本の25過ぎると……って感じを思い出すと嫌だけど。まぁ、まだ5年もあるしね。
こんな感じで、適当に下位貴族を中心にクラスメイトとかのお付き合いで出てたのだけど、今日のは、ちょっと違う。
クリフォード・アボットが主催している伯爵家の夜会。侯爵家の嫡男がわざわざ伯爵として主催しているのには……まぁ、下位貴族を呼ぶためなのだろうけど。
私は飲食スペースで、一緒に呼ばれたクラスメイトたちとおしゃべりしていた。話題はもっぱら
だって、この場に居る男性陣は、下位貴族の令嬢じゃ、ちよっと手が出ない身分の方々。
下手にお相手にでもなろうものなら、遊ばれて捨てられるのがオチだ。
そんなこんなで、クラスメイトで固まってた私たちのところに、主催者のクリフォード・アボットがやってきた。
「皆様、今宵は楽しまれてますか?」
穏やかな笑みを浮かべている。クラスメイトたちは頬を染めたり、隠れたりで、私は前へ押し出されてしまった。マジか、私も隠れたい。
「ありがとうございます。ですが、あまりの豪華さに少し気後れしているところです」
少し恥じらった感じで、笑って答える。
今日はもうアル兄様と2人で主催者クリフォードに挨拶に行っているので、しゃべることが無い。
兄よ、どこ行った。あ~、なんか向こうで女性陣に捕まってる。
「君は先程挨拶に来て頂いたアルフレッド・ポートフェン殿の
「リナでございます」
初対面があの事件だから、お互い無かったことにしている。変にあの事件に関わってると思われない為の、いわば処世術だ。
「お兄さんが居ないと心細いですか?」
あ、兄探してるの分かったか…って、分かるよね、露骨に探したもの。
「……はい」
口元に手をやって下向いた……のに、顔をのぞき込んでくる。
「怖くないですよ」
口元にやってた手をやんわりと握って自分の方に引き寄せた。
後ろで小さくキャ~って悲鳴? 歓声? が上がった気がした。
喜んでないで助けてくれ、友達だろ? なんて……。
「ほら、お兄さんがこちらに来てる」
と言って、クリフォードはスッと背をまっすぐし、後ろを振り向く。
アル兄様が立っていた。
「妹が何か粗相を致しましたでしょうか。アボット伯」
「クリフォードでかまわないよ。リナ嬢が、心細がって君を探してたので、こうしたら来るかな、と思って」
クリフォードは、まだ握ったままの私の手を自分の口元にやった。
「お戯れが過ぎましょう。うちのリナはまだ子どもです」
クリフォードから私の手を取り返してくれた。表面は2人とも穏やかに笑ってるのにね。
「そのようだな。だがね、子どもだ子どもだと思っているうちに、いつの間にか高嶺の花になっているものだよ」
ちょっと何言ってんのか分かりません。
「せっかくのダンスタイムだ。まだラストダンスにも間があるし、リナ嬢をお借りしてもよろしいですか?」
「本人に許可を取ってください」
私に返答を任せた時点で受けるの確定ですね。令嬢からの返事はYES一択ですから。