第37.5話 ジークフリートの謝罪(リナの入室前 ジーク側)

文字数 580文字

 私は、自室でリナ・ポートフェンを待っていた。

 今回のことで、国王陛下から厳重注意を受けた。
 まず、身分のことを言ってはいけない学園内の生徒に対し、王族の権威を振りかざしたこと。
 もう一つは、リナ・ポートフェンとその兄アルフレッド、セドリック・クランベリーを感情のまま斬り殺そうとしたこと。
 本来なら、王族と言えど、処罰の対象だ。
 減刑の理由は、語られなかったが、学園内に所属する4名に対する謝罪を行うことで、この件を不問にすると命じられた。

 昨日まで、3人には謝罪できている。
 散々な言われ方をしたが。みんなが怒っていたことは、リナ・ポートフェンに剣を向けたことだけだった。
 私から、斬り殺されそうになったセドリックですら、自分のことは言わず、リナに剣向けたことに怒っていた。

 リナの兄である、アルフレッドによると。
 あれ以降、リナは笑うことも、泣くことすら出来ず……どこか、心が壊れてしまったように見える生活をしているらしい。

 冷静に考えたら、自分でもなんて事したんだと思う。
 だって、デビュタントしたての。何も知らずセドリックを信じて行動しただけの女の子を、私は斬り殺そうとしたんだ。
 しかも、リナは命乞いをすることも、逃げることもしなかった。
 ……セドリックが止めてくれなかったら、私は。


 そんな事を考えている内に、コンコンと控えめなノック音が聞こえた
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