第45話 え? ここにきてアラン殿下?

文字数 861文字

 社交シーズンもあと少しで終わる。
 言われるがままに、夜会に参加していたけど、それももうすぐ終わり。
 今回はどちらかというと、王太子派の夜会に多く出た。
 皆、情報をこちらにくれない。

 傀儡(かいらい)役になるって言ったのは私だから仕方ないけど。何かあったとき、知らなければしゃべりようが無いものね。
 でも、社交シーズン終わると王宮で普段働いている人以外は、自分の領地に帰ってしまうんだよね。王宮とか行ってみようかなぁ。
 教室でぼーっと考えていると、目の前に人影が……。

「リナ。人がまばらな教室でぼーっとしてると危ないよ」
「アラン様?」
 アランは前の席の椅子に横向きに座ってこちらを向く。
 え? いや……え? ここに来てアラン様?
 私は横目でジークフリートを見た。知らん顔してるし。
「困ったなぁ~って思ってる? せっかくセドリックとも会わず、王太子派の夜会にでたのにって」
 クスクス笑いながら言う。
「別に、困りませんよ」
 ゲームの時から思ってたけど、距離感が……。そこまで、親しくないのに。

「本当に?」
 アランの派閥はともかく。本人は王太子派なんだよね。しかも、ジークフリートと裏でつながってる……って事は、ねぇ。
「ああ……婚活の支障にはなるかもです」
「え~。必要ないじゃん。セドリックのところに来りゃ良いのに」
 いや、その発言本人の許可すら取ってないでしょ。
「アラン様、ダメですよ。他人の人生勝手に決めるような発言。後でセドリック様に叱ってもらいます」
「え? うそ」

「ーで、何かご用ですか?」
 心に余裕が無いので、不毛な会話は避けたい。
「うん。バランス取ろうと思って。ここにいるだけの用事だよ」
 なるほど、何か動きがありましたか。
「アラン様。ものは相談なのですが……」
 内緒話なので、顔を近づけて小声で話す。
「なになに」
 アランものってきた。
 私は、ある夜会の招待状をもらっていた。子爵家には滅多に来ないところから。
 アランに断られたら、諦めよう。
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