第79話 近衛騎士見習いリナ アランの妹フイリッシア
文字数 1,551文字
王宮の奥の奥。王族のプライベートスペース。
私は近衛の制服を着せられ、いわゆる男装をさせられて連れてこられた。
髪の毛は、引っ詰めてカツラの中に押し込めた。何かの拍子で地毛がカツラから出たときのために、髪の色は変えてない。
男の子として考えると、外見年齢10歳前後。どうしてこうなった。
近衛は騎士団の上位職。
本来、騎士団を5年以上経験した後に希望者が、騎士団長の推薦を受けた上で、テストを受けて配属されると言われた。
通常業務は、関係無いはずだったのだけど、近衛の仕事は通常業務にしか無い。
昨日、団長たちと町の警備とか色々詰めて話し合った結果。
騎士団のほとんどが、かり出されることになって、私は訓練所に行く意味が無くなった。
まぁ、まだアボット侯爵との会談も調整中だしね。
私の任務は、なんと、アランの妹君 の護衛。
あれ? アランの妹って、アランルートにいなかったっけ?
容姿がアランそっくりの超ワガママ王女殿下。名前はフイリッシア。年齢は12歳。
「ポートフェン殿。これから会うのは王族です。くれぐれも粗相の無いように願います」
というのは、第4部隊隊長ネイト・オールストン。
栗色の髪の端正で少し神経質な顔立ちの前世でだったら同じ歳かちょっと上? って感じの私の指南役。
宰相から、バリバリの第二王子過激派なので、気をつけなさいと言われてた。
って言うか、この第4部隊自体がホールデン家の息がかかってるんだよね。
ちなみに第3部隊は王太子派で、エイリーンの護衛になるので甘やかされてお終いって事で、第4になったのだけど。
「分かりました。隊長」
少し歩いていると、フイリッシアの部屋の前に付いたようで、オールストン隊長が居住まいを正し部屋をノックする。
「ネイト・オールストンです。リナ・ポートフェンを連れて参りました」
入り口でそう言って部屋に入る。私も後に続いた。
「今日から2週間。見習いとして護衛にあたるリナ・ポートフェンです」
挨拶しろと促された。ちゃんと教育はしてくれるらしい。
「リナ・ポートフェンです。よろしくお願いします」
私は、習いたての騎士の礼を執る。
「リナ? 女性みたいな名前だね」
ゲッ、アランいるし。
答えて良いのかな? チラっとオールストンを見る。
「アラン王子殿下が質問されてる」
あ……答えろって事ですね。
「男ばかり続いたので、女の子の名前しか考えて無く、そのまま付けられました」
「それは……、大変だったね」
声が震えてる。笑ってるな、これは。って言うか、こっちにやってきてるし。
アランの手がサラッと髪にふれる。顔が近づいてきたかと思ったら、耳元でささやかれた。
「頼む。言うことを聞いて」
アラン?
「可愛い子連れてきたね、オールストン。僕、この子気に入っちゃった」
「お戯れを、まだほんの子どもでございます。ここに通うのも2週間程度のもの、どうかお見逃がし下さい」
あれ? 庇ってくれてる。それじゃ、この人の後ろに隠れちゃおう。
アランがジト目になってる。だってね。アランが私を取り込んだら、ここに来た意味がない。
「お兄様。私の護衛よ。取らないで」
「ああ……妹のフイリッシアだよ。今年12歳になるんだ」
「リナ・ポートフェンと申します。短い間ですが、華のように可憐な姫君に仕える事が出来て、光栄に思います」
私は椅子に座っているフイリッシアの前で跪いて手の甲に口づけをして、礼を尽くした。
え? 尽くしすぎ? フイリッシアのお顔が赤くなってる。
「誰が教えたんだよ。そんな礼の仕方」
アランが素で、私に言ってきた。
「え? サイラス・ホールデン様……ですが?」
しまった、つい答えちゃった。
「あの方の礼儀作法は、とりあえず忘れて下さい」
オールストンがこめかみを押さえた。
私は近衛の制服を着せられ、いわゆる男装をさせられて連れてこられた。
髪の毛は、引っ詰めてカツラの中に押し込めた。何かの拍子で地毛がカツラから出たときのために、髪の色は変えてない。
男の子として考えると、外見年齢10歳前後。どうしてこうなった。
近衛は騎士団の上位職。
本来、騎士団を5年以上経験した後に希望者が、騎士団長の推薦を受けた上で、テストを受けて配属されると言われた。
通常業務は、関係無いはずだったのだけど、近衛の仕事は通常業務にしか無い。
昨日、団長たちと町の警備とか色々詰めて話し合った結果。
騎士団のほとんどが、かり出されることになって、私は訓練所に行く意味が無くなった。
まぁ、まだアボット侯爵との会談も調整中だしね。
私の任務は、なんと、アランの
あれ? アランの妹って、アランルートにいなかったっけ?
容姿がアランそっくりの超ワガママ王女殿下。名前はフイリッシア。年齢は12歳。
「ポートフェン殿。これから会うのは王族です。くれぐれも粗相の無いように願います」
というのは、第4部隊隊長ネイト・オールストン。
栗色の髪の端正で少し神経質な顔立ちの前世でだったら同じ歳かちょっと上? って感じの私の指南役。
宰相から、バリバリの第二王子過激派なので、気をつけなさいと言われてた。
って言うか、この第4部隊自体がホールデン家の息がかかってるんだよね。
ちなみに第3部隊は王太子派で、エイリーンの護衛になるので甘やかされてお終いって事で、第4になったのだけど。
「分かりました。隊長」
少し歩いていると、フイリッシアの部屋の前に付いたようで、オールストン隊長が居住まいを正し部屋をノックする。
「ネイト・オールストンです。リナ・ポートフェンを連れて参りました」
入り口でそう言って部屋に入る。私も後に続いた。
「今日から2週間。見習いとして護衛にあたるリナ・ポートフェンです」
挨拶しろと促された。ちゃんと教育はしてくれるらしい。
「リナ・ポートフェンです。よろしくお願いします」
私は、習いたての騎士の礼を執る。
「リナ? 女性みたいな名前だね」
ゲッ、アランいるし。
答えて良いのかな? チラっとオールストンを見る。
「アラン王子殿下が質問されてる」
あ……答えろって事ですね。
「男ばかり続いたので、女の子の名前しか考えて無く、そのまま付けられました」
「それは……、大変だったね」
声が震えてる。笑ってるな、これは。って言うか、こっちにやってきてるし。
アランの手がサラッと髪にふれる。顔が近づいてきたかと思ったら、耳元でささやかれた。
「頼む。言うことを聞いて」
アラン?
「可愛い子連れてきたね、オールストン。僕、この子気に入っちゃった」
「お戯れを、まだほんの子どもでございます。ここに通うのも2週間程度のもの、どうかお見逃がし下さい」
あれ? 庇ってくれてる。それじゃ、この人の後ろに隠れちゃおう。
アランがジト目になってる。だってね。アランが私を取り込んだら、ここに来た意味がない。
「お兄様。私の護衛よ。取らないで」
「ああ……妹のフイリッシアだよ。今年12歳になるんだ」
「リナ・ポートフェンと申します。短い間ですが、華のように可憐な姫君に仕える事が出来て、光栄に思います」
私は椅子に座っているフイリッシアの前で跪いて手の甲に口づけをして、礼を尽くした。
え? 尽くしすぎ? フイリッシアのお顔が赤くなってる。
「誰が教えたんだよ。そんな礼の仕方」
アランが素で、私に言ってきた。
「え? サイラス・ホールデン様……ですが?」
しまった、つい答えちゃった。
「あの方の礼儀作法は、とりあえず忘れて下さい」
オールストンがこめかみを押さえた。