第82.5話 アランとクランベリー公爵の密約(アラン側)
文字数 681文字
僕は王宮内の自分の部屋で、クランベリー公爵の抗議文に目を通していた。
「クランベリー公爵閣下が参りましたが、いかがいたしましょうか?」
そうしていたら侍女が控えめに訊いてきた。
「ああ。こちらに通してくれるかな?」
「かしこまりました」
そう言って、侍女が下がっていく。
僕は、第二王子という立場で、特に仕事はしていない。
だから、この王宮内に執務室は持っていないので、ここで抗議を受ける事にした。
室内にいた近衛を入り口の外に配置しなおす。
侍女はお茶を入れさせた後、下がらせた。
タダでさえ、怖い人だ。侍女を怯えさせることも無いだろう。
「アラン王子殿下には、ご機嫌麗しく……」
「機嫌が悪いのは、あなたの方だよね。どうぞ座って」
侍女を下がらせておいて良かった。本当に機嫌が悪そうだ。
僕が目の前のソファーを勧めると、クランベリー公爵は大人しく座った。
「まずは、事実関係を知りたいのですが、よろしいですかな? アラン王子殿下の部屋からリナ・ポートフェンが泣きながら出てきたと、報告を受けておりますが」
単刀直入に、訊いてくる。
「それは、事実だよ。実際、リナを泣かせてしまったから」
「ほう?」
クランベリー公爵の気配が、少し怖くなっている。
「リナは、何て?」
「何も無かったと言ってますよ」
そうだろうね。実際何も無かったから。
「では、僕もそれでいいよ」
「どういう意味ですかな?」
「あなたと僕の間で、この問答は無意味だと言ってるんだよ。お互い信じてないのだから。それより、今後のことを話そうか。リナの所有権の話とか」
アラン王子殿下とクランベリー公爵の密約の話である。
「クランベリー公爵閣下が参りましたが、いかがいたしましょうか?」
そうしていたら侍女が控えめに訊いてきた。
「ああ。こちらに通してくれるかな?」
「かしこまりました」
そう言って、侍女が下がっていく。
僕は、第二王子という立場で、特に仕事はしていない。
だから、この王宮内に執務室は持っていないので、ここで抗議を受ける事にした。
室内にいた近衛を入り口の外に配置しなおす。
侍女はお茶を入れさせた後、下がらせた。
タダでさえ、怖い人だ。侍女を怯えさせることも無いだろう。
「アラン王子殿下には、ご機嫌麗しく……」
「機嫌が悪いのは、あなたの方だよね。どうぞ座って」
侍女を下がらせておいて良かった。本当に機嫌が悪そうだ。
僕が目の前のソファーを勧めると、クランベリー公爵は大人しく座った。
「まずは、事実関係を知りたいのですが、よろしいですかな? アラン王子殿下の部屋からリナ・ポートフェンが泣きながら出てきたと、報告を受けておりますが」
単刀直入に、訊いてくる。
「それは、事実だよ。実際、リナを泣かせてしまったから」
「ほう?」
クランベリー公爵の気配が、少し怖くなっている。
「リナは、何て?」
「何も無かったと言ってますよ」
そうだろうね。実際何も無かったから。
「では、僕もそれでいいよ」
「どういう意味ですかな?」
「あなたと僕の間で、この問答は無意味だと言ってるんだよ。お互い信じてないのだから。それより、今後のことを話そうか。リナの所有権の話とか」
アラン王子殿下とクランベリー公爵の密約の話である。