第8話 この学園にも定期考査ってあるんだね

文字数 856文字

 この王立学園に入学して三か月がたちました。
 私の負けず嫌いがつい発動して、廊下の壁の前で呆然としています。
 正確に言うと、先日行われた定期テストの結果を貼った廊下の壁……順位表の前で。

 何という快挙でしょう! 王子殿下たちも上位貴族たちも全て抜かして、子爵令嬢が1位とってますよ。

 バカなんですか? 私……。ハッキリ、バカでしょう……。

 消えたい。

 いや、簡単すぎました。数学? 小学生レベルの算数ですよ。
 政治経済学? 中学生でも知ってる、公民の範囲的な? いや、これはもう下位貴族に合わせているんでしょうとも、伯爵令嬢以上の方々も点数高いです。

 言語自体は自動翻訳だけど、外国語の文法その他、英語やフランス語に酷似してましてねぇ。
 英語なんか、仕事でバリバリ使ってましたよ、つい最近まで……。フランス語も大学の第二外国語で取得済みです。

 ていうか、なんで王太子殿下がとれてないのよ。将来外交するんだろ? あんた。つい、口が悪くなってしまいました。男社会にいた弊害ですかな? ハハハ……。
 なんか、みんな、ざわざわしてるし……泣きたいよ。

 後ろに、誰か近付いてきた気配でギギギッと振り向いたら、良い笑顔の王子が二人。
「いや~。すごいね、リナちゃん。僕にも今度教えてくれないかなぁ」
 とは、アラン。
「リナ嬢は、外交も出来そうですね。楽しみにしてますよ」
 とジークフリート。

 何を? と、つい聞き返しそうになりましたよ、本当。
 外国語が出来るだけで外交が出来るのなら前世でも外交官してましたよ、私。

 ちなみに成績順位は、1位リナ・ポートフェン 2位ジークフリート 3位アラン同点3位エイリーン・マクレガーとなっている。
 しくしくしく。

 でもまぁ、このテスト終了で、学園はしばらくはのんびりムードになる。
 後、1ヶ月足らずで社交シーズン始まるし、女性を中心に王都にある自宅から学園に通うようになるからだ。

 兄は、寮に残るようだけど。
 私はこのシーズンはデビュタントがあるので、マリアと一緒に自宅に戻ることとなった。
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