第47.5話 王子たちの現状把握(アラン側)
文字数 1,587文字
「セドリック。リナが受けてる仕事って何?」
僕は、イヤな予感がしてセドリックに訊いていた。
「言えません」
珍しく、僕の質問に答えない。仕方が無い。したくは無いが。
「命令でも?」
「申し訳ございません。命令違反で罰せられても言えません」
セドリックが、僕に対して礼を執ってきた。
完全に僕を王族として見ている。それでも、言えないって事?
こういう時の、セドリックに尋問しても無駄な事を知っている。
だから、リナの方を追いかける事にした。
少し廊下を行くとすぐにリナに追いついた。
「リナ」
「アラン様。先程は、見苦しいところをお見せしてしまって、すみませんでした」
リナはぺこんと頭を下げている。
「ああ。それは良いんだ。女子寮まで送るよ。女の子一人だと危ないしね」
「ありがとうございます」
ああ、そういえば忘れてたって感じでリナが言う。
「今日は夜会に付き合って頂いて、ありがとうございました」
今度はちゃんと、令嬢の礼を執ってお礼を言った。
「ああ。でも、ホールデン侯爵家には近付かない方がいいよ」
「はい。アラン様に断られたら諦めるつもりでした」
「そうなの?」
それは、意外だったな。
「ホールデン侯爵様より身分が上で、ご一緒して貰っても危なくない方は、アラン様しか思いつきませんでしたので」
「ああ。なるほどね」
何も考えてないわけでは無いか。そうだな、でないとリネハン伯の家から無傷でエイリーンを救い出すことも出来無い。
「ねぇ。リナの受けてる仕事って国王の依頼だよね。なに?」
僕は、先程のセドリックの態度から、あたりを付けて言う。
「アラン様?」
「命令したくないんだ」
本当に、君にまで命令したくはない。
僕は、さりげなくリナと手を繋いだ。逃げられない様に。
リナは、困惑した顔をしているけどね。
「国王様からの依頼は、『学園在籍中の王太子と第二王子の安全確保』という簡単なお仕事ですわ」
なんでもない事の様に、リナがにこやかに言った。
は?
今、何て言った? ジークと僕が何?
思わずリナとつないでいる手に力が入る。
セドリックが怒るはずだ。
少しでも隠し事されたら、リナを守り切れない。
この子は、僕たちのせいで、危ないと解っていたホールデン侯爵家の夜会にも行ったんだ。
僕のせいで、無駄足にさせたのかも知れない。
「……そう。女の子に守られるなんて、恥ずかしいな」
そうして手を繋いで歩いてうるちに、女子寮に着いた。
「アラン様。ありがとうございました」
「うん。今日はゆっくりお休み」
リナが女子寮に入っていくのを見送ってから、踵 を返し、男子寮のジークの部屋を目指した。
ノックもせず、ジークの部屋を開ける。
「なにごと? アラン」
ジークは机に向かって、何か書き物をしているようだった。
「人払いして貰える?」
僕のただ事ならない様子を察したようだ。使用人に目配せして人払いをさせる。
ほどなくして、人の気配が完全に消えた。
「それで?」
先を促すように、僕に訊いてきた。
「ジークは知ってた? リナが国王から『学園在籍中の王太子と第二王子の安全確保』と言う依頼を受けてるって」
ジークは持っていたペンを取り落とす。
「な……んで? ちょっと待って、なんで……そんな」
ああ。やっぱり、ジークもうろたえるよね。
「今日もホールデン侯爵家の夜会に、僕とだけど行ってた。危険を承知の上で」
「なんで連れて行ったんだよ。そんなところに……」
「僕と行くのが一番安全だって、リナが。僕の派閥だし……。でも、知らなかったから。すぐに帰ってきてしまったんだ。知ってたら僕が探ったのに、リナの知りたいこと」
「……それで、逃げないって言ったんだ。お家騒動に関わるって」
冗談じゃない。なんで、リナが僕たちの犠牲にならないといけないんだ。
僕は、どこへ向けて良いか分からない怒りがこみ上げているのを必死で抑えていた。
僕は、イヤな予感がしてセドリックに訊いていた。
「言えません」
珍しく、僕の質問に答えない。仕方が無い。したくは無いが。
「命令でも?」
「申し訳ございません。命令違反で罰せられても言えません」
セドリックが、僕に対して礼を執ってきた。
完全に僕を王族として見ている。それでも、言えないって事?
こういう時の、セドリックに尋問しても無駄な事を知っている。
だから、リナの方を追いかける事にした。
少し廊下を行くとすぐにリナに追いついた。
「リナ」
「アラン様。先程は、見苦しいところをお見せしてしまって、すみませんでした」
リナはぺこんと頭を下げている。
「ああ。それは良いんだ。女子寮まで送るよ。女の子一人だと危ないしね」
「ありがとうございます」
ああ、そういえば忘れてたって感じでリナが言う。
「今日は夜会に付き合って頂いて、ありがとうございました」
今度はちゃんと、令嬢の礼を執ってお礼を言った。
「ああ。でも、ホールデン侯爵家には近付かない方がいいよ」
「はい。アラン様に断られたら諦めるつもりでした」
「そうなの?」
それは、意外だったな。
「ホールデン侯爵様より身分が上で、ご一緒して貰っても危なくない方は、アラン様しか思いつきませんでしたので」
「ああ。なるほどね」
何も考えてないわけでは無いか。そうだな、でないとリネハン伯の家から無傷でエイリーンを救い出すことも出来無い。
「ねぇ。リナの受けてる仕事って国王の依頼だよね。なに?」
僕は、先程のセドリックの態度から、あたりを付けて言う。
「アラン様?」
「命令したくないんだ」
本当に、君にまで命令したくはない。
僕は、さりげなくリナと手を繋いだ。逃げられない様に。
リナは、困惑した顔をしているけどね。
「国王様からの依頼は、『学園在籍中の王太子と第二王子の安全確保』という簡単なお仕事ですわ」
なんでもない事の様に、リナがにこやかに言った。
は?
今、何て言った? ジークと僕が何?
思わずリナとつないでいる手に力が入る。
セドリックが怒るはずだ。
少しでも隠し事されたら、リナを守り切れない。
この子は、僕たちのせいで、危ないと解っていたホールデン侯爵家の夜会にも行ったんだ。
僕のせいで、無駄足にさせたのかも知れない。
「……そう。女の子に守られるなんて、恥ずかしいな」
そうして手を繋いで歩いてうるちに、女子寮に着いた。
「アラン様。ありがとうございました」
「うん。今日はゆっくりお休み」
リナが女子寮に入っていくのを見送ってから、
ノックもせず、ジークの部屋を開ける。
「なにごと? アラン」
ジークは机に向かって、何か書き物をしているようだった。
「人払いして貰える?」
僕のただ事ならない様子を察したようだ。使用人に目配せして人払いをさせる。
ほどなくして、人の気配が完全に消えた。
「それで?」
先を促すように、僕に訊いてきた。
「ジークは知ってた? リナが国王から『学園在籍中の王太子と第二王子の安全確保』と言う依頼を受けてるって」
ジークは持っていたペンを取り落とす。
「な……んで? ちょっと待って、なんで……そんな」
ああ。やっぱり、ジークもうろたえるよね。
「今日もホールデン侯爵家の夜会に、僕とだけど行ってた。危険を承知の上で」
「なんで連れて行ったんだよ。そんなところに……」
「僕と行くのが一番安全だって、リナが。僕の派閥だし……。でも、知らなかったから。すぐに帰ってきてしまったんだ。知ってたら僕が探ったのに、リナの知りたいこと」
「……それで、逃げないって言ったんだ。お家騒動に関わるって」
冗談じゃない。なんで、リナが僕たちの犠牲にならないといけないんだ。
僕は、どこへ向けて良いか分からない怒りがこみ上げているのを必死で抑えていた。