第10話 リナのデビュタント 当日会場入り

文字数 814文字

 そんなこんなで、あっという間に当日である。
 アルフレッドも、さすがに実家に戻ってきていて家族で馬車に揺られてる。
 私は、デビュタント用の白いドレスだ。

 今日は、ルイス兄がエスコートしてくれる。
 この世界では、デビュタントのエスコートは、例え婚約者がいても身内が原則だ。
 それでも、謁見の間の控え室前までしかエスコートできない。
 本当に身分関係なく、それぞれの令嬢が1人で頑張らなければいけないのだ。


 王宮の会場に入ると、学園の夜会会場にそっくりで少し驚く。
 やはりあの場所は王宮を模して、練習できるようにしていたんだ。
 会場を見渡すと、あちらこちらに白いドレスを着た令嬢が保護者と共にいるのが見えた。

 私は兄に連れられて、紹介がてらの挨拶回りをする。
 デビュタント予定の令嬢が王宮の使用人の方から声をかけられて会場を後にしてた。

 そのうち私のところにも王宮の使用人がやってきた。
 謁見の控えの間まで、エスコートしてくれた兄が
「別に失敗しても、かまわないからね。気楽に行っておいで」
 と、送り出してくれた。いつも私の気持ちを楽にしてくれる。
 ずっと、こうやって守ってくれたんだ。

 ちょっとの間だ。
 子爵令嬢なんて、王様の記憶にも残らない些細な存在。胸を張って、礼を尽くそう。

 謁見は原則的には、身分の高い令嬢から行われる。
 控えの間に入ったときには、最後の伯爵令嬢が呼ばれて行くところだった。
 座るための椅子も用意されていたが、どの令嬢もドレスが皺になるのを恐れてか、使った形跡が無い。
 まぁ、そうだよね。

 控え室には、クラスメイトの子爵令嬢が数名いる。皆、無言だ。
 私は何番目かな、って思っていると、すぐに呼ばれた。
「リナ・ポートフェン子爵令嬢様」
 返事はしなくて良い。呼ばれた方に向かう。
 王宮の使用人の方が、タイミングを見て謁見の間の扉を開けてくれた。
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