第16話 久しぶりの学園 セドリック、再び
文字数 1,263文字
デビュタントから2日経ち、私は寮に戻った。
あの日、謁見の間から会場に戻らなかった私は、謁見後、緊張のあまり倒れたことになっていた。少なからず、毎年のように2~3人は出るので特に不審がられることもなかった。
なので、すっかり友人になった令嬢たちからは、口々に「大丈夫でしたか?」とか「リナ様でもそういうことがあるのですね」とか、心配と安堵の声かけをして頂いた。王様のご不興をかったのかもと心配かけたらしい。有り難いことだ。
ゲームでは、クラスメイトとの関係は冷え切ってた感じだったので、覚悟していたのだけど。過ごしやすくて良かった。
最近ガン無視してたせいか、デビュタント後の微妙な時期の令嬢に遠慮してなのか、王子たちもあまりかまいに来なくなってた。
心配そうな視線は向けられたけど、それぞれの友人……ご学友だろうな……と談笑しているようだった。
私は、そっと休憩時間中のクラスから抜け出す。
休憩時間でも、用事の無いのに廊下をふらふら歩くのは、セキュリティ上推奨されていないのだけど……。
「よう、リナちゃん。こんなところで、ふらふら歩いてると危ないよ」
いつの間にか私のそばに寄ってきてたセドリックがひらひらと手を振って言った。
うん、貴方に声をかけられるのを待ってました。
「こんにちは。セドリック様」
「はい、こんにちは。今日は名前で呼んでくれるんだ」
お互い、にっこり笑う。
この人に、私の拙い演技や小細工は効かない。
百戦錬磨だろう高官を手こずらせる天才だもの。
だから、ゲームの設定通りの賢さと、お兄ちゃん属性にかけるしかない。
「アルフレッドに会いに行くのなら、今日はいないよ」
知ってる。2年生の下位貴族の子息たちは、今日の休み時間は全て先生の手伝いで時間が埋まっているはずだ。
そういう風に、裏から手をまわしてもらった。
「今日はセドリック様に会いたくてきたんです」
にっこり笑って言う。
「俺に? それは光栄だな」
ちょっと、警戒した気配がした。
「ーで、なに? なに? 場所変えた方が良い?」
相変わらず表面は、人の良いお兄さんだ。
スーッと息を吸って吐き、居住まいを正し、笑顔を消して言う。
「私、ジークフリート様が好きなんです」
セドリックからも笑顔が消える。その代わり戸惑ったような顔になった。
「えっと……。恋愛そう……だん?」
「それと同じくらい、アラン様も好きなんです」
そう言い終わって、にっこり笑う。
子どもの、あっちもこっちも皆好き的な発言だけど、セドリックなら裏を読んでくれるはず。
「ふ~ん。それを俺に言うんだ」
低い声になった。笑顔が怖いです。
「それで?」
「それだけですよ」
判断は貴方に任せます。味方になってなんて言わない。
でも、敵になられたら、私半分詰みますから。
「誰かに言ってみたかっただけです」
敵になられたときの用心と、周りの気配に配慮しました。
「まぁ、兄貴には言えないよな」
ガリガリと頭を掻く。
「覚えとく」
と言って、私の頭をポンッと叩いて行ってしまった。
レディの頭を叩くなよ。
あの日、謁見の間から会場に戻らなかった私は、謁見後、緊張のあまり倒れたことになっていた。少なからず、毎年のように2~3人は出るので特に不審がられることもなかった。
なので、すっかり友人になった令嬢たちからは、口々に「大丈夫でしたか?」とか「リナ様でもそういうことがあるのですね」とか、心配と安堵の声かけをして頂いた。王様のご不興をかったのかもと心配かけたらしい。有り難いことだ。
ゲームでは、クラスメイトとの関係は冷え切ってた感じだったので、覚悟していたのだけど。過ごしやすくて良かった。
最近ガン無視してたせいか、デビュタント後の微妙な時期の令嬢に遠慮してなのか、王子たちもあまりかまいに来なくなってた。
心配そうな視線は向けられたけど、それぞれの友人……ご学友だろうな……と談笑しているようだった。
私は、そっと休憩時間中のクラスから抜け出す。
休憩時間でも、用事の無いのに廊下をふらふら歩くのは、セキュリティ上推奨されていないのだけど……。
「よう、リナちゃん。こんなところで、ふらふら歩いてると危ないよ」
いつの間にか私のそばに寄ってきてたセドリックがひらひらと手を振って言った。
うん、貴方に声をかけられるのを待ってました。
「こんにちは。セドリック様」
「はい、こんにちは。今日は名前で呼んでくれるんだ」
お互い、にっこり笑う。
この人に、私の拙い演技や小細工は効かない。
百戦錬磨だろう高官を手こずらせる天才だもの。
だから、ゲームの設定通りの賢さと、お兄ちゃん属性にかけるしかない。
「アルフレッドに会いに行くのなら、今日はいないよ」
知ってる。2年生の下位貴族の子息たちは、今日の休み時間は全て先生の手伝いで時間が埋まっているはずだ。
そういう風に、裏から手をまわしてもらった。
「今日はセドリック様に会いたくてきたんです」
にっこり笑って言う。
「俺に? それは光栄だな」
ちょっと、警戒した気配がした。
「ーで、なに? なに? 場所変えた方が良い?」
相変わらず表面は、人の良いお兄さんだ。
スーッと息を吸って吐き、居住まいを正し、笑顔を消して言う。
「私、ジークフリート様が好きなんです」
セドリックからも笑顔が消える。その代わり戸惑ったような顔になった。
「えっと……。恋愛そう……だん?」
「それと同じくらい、アラン様も好きなんです」
そう言い終わって、にっこり笑う。
子どもの、あっちもこっちも皆好き的な発言だけど、セドリックなら裏を読んでくれるはず。
「ふ~ん。それを俺に言うんだ」
低い声になった。笑顔が怖いです。
「それで?」
「それだけですよ」
判断は貴方に任せます。味方になってなんて言わない。
でも、敵になられたら、私半分詰みますから。
「誰かに言ってみたかっただけです」
敵になられたときの用心と、周りの気配に配慮しました。
「まぁ、兄貴には言えないよな」
ガリガリと頭を掻く。
「覚えとく」
と言って、私の頭をポンッと叩いて行ってしまった。
レディの頭を叩くなよ。