きもだめし

文字数 399文字

「じゃあ、保健室のうらの窓から校舎に忍び込んで、理科室のアルコールランプに火をつけて帰ってくる……それでいいな?」
「え、ちょっと待って、それ途中で見つかったらどうするの?」
「バカ、だからきもだめしなんじゃんか!」
「えー、でもやっぱり俺、こーゆーの気が進まないんだけど……」
 肝試しの夜、生徒たちを脅かすために墓地でスタンバイしていると、どこかからひそひそとそんな声が聞こえてきた。
 まだおさない、私の生徒たちとおなじ小学生くらいの声だ。
 ――ははぁ、またガキ大将のタイジあたりが、なにか企んでいるな?
 そう思って声のする墓石の向こうをこっそり覗いてみると、暗やみのなかにふわふわといくつかの鬼火がただよっていた。
 ……どうやらこの季節、幽霊も生者で肝試しをするものらしい。
#ホラーポエム




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