群馬の話 21

文字数 557文字

「その部屋、半年以内に引っ越したほうがいいと思うぞ」
 初対面の挨拶もそこそこに、それがH先輩の出した結論だった。
「ざっくり話は聞いたけど、いまは部屋に憑いてるその霊、じゃないと今度はお前自身に憑いてくることになる」
 言われたおれはといえば、予想外の先制パンチをくらってポカーンとしてたけど、Eの説明によれば、おれと幽霊の関係の概要だけは事前に話してあったらしい。
 まあ、いまからそれを相談するわけだから、Eとすれば当然といえば当然だ。
 とはいえ、Eもまだ先輩を信じ切ってたわけじゃないから、ためす意味で「幽霊がでる部屋に住みつづけてる友だちがいる」ってことだけつたえて、どんな現象が起こるかはまだ具体的に言っていないとのこと。Eはおれの部屋にきたこともなかったので、アパートのくわしい所在地もH先輩にはつたわっていない。
 それでも先輩はにやにや自慢気な嫌らしい笑みを浮かべて、
「あやしいのは、そうだな……ふろ場かトイレの前か。あと、そのアパートのまわり、病院と寺があったりするだろ」
 とつづける。
 それを聞いて、おれは不覚にもギクリとした。
 ――群馬の話 22へ。
#実話怪談 #体験談 #わりと長編




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