なにか

文字数 372文字

 夜、まっくらなベランダで一服しようとしていると、突然スマホが鳴った。
 とりあえず出てみると、悪友のTからの電話だった。
「来る、なにか来る! 助けて……!」
 いきなりわけのわからないことを捲し立てるTに、おれはパッケージから引き出した煙草を咥えながらひやかし混じりに声をかける。
「あ? なにか、ってなに? それだけじゃわからん」
「だから、なにかはなにかだよ! とにかくおまえも気をつけ――」
 そこでまた唐突に切れた電話に、首を傾げたまま咥え煙草に火をつけるおれ。
 すると煙草のさきをチリチリと焦がすライターの炎のむこうに、ニタリと笑うなにかの顔がぼんやりと浮かびあがった……。
 ――ダカラ、キヲツケロッテイッタデショ?
#ホラーポエム




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