ばちあたり

文字数 411文字

 大学時代のある夜。先輩の車に乗せられて、山の中にある橋まで連れて行かれた。
 急に橋のたもとでほうり出され、
「あっち側で待ってるから、歩いて渡ってこい」
 と言われて、そこではじめてこれが肝試しだと気づく。
 しぶしぶ橋を渡りはじめたとたん、周囲から異様な圧迫感をおぼえて体の震えが止まらなくなった。真うしろ、しかも超近距離でじっとみつめる誰かの視線を感じる。
 やっとの思いで橋を渡りきると、路肩に止めた車で待ちかまえていた先輩が、
「けっこうくるだろ、ここ――」
 と、にやにや嫌らしい笑いを浮かべる。
 あとでそこが、無残な誘拐殺人事件の現場だったと知らされた。
 幼児は生きたまま、犯人の手で下を流れる川に投げ落とされて息絶えたそうだ……。
 ――19XX年、群馬での話。
#実話怪談 #体験談 #ショートショート




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