トイレの怪談

文字数 314文字

 便器から白い手が伸びてくる、誰もいないのに水が流れる、むかしからトイレの怪談といえばそんなところが相場だが、どうやらいまはちがうらしい。
 職場の女子トイレに仕掛けておいた盗撮映像をチェックしていると、じっとこちらを見つめてくる総務課の女のくちがこう動いた。
 ――ソコデアンタガミテルノ、チャントワカッテルヨ。
 急に鳴った携帯をあわてて取ると、直属の上司からこう告げられた。
「あした、朝一で私のところにきなさい。用件は、いわなくてもわかっているね?」
 携帯を切ったあと、私は辞表ではなく遺書とロープを用意した。
#ホラーポエム



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