ルーム・ロンダリング

文字数 481文字

 これは、モトカノが(たぶん今も)住んでいる部屋のお話。
 都内にあるリフォームも済んでわりと小ぎれいなそのマンションは、モトカノが新卒で入社した某住宅メーカーが新入社員にわりあてる、社員寮のひとつになっている。
 顧客が建てた物件をメーカーが率先して借り上げる、今はやりのマッチポンプみたいなシステムのたまものだそうだ。
 最寄駅から少し歩くが、広さも十分で風呂もトイレも独立した良物件。
 家賃も会社の補助があって、月に実質一万円ほどで済むとのこと。
 ただしその部屋、真夜中の壁ドンとかピンポンダッシュが週に何回もあるらしい。
「きっと隣の人、神経質なんだね」
 彼女は笑いながらそう言っていたけれど、たしか事故物件って、間に借り手をひとり挟むだけで告知義務が消滅するんだったよね?
 もしかしたら、オーナーとメーカーがグルになって部屋のロンダリングを……。
 なーんてね。
 ――ところで、あなたの部屋は本当に大丈夫?
#実話怪談 #体験談 #ショートショート




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