第4話 衆愚政治と哲人政治

文字数 583文字

「ムッシュ、いまの民主制はアテナイの衆愚政治に陥っていますね」
 議論の停滞・詭弁・利益誘導・見せかけの正義、先延ばし。これらで社会全体が不利益をこうむっている。

「責任追及はされてしかるべきですが、肝心な議題が捨て置かれています」
 アテナイだけでなく、衆愚政治に堕した国を幾度も見てきたレオン。

「かといって独裁になれば、もう地球上に住める場所は無くなるでしょうね」
 核恐喝は保有国には効かないが、ジェニー・オブライエン博士はひいきの日本を憂いている。

「劇薬である独裁制の元首は、哲人であることが求められます。それはいま溢れている優しさを装った偽人(いつわりびと)とはまったく異なります」
 選挙活動時と当選後の言動の違いに、いい加減気付かなければならない。

「あとは二枚舌外交ですか。舌の使い分けが動画ですぐ拡散する時代なのですが」
 二枚目外交もタチが悪いが、二枚舌が行き過ぎるとだんだん三枚目になって来る。

「私としては公費云々の指摘はともかく、胃袋外交が平和へ大きく貢献していると考えます」
 日本の料理は世界中で人気である。

「それならメシヤくんじゃない!」
 腹を空かせた世界市民の胃袋を満たす、マシアッハ飯屋。

「食はそのまま農業、国作り、人作りへと直結します。余ってもいない食材を捨てるなどという愚策は、即刻やめるべきです」
 食はメシヤ、住はイエス、衣はマリアと狭い北伊勢に揃っている。
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登場人物紹介

奇特人間大賞・藤原メシヤ。

彼の元には、いつもハチャメチャが押し寄せてくる。

お転婆娘・安倍マリア。

ギャルであり、敬虔なシスター。

メシヤを止められるのは、マリアだけ。

江戸時代から脈々と続く、大手ゼネコンの御曹司、十九川イエス。

メシヤにとって無くてはならない、心の友。

イスラエルからの留学生・裁紅谷エリ(姉)。小柄だがフィジカルお化け。最初は身分を隠していたが・・・

同・裁紅谷レマ(妹)。エリは双子の姉。落ち着いているように見えるが、9マイル先のターゲットを錆びついたマシンガンで撃ち抜ける。

【東洋】あずまひろし。北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーにて勤務。ろくに学校も出ていないが、父親のスパルタ教育により、体だけは頑丈。後輩・キョン子に、なぜかなつかれている。

【西本願寺京子】京都の名門・西本願寺家の長女。学年的にはメシヤたちと同じである。躾の厳しい実家を飛び出し、北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーで勤務する。職場の先輩、東洋《あずまひろし》に、キョン子と呼ばれる。どうやらヒロシのことは以前から知っているようだが・・・。

【科納ニカル】かのにかる。科納エレクトロニクスの令嬢。子供向け番組『コンピューター・ニカルちゃん』で一世を風靡。ロンドンインペリアルカレッジを首席で卒業後は、神籬探偵事務所で助手を務めている。

【奈保レオン】なぽれおん。年齢、星籍不詳。メシヤと同じ1年G組に席を並べる。数学、歴史が得意。破天荒(誤用ではない)なメシヤの、良き理解者。

【ジェニー・オブライエン】人類史上最高峰の知性と評される宇宙物理学者。メシヤと日本贔屓。頭脳労働者のためか、結構な大食漢。研究所は大西洋の孤島だが、北伊勢市内にもよく出没する。

【必勝ミドル】ひちかたみどる。雲水翁の内弟子。凡庸な12歳であったが、五大所山の修行でメキメキと腕を上げる。先手必勝をモットーとする。

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