第36話 カエルの歌が聞こえてくるよ

文字数 1,018文字

「この時期になると、雨もいいものだなって感じるね」
 田植えシーズンの到来。はじまりはいつも雨だ。星をよけれるか。

「カエルの合唱が心地良いわ」
 トノサマガエル、アマガエル、カエルもいろいろあるけれど。

「音符のオタマジャクシと掛けているのでしょうね」
 カエルところがあるというのは、幸福につながる。

「この辺じゃ子供達に田植えを教えてるんだネ」
 自分が育てた米なら、味も喜びも格別だ。

「百姓ってのはなんでもやる人のことなんだ。現代人は単一の仕事しかやらなくなってしまったが、こういう多能工が増えると国力も増大するし、豊かなライフスタイルを送れる」
 まるで国家が繁栄できないように妨害されているかのようだ。

「わたしは下呂に行きたいわ」
 疾風のようにやって来る天才科学者。ドクター・ゲロも彼女の才能には及ばない。

「下呂もカエルが有名だネ!」
 鳥山氏のキャラは、下呂温泉から名付けたのだろうか。

「あたしも昔行ったことあるわ。温泉街ってなんとも言えない開放感があるのよね」
 浴衣姿もサマになるマリア。

「飛騨牛グルメがいくつかあるんだけど、食べ歩きならやっぱり肉寿司だよね」
 下呂プリンもいいものだ。地名と食べ物名を直接繋げてよいのか一瞬迷う。

「地震が多いことと温泉が多いこととは、関係が深いようです」
 黄金の国と呼ばれたのも、マグマが活発なことと無関係ではあるまい。

「博士が缶詰になるには相応しい場所かもしれません」
 レオンが目を配らないといけない範囲は、広すぎる。

「カエルが嫌いな人って多いと思うけど、蚊とかアブラムシとか害虫を食べてくれるありがたい存在なんだよね。だから幸福の印として世界中で縁起物になってたりする」
 田んぼでカエルの合唱が始まったら、豊作が約束されたようなものだ。

「子沢山だから子孫繁栄、無事カエルで交通安全とかな」
 イエスも仕事柄、安全には気をつけ縁起を担ぐ。

「雨を降らすから、アマガエル。天気予報も楽ね」
 カエルかな、カエルの予想かな。

「あら、むこうに金色のカエルがいるわ!」
 オブライエンがめざとく見つけた。

「ほんとだ、めちゃめちゃ運気アップしそう!」
 何ガエルだろうか。

「ちょっと捕まえてくル!」
 エリが元気よくダッシュした。エリの髪色もカエル色である。

「あっ、エリちゃん危ない!」
 雨で滑り、派手に転んだ。

 無地のTシャツを着たエリが、正面からカエルに向かって倒れ込んだ。
 かような方法で、エリは平面ガエルを着装した。




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登場人物紹介

奇特人間大賞・藤原メシヤ。

彼の元には、いつもハチャメチャが押し寄せてくる。

お転婆娘・安倍マリア。

ギャルであり、敬虔なシスター。

メシヤを止められるのは、マリアだけ。

江戸時代から脈々と続く、大手ゼネコンの御曹司、十九川イエス。

メシヤにとって無くてはならない、心の友。

イスラエルからの留学生・裁紅谷エリ(姉)。小柄だがフィジカルお化け。最初は身分を隠していたが・・・

同・裁紅谷レマ(妹)。エリは双子の姉。落ち着いているように見えるが、9マイル先のターゲットを錆びついたマシンガンで撃ち抜ける。

【東洋】あずまひろし。北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーにて勤務。ろくに学校も出ていないが、父親のスパルタ教育により、体だけは頑丈。後輩・キョン子に、なぜかなつかれている。

【西本願寺京子】京都の名門・西本願寺家の長女。学年的にはメシヤたちと同じである。躾の厳しい実家を飛び出し、北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーで勤務する。職場の先輩、東洋《あずまひろし》に、キョン子と呼ばれる。どうやらヒロシのことは以前から知っているようだが・・・。

【科納ニカル】かのにかる。科納エレクトロニクスの令嬢。子供向け番組『コンピューター・ニカルちゃん』で一世を風靡。ロンドンインペリアルカレッジを首席で卒業後は、神籬探偵事務所で助手を務めている。

【奈保レオン】なぽれおん。年齢、星籍不詳。メシヤと同じ1年G組に席を並べる。数学、歴史が得意。破天荒(誤用ではない)なメシヤの、良き理解者。

【ジェニー・オブライエン】人類史上最高峰の知性と評される宇宙物理学者。メシヤと日本贔屓。頭脳労働者のためか、結構な大食漢。研究所は大西洋の孤島だが、北伊勢市内にもよく出没する。

【必勝ミドル】ひちかたみどる。雲水翁の内弟子。凡庸な12歳であったが、五大所山の修行でメキメキと腕を上げる。先手必勝をモットーとする。

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