第76話 Float in the air  まごころを、君に

文字数 828文字

「不倫問題が毎日のようにテレビやネットで流れていますね」
 キョン子が色恋に興味があるようには見えないのだが。

「性的暴行の問題もな」
 性欲で身を滅ぼす男のなんと多いことか。

「不倫や痴漢が悪いのは話すまでもないですが、刺激を与えるような服装に関してはまだまだ話し合う余地がありますね」
 といっても、キョン子もこれで結構露出多めではあるんだよな。

「露出多めはみっともないってのが昭和の感覚と指摘するのは結構だが、別にそれは新しいムーブメントでもなんでもないんだよな。昭和はTVでもっと裸が溢れていたし、お触りにも大らかだった」
 問題なのは、露出の多い服は着たい、だけどそれを見られるのは嫌、見過ぎたら罰則をってな言い分だな。着たいなら見られるのは我慢すること、見られたくないなら着ないこと。これこそ合理的で妥当な判断だろう。

「あと、やはり公共の場での露出はマズイですよね。それを正当化する主張が、ただ着たいからってのはちょっと根拠としては弱いかと。まず、街はあなたの所有物じゃないっすから。自分の家だったらいくらでも裸になればいいんじゃないっすかね」
 某所での一連の主張はまだ収まらないが、それで社会が混乱した時に、責任を取る覚悟はあるのだろうか。

「何事も無かったように、静観を決め込みそうですね」


「それとな。よく不倫は犯罪じゃ無いという言説があるが、世界の歴史から見れば、長いあいだ重罪だったんだよ」
 どうだろうか。いまのほうが家庭崩壊、社会は大混乱をきたしていると言えないか。

「これだけ不倫が叩かれるなら、姦通罪の復活に女性陣も賛成なんじゃないですか? もちろん夫・妻のどちらからも告訴出来ないと不平等ですが」

「こそこそ隠れてやるから大事になるんだよな」
「まさか、一夫多妻制なんてのを目論んでるんじゃ無いっすよね?」

「ひとつの案さ。不倫になるよりいいだろう」
「もう、先輩ったら~!」
 突き飛ばされそうになったので、軽くいなした。

「先輩は反社神経がいいですね」





ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

奇特人間大賞・藤原メシヤ。

彼の元には、いつもハチャメチャが押し寄せてくる。

お転婆娘・安倍マリア。

ギャルであり、敬虔なシスター。

メシヤを止められるのは、マリアだけ。

江戸時代から脈々と続く、大手ゼネコンの御曹司、十九川イエス。

メシヤにとって無くてはならない、心の友。

イスラエルからの留学生・裁紅谷エリ(姉)。小柄だがフィジカルお化け。最初は身分を隠していたが・・・

同・裁紅谷レマ(妹)。エリは双子の姉。落ち着いているように見えるが、9マイル先のターゲットを錆びついたマシンガンで撃ち抜ける。

【東洋】あずまひろし。北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーにて勤務。ろくに学校も出ていないが、父親のスパルタ教育により、体だけは頑丈。後輩・キョン子に、なぜかなつかれている。

【西本願寺京子】京都の名門・西本願寺家の長女。学年的にはメシヤたちと同じである。躾の厳しい実家を飛び出し、北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーで勤務する。職場の先輩、東洋《あずまひろし》に、キョン子と呼ばれる。どうやらヒロシのことは以前から知っているようだが・・・。

【科納ニカル】かのにかる。科納エレクトロニクスの令嬢。子供向け番組『コンピューター・ニカルちゃん』で一世を風靡。ロンドンインペリアルカレッジを首席で卒業後は、神籬探偵事務所で助手を務めている。

【奈保レオン】なぽれおん。年齢、星籍不詳。メシヤと同じ1年G組に席を並べる。数学、歴史が得意。破天荒(誤用ではない)なメシヤの、良き理解者。

【ジェニー・オブライエン】人類史上最高峰の知性と評される宇宙物理学者。メシヤと日本贔屓。頭脳労働者のためか、結構な大食漢。研究所は大西洋の孤島だが、北伊勢市内にもよく出没する。

【必勝ミドル】ひちかたみどる。雲水翁の内弟子。凡庸な12歳であったが、五大所山の修行でメキメキと腕を上げる。先手必勝をモットーとする。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み