第35話 神様のいたずらと思えばすむこと

文字数 648文字

「この人けっこう厳しいことを言ってるんだけど、なぜか憎めないのよねえ」
 女装した大柄の芸能人。辛口だが説得力がある。

「うん。男と女の視点を兼ね備えてるし、妥協案でもないから受け入れられるんだろうね」
 このご時世なので、さすがに毒は弱まっている。

「ワタシは口調がいいんだと思うヨ」
 オネエ口調は、空気をマイルドにする役割がある。

「現代女性が失ったものを、オネエの皆さんが持っているというのも()なものですわ」
 レマはしっかりお嬢様口調である。

「マリアは男っぽいけど、口調はしっかり女子だよね」
 これで男言葉だったら、かなりの強キャラだ。

「は? あたしのどこが男だってのよ!」
 ラノベは幾分妄想が含まれている。

「いまどきそんな口調の女子はいないとネタにされることがあるが、けっこうバカに出来ないテーマだぞ」
 イエスはオネエ言葉の効用を深く洞察している。

「たしかに、『~だわ』とか『~なのよ』のほうが喧嘩にならなさそうですわ」
 言いたいことは言いつつも、ということである。

「うんうん。男口調同士でぶつかり合ったら、どんどん激しくなるだけだよね」
 ~かしら、もお上品だ。

「フリーザは敬語キャラがハマリ役だったよネ!」
 カーネクストのラジオCMは我慢していても笑ってしまう。

「あんなにも凶暴だから、見事に中和されてるわよね」
 何か言いたそうなメシヤが、すぐ目を逸らした。

「夫婦げんかやSNSでの男女バトルが毎日のように繰り広げられてるが、オネエ言葉を使うのも一つのデタントの方法だな」
 さあ、始めるザマスよ。



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登場人物紹介

奇特人間大賞・藤原メシヤ。

彼の元には、いつもハチャメチャが押し寄せてくる。

お転婆娘・安倍マリア。

ギャルであり、敬虔なシスター。

メシヤを止められるのは、マリアだけ。

江戸時代から脈々と続く、大手ゼネコンの御曹司、十九川イエス。

メシヤにとって無くてはならない、心の友。

イスラエルからの留学生・裁紅谷エリ(姉)。小柄だがフィジカルお化け。最初は身分を隠していたが・・・

同・裁紅谷レマ(妹)。エリは双子の姉。落ち着いているように見えるが、9マイル先のターゲットを錆びついたマシンガンで撃ち抜ける。

【東洋】あずまひろし。北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーにて勤務。ろくに学校も出ていないが、父親のスパルタ教育により、体だけは頑丈。後輩・キョン子に、なぜかなつかれている。

【西本願寺京子】京都の名門・西本願寺家の長女。学年的にはメシヤたちと同じである。躾の厳しい実家を飛び出し、北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーで勤務する。職場の先輩、東洋《あずまひろし》に、キョン子と呼ばれる。どうやらヒロシのことは以前から知っているようだが・・・。

【科納ニカル】かのにかる。科納エレクトロニクスの令嬢。子供向け番組『コンピューター・ニカルちゃん』で一世を風靡。ロンドンインペリアルカレッジを首席で卒業後は、神籬探偵事務所で助手を務めている。

【奈保レオン】なぽれおん。年齢、星籍不詳。メシヤと同じ1年G組に席を並べる。数学、歴史が得意。破天荒(誤用ではない)なメシヤの、良き理解者。

【ジェニー・オブライエン】人類史上最高峰の知性と評される宇宙物理学者。メシヤと日本贔屓。頭脳労働者のためか、結構な大食漢。研究所は大西洋の孤島だが、北伊勢市内にもよく出没する。

【必勝ミドル】ひちかたみどる。雲水翁の内弟子。凡庸な12歳であったが、五大所山の修行でメキメキと腕を上げる。先手必勝をモットーとする。

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