第35話 神様のいたずらと思えばすむこと
文字数 648文字
女装した大柄の芸能人。辛口だが説得力がある。
「うん。男と女の視点を兼ね備えてるし、妥協案でもないから受け入れられるんだろうね」
このご時世なので、さすがに毒は弱まっている。
「ワタシは口調がいいんだと思うヨ」
オネエ口調は、空気をマイルドにする役割がある。
「現代女性が失ったものを、オネエの皆さんが持っているというのも
レマはしっかりお嬢様口調である。
「マリアは男っぽいけど、口調はしっかり女子だよね」
これで男言葉だったら、かなりの強キャラだ。
「は? あたしのどこが男だってのよ!」
ラノベは幾分妄想が含まれている。
「いまどきそんな口調の女子はいないとネタにされることがあるが、けっこうバカに出来ないテーマだぞ」
イエスはオネエ言葉の効用を深く洞察している。
「たしかに、『~だわ』とか『~なのよ』のほうが喧嘩にならなさそうですわ」
言いたいことは言いつつも、ということである。
「うんうん。男口調同士でぶつかり合ったら、どんどん激しくなるだけだよね」
~かしら、もお上品だ。
「フリーザは敬語キャラがハマリ役だったよネ!」
カーネクストのラジオCMは我慢していても笑ってしまう。
「あんなにも凶暴だから、見事に中和されてるわよね」
何か言いたそうなメシヤが、すぐ目を逸らした。
「夫婦げんかやSNSでの男女バトルが毎日のように繰り広げられてるが、オネエ言葉を使うのも一つのデタントの方法だな」
さあ、始めるザマスよ。