第42話 綿の手袋80袋
文字数 670文字
メシヤの発言はエキセントリックだ。
「メシヤさま、手がかぶれていますわ」
夏場にゴム手袋を嵌めて作業すると、こうなりやすい。
「あんた人一倍敏感肌なのに、そのへんは抜けてるわね」
マリアはめんどうがって素手でやることがある。
「ワタシもずっと手袋付けてるかラ、注意しないト」
そのまま異種格闘技戦に出られるスタイルだ。
「ゴム手袋の種類は豊富になったが、俺は軍手が1番しっくり来る」
冬場はゴム手袋でも良いだろうが、夏場は悲惨だ。
「軍手ってさ、これまたピンキリなんだよね」
厚さ、手触り、保ち、素材。
「安くてぺらぺらのって、すぐヘロヘロになるのよねえ」
急に長嶋さんになる。
「厚手のほうが好みですが、化学繊維入りの混紡のものが多いですわ」
というか、店に置いてある軍手で純綿はまず見掛けない。
「てっきり綿だけだと思ってたけド、違うんだネ」
浜ちゃんが道端で万札を拾ったことがある一方、まっちゃんは道端でぺらぺらの軍手を拾ったことがある。
「純綿ならもってるぜ。ほれ」
装備も充実憂い無し。イエスには容易なことだ。
「うわっ、これ気持ちいい!」
手が荒れやすいメシヤにはぴったりだろう。
「だろ? 作りも丈夫で、長持ちするんだ」
心なしか、仕事がはかどる。
「へえ、調べたらカラーも多彩なのね」
冬に登場するノルディック手袋のような軍手も、リリースされるかも知れない。
「おや、これは隠れた名品ですね」
あまり見せないが、レオンの器用さは次元が違う。
「ナボコフの太鼓判付きなラ、安心だネ」
敵かな? 味方かな?