第93話 クイックドロー

文字数 467文字

「お見事ですわ、白馬さん」
 北伊勢市内・某射撃場にて。
 スローモーションで撮影しても、手の動きが捉えられない。

「お前さんこそ」
 5発撃った筈のレマだが、人型の的に穴がひとつしか空いていない。

「ワタシ、銃はあんまりかナ~」
 力自慢の猛者どもが、エリに勝負を挑んでくる。

「お前には弾が当たらないからいいだろう」
 エリにはなぜか弾が当たらない。精密射撃のレマと対峙したら、結果はどうなるのか。

「手裏剣のほうが得意なんだよネ」
 自由落下してきた4切れの飛騨牛を、串刺しにした。

「デタラメだな・・・」
 白馬も人のことは言えない。

「我が国のこと、日本のこと。ザイオンのシナリオ通りに進行しています」
 令和は大変な時代の幕開けとなった。

「鷹山のダンナもこれじゃ貧乏くじだぜ」
 こういう時こそ英雄が現れる。

「アーロン首相はそんな風に受け止めてないかモ」
 ねえ、気付いてる? いまのあなたの顔、とっても楽しそうよ。

「メシヤさま。あまり時間は残されていませんわ」


~~~~

「お~い、藤原はまた早退か~」
 担任のマス大山が点呼を取る。

(クイックドローですわ)







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登場人物紹介

奇特人間大賞・藤原メシヤ。

彼の元には、いつもハチャメチャが押し寄せてくる。

お転婆娘・安倍マリア。

ギャルであり、敬虔なシスター。

メシヤを止められるのは、マリアだけ。

江戸時代から脈々と続く、大手ゼネコンの御曹司、十九川イエス。

メシヤにとって無くてはならない、心の友。

イスラエルからの留学生・裁紅谷エリ(姉)。小柄だがフィジカルお化け。最初は身分を隠していたが・・・

同・裁紅谷レマ(妹)。エリは双子の姉。落ち着いているように見えるが、9マイル先のターゲットを錆びついたマシンガンで撃ち抜ける。

【東洋】あずまひろし。北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーにて勤務。ろくに学校も出ていないが、父親のスパルタ教育により、体だけは頑丈。後輩・キョン子に、なぜかなつかれている。

【西本願寺京子】京都の名門・西本願寺家の長女。学年的にはメシヤたちと同じである。躾の厳しい実家を飛び出し、北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーで勤務する。職場の先輩、東洋《あずまひろし》に、キョン子と呼ばれる。どうやらヒロシのことは以前から知っているようだが・・・。

【科納ニカル】かのにかる。科納エレクトロニクスの令嬢。子供向け番組『コンピューター・ニカルちゃん』で一世を風靡。ロンドンインペリアルカレッジを首席で卒業後は、神籬探偵事務所で助手を務めている。

【奈保レオン】なぽれおん。年齢、星籍不詳。メシヤと同じ1年G組に席を並べる。数学、歴史が得意。破天荒(誤用ではない)なメシヤの、良き理解者。

【ジェニー・オブライエン】人類史上最高峰の知性と評される宇宙物理学者。メシヤと日本贔屓。頭脳労働者のためか、結構な大食漢。研究所は大西洋の孤島だが、北伊勢市内にもよく出没する。

【必勝ミドル】ひちかたみどる。雲水翁の内弟子。凡庸な12歳であったが、五大所山の修行でメキメキと腕を上げる。先手必勝をモットーとする。

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