第142話 防風林火山
文字数 673文字
北伊勢パルへの途上、
「うん。都会とか田舎とか関係なくね」
街はビル風が。田園地帯では建物が壊れるほどの強風が襲う。
「言っちゃ悪いが、太陽光パネルで山を切り開いたことと無関係じゃないぜ」
森林環境税を取るくらいなら、無秩序に増殖している太陽光パネルを即刻やめるべきだ。
「昔から木が植わっていたところには、ちゃんとした理由があると聞いています」
神域の木を切り倒して自らの利益誘導に使うとは、神罰も甘く見られたものだ。
「高速道路や新しい交通網を新設する時も気をつけないとネ。風向きが変わるんだヨ」
山を削って宅地にする場合も、細心の注意が必要だ。
「防風林ってそのためにあるんじゃないのかな?」
1ヘクタールの畑なら、周囲を高さ5メートルほどの木で囲えば、効果は必ず期待される。
「防雪林ってのもあるよね」
風害だけでなく雪害もここのところ甚大な被害だ。
「道に沿って樹木が植えられているのも、古来からの人間の知恵ですわ」
枯れ葉の処理が面倒だと全国的に切り倒されるケースが増えているが、その悪影響が国民に重くのしかかっている。
「木って不思議だよネ」
木に記憶回路があるとしたら、人類史の謎もある程度解明されるかも知れない。
「プラ製品や鉄製品と違って、温もりを感じるのは間違いないな」
丈夫で加工もしやすい。
「防風林で強風を受け止めて発電できそうだけどね」
微々たる物だろうが、山林を荒廃させる太陽光政策よりははるかにマシだろう。