第160話 ブルー斜塔

文字数 492文字

(気のせいかな・・・)

「メシヤさま、どうされましたか?」
 いつものメンバーでN市に遊びに来ている。

「どうかしてる顔ね」
 空気を読むには、顔を読む。

「いや。あのマンションなんだけど、ちょっと傾いてる気がするんだ」
 住んでいる人に配慮して、ボリュームを落とすメシヤ。

「うン? ほんとダ!」
 野人の視力を誇るエリ。ただ、傾きには気付いていなかった。

「目視だが、確かに傾いて見えるな」
 国家が傾くか立て直すかの瀬戸際である。

 よくビー玉を転がす傾きテストがあるが、許容範囲の1000分の3ミリ以内でも、ビー玉は転がってしまう。

「重さの違うふたつの球を上から落としたくなるネ」
 この実験が本当にされたのかは疑問視されている。

「ウチの建築ではないが、ちょっと調べてみるぜ」
 傾きを調査する専門の会社がある。

「こんな街中だものね」
 森と泉でなはく、ビルと道路に囲まれている。

 ところで、シャトーはフランス語で城だが、斜塔と何か関連はあるのだろうか。

「キッチンカーですわ」
 めずらしくピザを売っている。

「シャトーブリアン入りだっテ!」
 ハイクラスのキッチンカーである。

「そんなの食べたら、家が傾くよ」






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登場人物紹介

奇特人間大賞・藤原メシヤ。

彼の元には、いつもハチャメチャが押し寄せてくる。

お転婆娘・安倍マリア。

ギャルであり、敬虔なシスター。

メシヤを止められるのは、マリアだけ。

江戸時代から脈々と続く、大手ゼネコンの御曹司、十九川イエス。

メシヤにとって無くてはならない、心の友。

イスラエルからの留学生・裁紅谷エリ(姉)。小柄だがフィジカルお化け。最初は身分を隠していたが・・・

同・裁紅谷レマ(妹)。エリは双子の姉。落ち着いているように見えるが、9マイル先のターゲットを錆びついたマシンガンで撃ち抜ける。

【東洋】あずまひろし。北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーにて勤務。ろくに学校も出ていないが、父親のスパルタ教育により、体だけは頑丈。後輩・キョン子に、なぜかなつかれている。

【西本願寺京子】京都の名門・西本願寺家の長女。学年的にはメシヤたちと同じである。躾の厳しい実家を飛び出し、北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーで勤務する。職場の先輩、東洋《あずまひろし》に、キョン子と呼ばれる。どうやらヒロシのことは以前から知っているようだが・・・。

【科納ニカル】かのにかる。科納エレクトロニクスの令嬢。子供向け番組『コンピューター・ニカルちゃん』で一世を風靡。ロンドンインペリアルカレッジを首席で卒業後は、神籬探偵事務所で助手を務めている。

【奈保レオン】なぽれおん。年齢、星籍不詳。メシヤと同じ1年G組に席を並べる。数学、歴史が得意。破天荒(誤用ではない)なメシヤの、良き理解者。

【ジェニー・オブライエン】人類史上最高峰の知性と評される宇宙物理学者。メシヤと日本贔屓。頭脳労働者のためか、結構な大食漢。研究所は大西洋の孤島だが、北伊勢市内にもよく出没する。

【必勝ミドル】ひちかたみどる。雲水翁の内弟子。凡庸な12歳であったが、五大所山の修行でメキメキと腕を上げる。先手必勝をモットーとする。

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