第160話 ブルー斜塔
文字数 492文字
「メシヤさま、どうされましたか?」
いつものメンバーでN市に遊びに来ている。
「どうかしてる顔ね」
空気を読むには、顔を読む。
「いや。あのマンションなんだけど、ちょっと傾いてる気がするんだ」
住んでいる人に配慮して、ボリュームを落とすメシヤ。
「うン? ほんとダ!」
野人の視力を誇るエリ。ただ、傾きには気付いていなかった。
「目視だが、確かに傾いて見えるな」
国家が傾くか立て直すかの瀬戸際である。
よくビー玉を転がす傾きテストがあるが、許容範囲の1000分の3ミリ以内でも、ビー玉は転がってしまう。
「重さの違うふたつの球を上から落としたくなるネ」
この実験が本当にされたのかは疑問視されている。
「ウチの建築ではないが、ちょっと調べてみるぜ」
傾きを調査する専門の会社がある。
「こんな街中だものね」
森と泉でなはく、ビルと道路に囲まれている。
ところで、シャトーはフランス語で城だが、斜塔と何か関連はあるのだろうか。
「キッチンカーですわ」
めずらしくピザを売っている。
「シャトーブリアン入りだっテ!」
ハイクラスのキッチンカーである。
「そんなの食べたら、家が傾くよ」