第157話 まがいモノは何ですか?

文字数 728文字

「見つけにくいモノですか?」
 検索中のメシヤに、レマが声を掛ける。

「日本の中も世界の中も探しているのにね」
 マリアはまどろっこしく感じていた。まがいモノなら探さなくてもウジャウジャいるのだが。

「ここが我慢のしどころだよ」
 まだまだ耐える気ですか。

「それよりワタシとゲームしようヨ!」
 夢の国へ 希望の未来へ
 行ってみたいと思いませんか

「メシヤはこういう時グーグルを使わないんだったな」
 検索エンジンは自作できる。メシヤはとうの昔に完成させている。

「あったー!」
 破顔一笑のメシヤ。
 マリアがウフフと気付かない程度に笑みを漏らした。

「パーツ集めも楽じゃないネ」
 間違った英語だが、別の意味でメシヤはモンスターカスタマーである。

「パーツ屋さん巡りも楽しいけど、今回は目的のものがハッキリしてるからね」
 品薄の商品を普通に探したところで、いっぱい食わされる。

「あたしも引っかかったことがあるけど、サイズを載せないのは酷いわね」
 個数が分からないこともある。

「写真と違うというごく当たり前のクレームがスルーされて、騙した方がお咎め無しなのは問題ですわ」
 加工しすぎなのは詐欺罪に当たらないのだろうか。

「実際買った人の口コミを軽んじると、痛い目を見るぞ」
 いまこそ近江商人に学ぼう。

 分からないことは検索すればいいと考えてしまうが、こと情報においても、ネット通販に通じる落とし穴がある。人生には、ゲーム以上にトラップが存在する。

「便利なのか不便なのカ、時々分からなくなるヨ」
 文明が発達したのではなく、簡単に出来ることの連なりに手を加え、大量生産しているだけのビジネスが横行中だ。

「人がめんどくさがって敬遠するもの、手を出せないモノが、ちゃんと評価されるといいわね」






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登場人物紹介

奇特人間大賞・藤原メシヤ。

彼の元には、いつもハチャメチャが押し寄せてくる。

お転婆娘・安倍マリア。

ギャルであり、敬虔なシスター。

メシヤを止められるのは、マリアだけ。

江戸時代から脈々と続く、大手ゼネコンの御曹司、十九川イエス。

メシヤにとって無くてはならない、心の友。

イスラエルからの留学生・裁紅谷エリ(姉)。小柄だがフィジカルお化け。最初は身分を隠していたが・・・

同・裁紅谷レマ(妹)。エリは双子の姉。落ち着いているように見えるが、9マイル先のターゲットを錆びついたマシンガンで撃ち抜ける。

【東洋】あずまひろし。北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーにて勤務。ろくに学校も出ていないが、父親のスパルタ教育により、体だけは頑丈。後輩・キョン子に、なぜかなつかれている。

【西本願寺京子】京都の名門・西本願寺家の長女。学年的にはメシヤたちと同じである。躾の厳しい実家を飛び出し、北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーで勤務する。職場の先輩、東洋《あずまひろし》に、キョン子と呼ばれる。どうやらヒロシのことは以前から知っているようだが・・・。

【科納ニカル】かのにかる。科納エレクトロニクスの令嬢。子供向け番組『コンピューター・ニカルちゃん』で一世を風靡。ロンドンインペリアルカレッジを首席で卒業後は、神籬探偵事務所で助手を務めている。

【奈保レオン】なぽれおん。年齢、星籍不詳。メシヤと同じ1年G組に席を並べる。数学、歴史が得意。破天荒(誤用ではない)なメシヤの、良き理解者。

【ジェニー・オブライエン】人類史上最高峰の知性と評される宇宙物理学者。メシヤと日本贔屓。頭脳労働者のためか、結構な大食漢。研究所は大西洋の孤島だが、北伊勢市内にもよく出没する。

【必勝ミドル】ひちかたみどる。雲水翁の内弟子。凡庸な12歳であったが、五大所山の修行でメキメキと腕を上げる。先手必勝をモットーとする。

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