第155話 葵丘の会(ききゅうのかい)

文字数 512文字

「気球ってあんまり見掛けなくなったわよね」
 昭和の時代はバルーン広告が空を彩っていた。

「ちょっとミニバルーンを作ってみたよ」
 器用なものである。

「ドラクエⅣを思い出すネ!」
 アドバルーン 恋のバルーン ツインテールに夢のせる

「使い途が広そうだな」
 すぐ実用化したがるイエス。

「宅配に使えるのではないでしょうか?」
 ドローンと比べてコスト・安全面はいかがだろうか。

「一応、マニュアルでもオートでも動かせるようにしてあるんだ」
 小動物や空の障害問題をクリアせねばなるまい。

「まずは近距離からよね。配送所から市内に限ればそんなにリスクはないかも」
 急ぎの時はバイク便もありがたい。

「ミニだからその辺の小回りは利きそうだヨ」
 バルーンと自分を重ねる。

「バルーンファイトみたいな使い方も出来るよ」
 ぜひともオリンピック種目採用に。

「ただ、悪用されないかも心配ですわ」
 ドローンが出回った頃、様々な迷惑事件が頻発した。

「確かにな。一般人が自由に飛ばせるようになるのは難しいだろう」
 要人を護ることに使える可能性はある。

 葵丘(ききゅう)の会とは、はるか昔の春秋時代に遡る。王の権力が衰えた最中(さなか)夷狄(いてき)の侵入を防ぎ、秩序の回復をはかろうとしたのである。










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登場人物紹介

奇特人間大賞・藤原メシヤ。

彼の元には、いつもハチャメチャが押し寄せてくる。

お転婆娘・安倍マリア。

ギャルであり、敬虔なシスター。

メシヤを止められるのは、マリアだけ。

江戸時代から脈々と続く、大手ゼネコンの御曹司、十九川イエス。

メシヤにとって無くてはならない、心の友。

イスラエルからの留学生・裁紅谷エリ(姉)。小柄だがフィジカルお化け。最初は身分を隠していたが・・・

同・裁紅谷レマ(妹)。エリは双子の姉。落ち着いているように見えるが、9マイル先のターゲットを錆びついたマシンガンで撃ち抜ける。

【東洋】あずまひろし。北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーにて勤務。ろくに学校も出ていないが、父親のスパルタ教育により、体だけは頑丈。後輩・キョン子に、なぜかなつかれている。

【西本願寺京子】京都の名門・西本願寺家の長女。学年的にはメシヤたちと同じである。躾の厳しい実家を飛び出し、北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーで勤務する。職場の先輩、東洋《あずまひろし》に、キョン子と呼ばれる。どうやらヒロシのことは以前から知っているようだが・・・。

【科納ニカル】かのにかる。科納エレクトロニクスの令嬢。子供向け番組『コンピューター・ニカルちゃん』で一世を風靡。ロンドンインペリアルカレッジを首席で卒業後は、神籬探偵事務所で助手を務めている。

【奈保レオン】なぽれおん。年齢、星籍不詳。メシヤと同じ1年G組に席を並べる。数学、歴史が得意。破天荒(誤用ではない)なメシヤの、良き理解者。

【ジェニー・オブライエン】人類史上最高峰の知性と評される宇宙物理学者。メシヤと日本贔屓。頭脳労働者のためか、結構な大食漢。研究所は大西洋の孤島だが、北伊勢市内にもよく出没する。

【必勝ミドル】ひちかたみどる。雲水翁の内弟子。凡庸な12歳であったが、五大所山の修行でメキメキと腕を上げる。先手必勝をモットーとする。

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