第102話 機能美にフィニッシュの美を見る

文字数 727文字

「寿司折りなんてのも作るのね」
 寿司折りの嫌いな人がいて?

「要予約だけどね。手巻きくらいならなんとかなるけど」
 メシヤは寿司の道場に入門したことがある。

「ギロッポンの夜に食べたいネ」
 これも松本氏の考案である。

「この魚の容れ物、面白いですわ」
 醤油が注入されている。その名は、ランチャームという。

「いま見掛けなくなったよな、これ」
 プラの小袋が主流になってしまった。

「小袋だと小皿に入れなきゃならないけど、魚の醤油差しなら直接寿司に掛けれるんだよね」
 寿司店では不作法になるが、持ち帰りのものなら好都合だろう。

「容れ物としてもユニークだし、機能美もあるのに、なんで廃れちゃったのかしら」
 鯛焼きといい、日本人は魚の型が好きなようである。ちなみに、鯛焼きクロワッサンはとても美味しい。

「こういうところで差がつくよね。プラ袋だと破りにくくて使いづらい人もいるだろうし」
 デザインはいくらでも増やせる。

「形はサンマでもエビでもいいわけだしな」
 子供に寿司嫌いが減りそうだ。

「フルーツジュースのストローがバナナ型でもいいネ」
 長細いもの限定になるか。

「コンビニでケチャップやマヨネーズをもらえますが、あちらもただの小袋ですわ」
 謎の小袋を80袋用意してほしい。

「ケチャップはトマト型、マヨネーズはキューピーの極小型でいいんじゃない?」
 押し出しやすい形状ではある。

「それじゃ、七味は唐辛子型だね」
 店員の出し間違いが無くなりそうだ。

「きっと味も変わるヨ!」
 馬鹿話で一蹴されそうだが、バナナジュースでストローを黄色にする、イチゴジュースでピンクにする。こうするだけで、不思議と旨味がアップする。
 メシヤたちが話している調味料の容器にも、同様の現象が起こるだろう。







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登場人物紹介

奇特人間大賞・藤原メシヤ。

彼の元には、いつもハチャメチャが押し寄せてくる。

お転婆娘・安倍マリア。

ギャルであり、敬虔なシスター。

メシヤを止められるのは、マリアだけ。

江戸時代から脈々と続く、大手ゼネコンの御曹司、十九川イエス。

メシヤにとって無くてはならない、心の友。

イスラエルからの留学生・裁紅谷エリ(姉)。小柄だがフィジカルお化け。最初は身分を隠していたが・・・

同・裁紅谷レマ(妹)。エリは双子の姉。落ち着いているように見えるが、9マイル先のターゲットを錆びついたマシンガンで撃ち抜ける。

【東洋】あずまひろし。北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーにて勤務。ろくに学校も出ていないが、父親のスパルタ教育により、体だけは頑丈。後輩・キョン子に、なぜかなつかれている。

【西本願寺京子】京都の名門・西本願寺家の長女。学年的にはメシヤたちと同じである。躾の厳しい実家を飛び出し、北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーで勤務する。職場の先輩、東洋《あずまひろし》に、キョン子と呼ばれる。どうやらヒロシのことは以前から知っているようだが・・・。

【科納ニカル】かのにかる。科納エレクトロニクスの令嬢。子供向け番組『コンピューター・ニカルちゃん』で一世を風靡。ロンドンインペリアルカレッジを首席で卒業後は、神籬探偵事務所で助手を務めている。

【奈保レオン】なぽれおん。年齢、星籍不詳。メシヤと同じ1年G組に席を並べる。数学、歴史が得意。破天荒(誤用ではない)なメシヤの、良き理解者。

【ジェニー・オブライエン】人類史上最高峰の知性と評される宇宙物理学者。メシヤと日本贔屓。頭脳労働者のためか、結構な大食漢。研究所は大西洋の孤島だが、北伊勢市内にもよく出没する。

【必勝ミドル】ひちかたみどる。雲水翁の内弟子。凡庸な12歳であったが、五大所山の修行でメキメキと腕を上げる。先手必勝をモットーとする。

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