第121話 ショユラー世代

文字数 862文字

「イエスさまはソース顔ですね」
 日本人離れした彫りの深いイエス。

「そうか?」
 調味料は断然醤油派のイエス。

「メシヤはソース寄りのやや醤油かナ?」
 ぱっちり二重ではないが瞳は大きい。みそ顔という言葉もある。

「エリちゃんとレマちゃんはユダヤ人なのにどことなく和テイストなところもあるわ」
 イスラエル人という言い方に抵抗があるマリア。テレビでユダヤ人の代わりにこの言い方が多く聞かれるのはなぜだろう。

「アブ(父)は日本人だからネ!」
 母親がユダヤ人なら、その子供はユダヤ人である。裁紅谷姉妹は砂糖顔だ。

(マリアはバター顔なんて言ったら絞められるな・・・)
 マリアの先祖は遠い遠い西方からやって来たようである。

「え。イエスくん、とんかつに醤油なの?」
 ソース派が多勢のようである。

「ああ。この方が美味い」
 甘いソースが苦手なイエス。

「僕も醤油派だな」
 マヨラーずに、ソイYES。

「マリアさま。これに関しては、いままでのやり取りで分かっていたことではありませんか」
 たこ焼きのソースもまず頼まないメシヤ御一行。

「あじフライは微妙だけド、ワタシもしょっぱいのが好きだヨ」
 年末の風物詩・新巻鮭も駆逐されてしまった。塩が悪者扱いされている現状を嘆く一同。
「クリスマスは終わったけど、ローストチキンよりフライドチキンのしょっぱいほうが人気だよね」
 照りはなくても良いので、ローストチキンの塩味の効いたものも発売してはどうか。

「前から言ってるが、俺はお好み焼きのソース以外の味を食べたいぜ」
 これも需要はあるはずである。すぐに実現しそうだ。

「人間に塩は欠かせない筈ですのに、なぜこうなってしまったのでしょうね」
 濃い味噌汁を飲むと、脳が目覚める感覚がある。

「減塩はやる気が薄れる感じがあるわね」
 無塩バターは絶対に頼まないマリア。無煙ではなく、燻製バターはとても美味しい。

「お医者さんに掛かることがあるけど、塩に対する見方で相性が分かるかな」
 裁紅谷姉妹の眼前だが、メシヤは塩ニストというわけではない。

「相手の口より自分の舌を信じるべきよね」




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登場人物紹介

奇特人間大賞・藤原メシヤ。

彼の元には、いつもハチャメチャが押し寄せてくる。

お転婆娘・安倍マリア。

ギャルであり、敬虔なシスター。

メシヤを止められるのは、マリアだけ。

江戸時代から脈々と続く、大手ゼネコンの御曹司、十九川イエス。

メシヤにとって無くてはならない、心の友。

イスラエルからの留学生・裁紅谷エリ(姉)。小柄だがフィジカルお化け。最初は身分を隠していたが・・・

同・裁紅谷レマ(妹)。エリは双子の姉。落ち着いているように見えるが、9マイル先のターゲットを錆びついたマシンガンで撃ち抜ける。

【東洋】あずまひろし。北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーにて勤務。ろくに学校も出ていないが、父親のスパルタ教育により、体だけは頑丈。後輩・キョン子に、なぜかなつかれている。

【西本願寺京子】京都の名門・西本願寺家の長女。学年的にはメシヤたちと同じである。躾の厳しい実家を飛び出し、北伊勢市内のパチンコ店・エンペラーで勤務する。職場の先輩、東洋《あずまひろし》に、キョン子と呼ばれる。どうやらヒロシのことは以前から知っているようだが・・・。

【科納ニカル】かのにかる。科納エレクトロニクスの令嬢。子供向け番組『コンピューター・ニカルちゃん』で一世を風靡。ロンドンインペリアルカレッジを首席で卒業後は、神籬探偵事務所で助手を務めている。

【奈保レオン】なぽれおん。年齢、星籍不詳。メシヤと同じ1年G組に席を並べる。数学、歴史が得意。破天荒(誤用ではない)なメシヤの、良き理解者。

【ジェニー・オブライエン】人類史上最高峰の知性と評される宇宙物理学者。メシヤと日本贔屓。頭脳労働者のためか、結構な大食漢。研究所は大西洋の孤島だが、北伊勢市内にもよく出没する。

【必勝ミドル】ひちかたみどる。雲水翁の内弟子。凡庸な12歳であったが、五大所山の修行でメキメキと腕を上げる。先手必勝をモットーとする。

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